Neetel Inside ニートノベル
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アブノーマル
壱話 新しい人生

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壱話 新しい人生


 今日俺は初めて――死んだ。


 ちょうど3日前のことだった。俺はいつものように学校に登校していた。そこで俺は交通事故にあった。軽自動車に思い切りはねられ、打ち所が悪く、俺は死亡した。
 俺はいたって普通の15歳の高校生活を送っていたが今日でそれも終わった。
 
 そして俺はいま天国というところにいる。信じられるだろうか…。天国というものが存在していたなんて。
 俺は死んでからずっとここにいる。時間の感覚はあまりわからないが、一日が終わるとなんとなくだけどそれがわかる。
 というかなんで死んでるのに過去の俺の自我があるんだよ。まぁそれが現実なんだから受け入れるしかないけど。
 
 そして今日、天国にきてから初めての進展が訪れた。それはこの天国で俺以外の奴を見たって事だ。見たっていっても正確には感じたっていったほうがいいかもしれない。なにせ身体がないから目で見ることは出来ないからな……なんとなく気配を感じてる。
 その俺以外の奴の名前は『メシュー』っていうらしい。俺はメシューと話をした。声帯は無いけどなんかしゃべれる――っていうかテレパシーみたいな……。
 メシューはこの天国の主とも言える神という存在と会話をしたことがあるようでそのときに知ったことを色々と俺に教えてくれた。
 49日がどうたらなどと日本人がいっているが10日たったら次の存在に生まれ変わるらしい。ちなみに前世が人間だったら来世も人間というのは本当のようだ。ということは俺は必ず人間になる。
 でも、メシューが神と話せた時間は少なかったため、この天国について知れたことはこれだけだ。この話からわかったことはは俺は後7日で生まれ変わるってことだ。
 

  




 
 アレから7日たった。あの日メシューと話をしてからメシューとは一度も会っていない。もう生まれ変わったのだろうか……。
 ちなみに俺は今日生まれ変わる。ドキドキするし、そんでもってワクワクもしたりする。いろんな感じが押し寄せる中突然俺の体が光り始めた。次の瞬間俺は意識がとんだ。









 目が覚めると俺は見覚えの無い町のベンチに座っていた。記憶は天国にいたときの記憶しかない……。


 町の中をうろついているとふとガラスに俺の姿が映った。髪型はなんというかさえない感じだが、自分で言うのもなんだけど全体的には結構イケてる感じがする。目は若干細めで背が高い。ガッチリとした男らしい体ではないがスラっとしていてこれはこれでいい体だ。

 浮かれている俺に誰かが話しかけてきた。
「あーっ! いたいた」
 だれだ……この人は――? 
 俺の眼に映ったのは少女だった。俺より身長は少し小さくて髪は肩まで伸びていて体のラインがスラっとして顔もきれいな顔だった。ちなみに胸の方は――残念だ。
「だれ?君……」
「あんたの仲間ってところね」
「仲間ってどういう――」
 俺の発言を遮って少女は言った。
「いいからきなさい」
 といって俺の袖を引っ張って走り出した。
 いきなりすぎてびっくりするというかなんというか……俺はいたって冷静だった。多分この娘も天国の存在を知っている人だろうとなんとなく感じた。
「君、もしかして生まれ変わったの?」
「そう。そうよ。あんたと同じでちょっと前に生まれ変わった」
 俺は仲間がいたということに少し安心感を感じホッとため息をついた。

 そして10分くらい走り、俺の体力が限界になったころ彼女は足をとめ、ひとつの建物を指差した。
「ここがあんたの居場所よ」
 その建物は10階建てくらいで外装もきれいだったので好印象だった。
「居場所か……。他にも仲間がいるの?」
「ええ。あと2人いるわ」
 案外少ない。10人とか20人とかいるのかとばかり思っていた。でも俺は少人数の方が好きだから少し安心した。
 俺と少女はその建物に入っていった。
「私は村町明菜。よろしく」
 いきなり自己紹介かよ……。ビックリしたじゃないか…。
自己紹介って……前世の名前でいいんだよな。
「お……俺は三月正人よろしく」
 思い切りキョドった。明菜は俺にあきれた視線を飛ばしていた。最高に恥ずかしい……。
 明菜は6階の605号室の前に止まった。俺もとまった。
「ここ。入るわよ」
 そういわれてあわてて明菜についてく俺。なんだかなさけねぇ……。
 
