Neetel Inside ニートノベル
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「でよー、それでそん時アイツが私の邪魔したからさ――」
 ファミレスに入り、適当に食べ物を見繕って僕らは談笑し始めた。が、ヒロミの話すことと言ったらだいたい会長さんの事。普段聞けない話なので嬉しいと言えば嬉しいが、もうちょっとこう気の利いた話はないのだろうか? 最近の女子高生なら恋話とか、お菓子の話とかするんじゃないのか? いやまあ僕の妄想だが。
「本当はさー、私もアイツと一緒にヒーロー活動したいんだぜ? でもアイツがダメって言うからしょうが無くサポートに回ってんだよ」
「え、そうなんですか?」
「アブねえからだとさ。過保護なんだよ、アイツはさー。むしろ私を守れって感じだ」
 そう言ってヒロミはケラケラと笑った。後半はふざけて言ってるように聞こえるが、流れ的にはこれは本音じゃ? てかもうコレは確定だよな? 
「ヒロミって会長さんのこと好きでしょ?」
 思ったことを口に出してしまうのは自分の悪いくせだと思う。実際これで結構損をしてきた。
「ななgyふじこpっl@;:」
 今回は吉と出たようだ。男みたいな喋り方なのに実は純情ハートの持ち主さんだったとは。「まあまあ、隠さないでいいですよ。いやまあむしろ必然という感じですか?」
「ち、ちがーーう!!! 別に嫌いじゃないが……す、好きだなんてそんな……」
 ヒロミは怒っているのか照れているのかよく解らない表情になった。な、なんだろう。ちょっと可愛く感じてしまった自分が怖い。ヒロミは手元に置いてあったジュースを一気に飲み干した。そしてキッと僕を睨んだ。
「ぜってえアイツに言うなよ」
 重くドスの利いた声だった。これは絶対殺られると思った。
 ここから二人とも会長さんの話は自粛し、そのおかげでいろいろな話をした。実はヒロミは重度のヒーローオタクであるこが発覚したり、僕の父親は警察官なのだが、彼女がご厄介になったことがあったり、まあ大体ヒロミのことだが楽しい時間を過ごした。
「今度は三人で来ようぜ!」
 そして最後の別れの言葉の『三人』というワードに僕はとても幸せな気持ちになった。会長さん達の仲に自分が入っていたのがとても嬉しかったからだ。僕は居ても立ってもいられずに家まで走って帰った。

 

       

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