Neetel Inside ニートノベル
表紙

ニトマン。(元→【新都社文芸戦争】)
6ページ 狙い目と詰問

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『落花生:“一ノ瀬が居ない”、良いねえ。プロットもちゃんと練れてるし、充分やっていけるんじゃないかな』
『和田駄々:本当ですか? 落花生さんにそう言っていただけるとホッとします』
『落花生:はは、いやいや。もう半年過ぎちゃってるけど、このレベルなら今年の新人王も視野に入れていいかもしれない。相当更新ペースは頑張らなきゃいけないけどね。今年はここまで他に目立った新人もいないし』
『和田駄々:そんな賞もあるんですか』
『落花生:あるよ。ちなみに去年は青谷ハスカ先生が獲った。一昨年は後藤ニコ先生。橘先生と泥辺先生は後藤ニコ先生とデビュー年がかぶってるから獲り逃したけど、カツラ先生も獲ってる』
『和田駄々:えっ、その三人が同い年にデビューしてるんですか』
『落花生:ああ、その年は豊作だったなあ。黄金世代とか呼ばれてね。崩条リリヤ先生もいるし』
『落花生:とにかく、せっかくなら和田君には新人王を目指して欲しい。この先新都社で活動していくならカッコがつくし、新人王を獲った作家は大抵、将来ベストファイブにもなってる。――っと、そういえば、和田君は何か目標とかあるの? やっぱりプロ?』
『和田駄々:え? いや、まだプロを目指せるような自信はないです。けどやっぱり、新都社で活動を続ける中で声が掛かれば、とは思っちゃいますね』
『落花生:うん。最初はそれぐらいの意識で良いと思うよ。じゃあやっぱり新人王、先々ベストファイブを目指していく感じかな。一番の近道にもなるからね』
『和田駄々:はい。元々、ベストファイブは目指すつもりで投稿しました。ベストファイブを獲った泥辺五郎先生の作品を読んだのがきっかけですし』
『落花生:あ、泥辺先生の作品読んだんだ。さすがにレベル高いでしょ』
『和田駄々:はい。凄いと思いました。泥辺先生には敵いません。……あ、もちろん、他の四人になら勝てるという意味ではないです』
『落花生:わかってるよ笑 あーでも、元々ベストファイブは目指して投稿してきたんだ。それなら、“一ノ瀬が居ない”もベストファイブ入りを目指した方向性で作っていった方がいいのかな?』
『和田駄々:あ、何かベストファイブに繋がるやり方があるなら是非やってみたいです』
『落花生:うーん。これはよく言われる話なんだけど、新都社の“五大ジャンル”で一位を獲ることがベストファイブへの一番の近道ではある。一位を獲った作品を短編用に書き直せば入れ替え戦で勝てる確率は上がるし、入れ替え戦に出るまでもなく入れ替え会議であっさり選出されることもある。まさに泥辺先生なんかはこのパターンだしね』
『和田駄々:ジャンルには何があるんですか??』
『落花生:【スポーツ】、【日常(恋愛、学園含む)】、【ファンタジー(不可思議・SF含む)】、【ギャンブル(ゲーム系含む)】、【シリアス(推理系含む)】の五つだ。あくまで大別すればだが。そしてこれも新人みんなに話すことなんだが、現在の新都社ではこの五大ジャンルをそれぞれベストファイブの作家が占めてしまっている』
『落花生:伊瀬カツラ(シリアス・学園)、後藤ニコ(日常・学園)、橘圭郎(SF・恋愛)、泥辺五郎(ギャンブル・日常・文芸)、青谷ハスカ(スポーツ・ダーク)という感じだ。つまり、本気でベストファイブを目指すならば、“どのジャンルを書きたいか”ではなく“誰と戦うか”を選ばなくてはならない』
「…………!!」
『和田駄々:……なるほど。ちなみに落花生さんは、僕がどのジャンルを狙うべきだと思ってるんですか?』
『落花生:そうだな……。一応、現在ベストファイブの“第5位”は青谷ハスカ先生だ。が、スポーツというジャンルは向き不向きがありすぎる。誰でも書けるものではない』
『和田駄々:そうですね……スポーツはあまり得意じゃないですし、関心も強くない。多分、僕には書けないです』
『落花生:“一ノ瀬が居ない”を分類するならシリアスな【ゲーム】だ。つまり……、君が本気でベストファイブを目指すならば、泥辺五郎先生と戦うべきだと僕は考えている』
「!!!」


 ○   ○   ○


『……話を、聞かせてもらおうか』
『ふっ、しょーもない噂に左右されちゃって。情けないものですね~、編集長ほどのお方が』
『編集長:黙らっしゃい! 聞かせてもらおうか、代理執筆説の真偽について』
『青谷ハスカ:…………』
 ウィンドウに映る青谷ハスカが、小さく笑った。

       

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