 部屋に入ると予想通りきれいな部屋が広がっていた。ちなみに中にはだれもいなかった。
「あれ……。誰もいないけど他の2人は?」
「学校にきまってんでしょ……」
 再び俺にあきれた視線を飛ばしてきた。やめてくれ。でも普通に考えてこの時間は仕事か学校にいくのがあたりまえだ。
 よく考えてみると疑問が一つ浮かんだ。
「なぁ。生まれ変わってる人ってもしかして全員同じ年齢?」
 冷蔵庫をあさりながら明菜は答えた。
「うん。あたしはもう17歳になったけど生まれ変わったばっかりの人は15歳よ」
 なんだかわからないけどとても気になった。
「なんで?」
「しらない」
 即答。ますます気まずくなったじゃないか。ここはなんとかして会話を弾ませよう。
「他の二人のどっちかはそのことについて知ってるの?」
「メシューって奴が知ってると思うよ」
 メシュー。まさか天国で会ったメシューなのか!? だとしたらぜひとも会いたい。
「あんた明日から学校いきなさいよ」
 は?学校って……どこにも入学してませんよ明菜さん。
「どこにも入学してないって思ってるでしょうけどもう入学したことになってるから」
 唐突過ぎる。これも生まれ変わった奴の特権なのかな。メシューに聞いてみるとしよう。

     

 俺はしばらく明菜と一緒に部屋にいた。特にやることもなく、つまらないテレビ番組を二人で眺めていた。会話は少しもない。
 すると突然インターホンがなった。何回も連打しているようだ。ピンポーンという音が何回も聞こえる。鬱陶しい……。
 明菜が部屋のドアを開けた。すると部屋の外から焦って喋る男の人が見えた。なにをいっているのかはわからないが、とにかく焦っている。途中から明菜も不安な顔をしだした。
 少し話したあと、男は走ってどこかに行ってしまった。
「あんた!! 敵がこの町にきたわよ! 早く準備して!!」
 というと明菜は部屋に立てかけてあった刀を手にとった。なんなんだよいきなり……。
「ちょ……。状況がわからないんだが――」
 俺の発言を遮って明菜は
「準備がないならいくわよ!!」
 といい俺の袖をつかんで部屋を出た。一体なんなんだ。さっきといい、今といい、まったくゆっくりするヒマがない。かんべんしてくれよ……。
「どういうことなんだよ!? 敵って――意味わかんねぇよ!」
「うるさいわね! いまは説明できないの! とにかくこれがあんたと私たちの使命なんだからだまってついてきなさい!!」
 余計意味がわからねぇじゃねぇか。なんだよ使命って……。
「ていうか村町。俺を連れて行っても戦力にならないぞ?」
「確かにあんたは戦力外よ。でもあんたを覚醒させないといけないんだからしかたないのよ! 私だって連れていきたくなんてないわよ。あんたみたいな雑魚」
 雑魚とかむかつくいいかたするなぁ。この女。それに覚醒ってなんだよ……。中二病かよ。本当にここは現実世界なのかってくらいこの女は意味のわからないことを言うなぁ。
 
 そんなことを思っているといつの間にか町のど真ん中に来ていた。町を歩いている人は一人も居なかった。なぜだろうと思って前を見ると100mくらい先に全長20mくらいのなぞの生き物がこちらに向かってきていた。どうやらそれのせいでみんな逃げてしまったようだ。
 そして明菜はズボンのポケットから携帯電話を取り出し、誰かに電話をかけ始めた。
「もしもし、私よ。いまからインビジブルフィールドを展開するからそこからあたしのインビジブルフィールドに移動して!」
 わけのわからないこといってんなぁ……。と思うと明菜は携帯電話をしまい、いきなりチョークを出し始めた。本当意味がわからないんですが明菜さん……。
 マンガで見かけたような魔法陣らしきものを書き終えると
『展開!』
 と叫んだ。なにやってんだよ……この人。
 心の中で明菜を馬鹿にしていたが、数秒たつとさっき明菜が書いていた魔法陣らしきものから光の縄のようなものが現れた。
 その縄のようなものは、俺と明菜、それと前方100mくらい先にいる謎の生物に絡みついた。
「村町!! なんだよこれ!」
 苦しくはないが、すごく奇妙だ。いきなりなにをするんだこの女は。
 明菜はブツブツ言い始めた。本当なにやってんだああ。
 
