少し休むといくらか調子が良くなったようで、僕はほっとひと息ついた。
「いやはや、本当にありがとうねえ」
「いえいえ」
 オジサンはお礼を言ったあと、まじまじと僕を見た。
「その制服、もしかして住江高校の子かね?」
「ええ、そうですが」
「じゃあそこの生徒会長を知っているかね?」
 おお、会長さんは近所のオジサンにも知られているくらい有名なようだ。まあ学校内での人気を考慮に入れれば当然だろうが、自分の知り合いが有名だと自分のことのように嬉しく思える。僕が会長さんとは友達だというふうに話すと、少し意外そうな顔を見せたがすぐにニヤリとし「彼はね、僕の甥っ子で今は一緒に住んでいるんだよ」と得意げに言った。
「え!? じゃあオジサンは叔父さんってことですか!?」
「ふふふ、そうなるねえ。でも呼び方はオジサンでいいけどね」
 予想通りの反応を僕がしたのだろう、オジサンはとても満足気だった。たしかに喋り方や雰囲気がどことなく似ている。でも顔は会長さんの方が……。
「ああ、わかってるわかってる。自慢はこれっきりにするよ」
「ふぇ?」
 不意にオジサンは言葉を発した。周りを見渡す。僕が自分の世界に入り込んでいる間に誰かが話しかけてきたのかと思ったからだ。だが、周りには人影すらない。
「ああ、ごめんごめん。驚かせちゃったかな?」
「えっと……」
「しょうが無いじゃない、癖なんだもの」
 これは僕に対して言っているのか? それにしては先ほど僕に話していた時の態度と全く違う。もう全然状況が読めない。まさかこのおじさんは危ない人なのでは……。そう思うともうおかしい人にしか見えてこない。
「おっと、ごめんごめん。どう説明すればいいかなあ」
 もうオジサンの一挙一動が疑いの目でしか見れない。うわっ、頭を掻いてる。うわっこっち見た。
「最初に言っておくけどわしは別に精神病患者とかではないよ?」
「え、そうなんですか?」
 なーんだ。安心。
「わー素直な子」

 ちょっと和んだ。