「つまり解り易い例。俺はみっちゃんの彼氏になった」
?
「そうそう。そういう気分がハテナマークだザマッチ。100点やる」
あれから機嫌がなおったのか、冴草君はまた口を聞いてくれるようになった。
しかもこの頃やけに上機嫌で煩いくらいだ。
私の同僚たちの庫内にまで気前よくお酒を並べている。
少し前の反抗期じみた不良生活や自称ニヒルごっこは何だったのだろう。
まあいい。ティーンとはコロコロ機嫌が変わる生き物。特に気にはするまい。
何よりもありがたいことに、彼は今私の調書へとても協力的なのだ。
嬉しいことである。
……。
嬉しいね。ああ嬉しいよ、本当に。ムカムカ。
「そうだ、もう一個。みっちゃんは俺といっぱいセックスをする。かはははは」
!
「そうそう。そういう気分がビックリマーク。解ってるねぇ変人。再び100点」
うん。何やら微妙に腹が立つがよく解ったよ。
つまり『?』と『!』は気分で使い分ける。そういう物なのだな。
フィーリング。感覚というやつだな。
「親切な説明ありがとう、友よ」
私は腰をカクカク振っている冴草君へ深々と礼を述べた。彼は実に楽しそうだ。
それなのに私ときたらなぜか涙が止まらない。
この涙はどうして溢れてくるのだろう。鉛筆アレルギーだろうか。
もしそうならば今後鉛筆を削る時もゴーグルを着用しなくては。
「うむ、どうしたザマッチ?」
そうだ、せっかく冴草君がその身を尽くして私の調書作成へ協力してくれたのだ。
私も早速彼に報いなくてはいけない。
彼にも『?』と『!』の気分を味わってもらおう。
そうすることが今回尊い犠牲となったみっちゃんへの恩返しにもなるはずだ。
全く、こんなエロエロ星人のツンデレエスパー男なんかにかどわかされてしまって。
きっと仇はとってあげるからね、みっちゃん。
私は固く心に誓った。
「冴草君」
「何~」
「私もみっちゃんの彼氏になった」
……。あれ?
おかしい。どしたということだろう。
ここでは冴草君から『?』が出るはずなのに。
彼は何故か腹を抱えて大爆笑している。
間違っている。違うよ冴草君。
それじゃ100点ではないよ。困ったな。
仕方がない。気をとりなおしてもう一個言ってみよう。
「みっちゃんは私といっぱいセックスをする」
ふふふふふ。これでどうだ。
今度こそ君は『!』をだすだろう。間違いな――――。
がはっ、痛い。
うぐ、いぎゃ、えへ、あはん、いたた。
がふっ、げっふぁ、かはっ、ごふ。
なんで。
あれ?
つづく