 するといきなり別の空間にテレポートした。
 青い光がただ薄く放たれている。それだけの空間だ。

「村町! ここはどういうところなんだよ!」
「ここは町を傷つけないために私が作った空間よ。ここなら思う存分暴れられる」
 なんとなくわかった。俺たちはコイツを退治するのが目的だけど町を傷つけたくないからここに移動したわけだな。
「あんた! ボーっとしてないで!! 敵が近づいてきたわよ!!」
 明菜にそういわれて後ろを振り返るとかなり近くまで謎の生物が近づいてきていた。
 俺がビビっていると明菜は生物の正面まで走り、謎の生物の足に斬撃を食らわせた。
 謎の生物はうなり声をあげて明菜を踏みつけようとしていた。

 

     ■ 




「はぁ、はぁ……なんで俺が戦わなきゃ……いけなんだよ!!!」
 いつのまにか俺が謎の生物と戦っていた。というより逃げてるだけだが。明菜は座って俺のことをジっと見つめているだけだ。
「おい村町! お前が戦えばすぐぶったおせるんだろ!?」
 俺はそういうが明菜は無視をしている。まったくたまったもんじゃない……。

 
 少し反応が遅れたせいか謎の生物のパンチが俺の腹に直撃した。痛いなんてものじゃない……。俺はすぐにその場に倒れ込んだ。
 あいかわらず明菜は俺のことを助けようとしない。

 謎の生物は俺に止めをさすかのように踏みつけてきた。――終わった……。明菜は俺のことをまだ助けようとしない。俺は又死ぬんだ……。2回死んだらどうなるんだろう……。俺は静かに目を閉じた。―――――が、いきなり体が軽くなった。
 そして瞬時に俺は謎の生物の攻撃をよけた。これが覚醒というものなのだろうか。いつのまにか傷も完全に回復している。なにより体が軽すぎる。謎の生物の動きがスローに見えるといっても過言じゃないくらいに。
 でも逃げ足が速くなっただけで肝心の攻撃はいつまでたっても出来ず、状況は変わらない。ただ単に人間からゴキブリになったような感じだ。
 
 だがそんな体も5分ほどするといきなり重くなり、さっきの傷の痛みも戻ってきた。また俺は倒れ込んだ。
 次こそ終わった。謎の生物が俺にパンチをしてきた。
 死んだと思った次の瞬間俺の前に刀が現れ、謎の生物の腕を切り裂いた。






         ■






 ……………。俺は目が覚めるとさっきの建物に戻っていた。どうやらあのあと気を失ったらしい。隣には見知らぬ男と明菜がいた。
「やっと起きたわ。まったく……体が弱いったら」
「起きて早々だが、俺は松川瞬時だ。よろしくな」
 松川……。さっき明菜が電話していた人か。瞬時……どっかで聞いたような。
「よろしくお願いします」
「三月正人くんといったな」
「はい……。そうです」
 多分この松川って人は明菜から俺の名前を聞いたのだろう。
「君はさっきの戦いで覚醒したんだな?」
 覚醒……よくわからないがそんなような感覚はした気が……
「多分……。そうだと思います」
「そうか。ならよかった。明日から特訓をするぞ」
 特訓ってどういうことだ。つまりなんだ、覚醒した力を強くするためとかああいうやつなのか。
「特訓って――」
 特訓ってどういうことですかって聞こうとする前に松川がいった。
「まぁそういうことだ!」
「は、はぁ……」



壱話 新しい人生~完~

       

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Neetsha