Neetel Inside ニートノベル
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 翌日、終業日――


 明日からの長期休暇に胸を踊らせる人、またはこの後くる受験と言う名の戦いに決意を新たにする人などが下校していく中、僕とヒロミは屋上へと足を運んでいた。
「今日は来ますよね?」
「さっきメールはした。後はあいつ次第だ」
 ただ、返信は無かったとのこと。果たして来るかどうか運次第。いや会長さんの気分次第か。
 僕らが屋上に終業式が終わった後わざわざ来た理由。それは彼にあるものをあげようと思ったためだ。まあ隠す意味も無いので言うが、夏休みだ。
 夏休みと言っても当然学校のではなく、ヒーロー活動の夏休みだ。正直彼は頑張りすぎ、ならいっそ休ませてしまえ、ということだ。しかしただ休むだけでは何も得られない。なので宿題を設けることにした。

『ヒーローの力を取り戻す』

 これだ。デリケートな部分だし、取り戻せる根拠もない。でもその場でうずくまっているよりは数倍マシだ。それに足掻いた分だけ成長もあるだろう。
 これに僕とヒロミは協力を惜しまないつもりだ。そしてまた三人でヒーロー活動をしたいと切に思っている。
 山下先生の言った「他人を頼らせろ」これを実行した形になる。正直僕は会長さんからもっと頼られたい。沢山。そりゃあ向こうの方が何をするにも僕より数段上手なのは分かっている。でも、せめてどこか一点くらいはいいじゃないか。それが仲間というものだろう? いやまあ僕の妄想ですが。
「早く来いよ。まったく……」
 ヒロミの言葉は心なしか明るく聞こえるようになった。あの後自分の中で色々考えて決心したらしい。そろそろ、自分の気持ちに正直になると言っていた。この夏休みは熱くなりそうだ。
「なににやついてんだよ。キモイな」
「キモイはひどいんじゃないんですか?」
「だって本当の――」

 ズガアアアアアアアアンッ!!!!

 不意に鳴り響くけたたましい音と地響きが校舎を襲う。一瞬のことで僕らはあっけに取られた。そして音と振動の来た方向を向く。それほど遠くない所で火の手が上がっているのが見えた。
 

       

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