Neetel Inside ニートノベル
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 そうこうしているうちに、掲示板に書き込みがあった。
『全力ニート志望:住江町四番地付近で中学生が絡まれている模様! 至急来たれり!!』
「おっ、きたきた」
 ヒロミは携帯電話を取り出すとなれた手つきでメールを打ち出した。
「こうやって情報をあいつに送るんだ。んで、あいつがそれ見て助けに行くってわけ」
 送信ボタンを押しながら、どうだすごいだろうと鼻をふんとならした。でも僕は思った。これってとっても面倒なのでは、と。
「あの、このサイトって携帯でも見れるんですか?」
「ん、ああ。掲示板の書き込みのだいたいは携帯からだしな」
 ならば普通に考えたとしたら、『こっちで書き込みを見る→メールする→目的へ向かう』よりも『自分で書き込みを見る→目的地へ向かう』の方が効率も格段にいいはずだ。僕はその考へを彼女へ伝えた。
「私も最初はそれにして、私も――」
「?」
「――っと、あいつの携帯、規制かけられててネット見れないんだよ。いまどきの高校生が規制とかマジ笑うよな」
 一瞬言い換えたのが気になったが、それよりこの協力の仕方は本当に必要かどうかという疑問の方が今僕には気になる。「じゃあ携帯を貸すとかしたら――」と僕が言おうとすると、「あー? じゃあお前貸してやれよ」と即返答が返ってきた。
「えっ、それはちょっと……」
「私もそれと同じだ」
 この議論はきっと堂々巡りだろう。まあ高校生ができる範囲はこの程度なのかもしれない。


 それからもだいたい三十分に一回程度書き込みが入った。安全な街だとは思っていたけど、小さな事件やなどは結構起こっている現状には驚きと一抹の恐怖を覚えた。でもそれでも彼のおかげで平和なのだなと思うと、やはり彼はすごいのだなあとまた思う僕だった。

       

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