Neetel Inside ニートノベル
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「――まあそんな感じ」
 いつの間にか、僕は彼女の隣に座って、彼女の話に聞き入っていた。話の合間にもパソコンから携帯電話に行ったり来たりする手を見ながら、無心で。
 随所で今の僕と重なるところがあるたびにドキリとした。そのたびに湧き上がるのは会長への申し訳なさ。会長はどんな気持ちで僕の話を聞いたのだろう。あの笑顔の下にはどんな感情が隠れていたのだろう……。
「しんみりさせようと思って話した訳じゃないぞ?」
 照れくさそうにヒロミは言った。
「はい、わかってます」
 僕は考えた。彼になにかしてあげられないか。そうだ、彼はいつも頑張って仕事をして帰ってくる。労をねぎらうことも兼ねてなにか差し入れでも買ってこよう。三人分だ。みんなで食べれば楽しいし、美味しいだろう。きっと喜んでくれる。
「そろそろ会長さん帰ってきますよね? 僕ちょっとお菓子でも買ってきます」
「おー。あ、私ソーダ味のグミな」
「……好きなんですか?」
「わ、悪いかよっ」
「いえいえ。じゃあ行ってきます」
 僕は笑顔でそう言うとコンビニへ急いだ。


 

 

       

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