Neetel Inside 文芸新都
表紙

動物の草原
もぐらの母の想いと言葉

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 草原にもぐらの母がいた。
 彼女の息子のもぐらはひきこもりだった。
 けれどもぐらの母は息子のことを信じていた。もぐらが一人前になる日がくると。
 だからもぐらの母はもぐらになにも言わなかった。心のなかでがんばれととなえながら。
 だからもぐらの母は息子のためにできる限りのことをした。
 ミミズを追い込んで彼の部屋に落としたし、彼の要望もできるかぎり叶えた。
 そんな日々は彼女が年老いて動けなくなるまで続いた。
 まだ息子のことを信じていた。
「がんばれ。がんばれ。信じてるよ」もぐらの母は死の間際までずっとそう思っていた。
 だけどもぐらの母は知らなかった。その想いがもぐらに届いていないことに。
 だけどもぐらの母は知らなかった。言葉にしなければ伝わらないことがあることに。

       

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