Neetel Inside ニートノベル
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私立もりもりハーレム学園
第1話 ピンク

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「屋上で食う飯は格別やな、リュウ」
「うるせーな。黙って食えよ」
 お昼休みの屋上。俺とリュウはお弁当を広げ、和気藹々とブランチタイムを楽しんでいた。
「おっ。その唐揚げジュースィーで美味そうやな。俺の玉子焼きと取り変えようや」
「ふざけんなクソが。唐揚げと玉子焼きじゃ価値がちげーだろ」
 俺と親しく話すリュウこと剛堂院龍(ゴウドウイン・リュウ)は、高校生活で一番最初に仲良くなった男だ。迫力のあるかっけー名前をしているが、サラリーマンと専業主婦との間に生まれた平凡な一人っ子だという。特に有名な血筋というわけでもないらしい。紛らわしくてイライラする。
 そんなリュウは自分の名前に恥じぬよう威圧感のある男を目指し、常にケンカ腰の口調を貫いている。その朗らかで優しそうなベビーフェイスから発せられる罵詈雑言は逆に怖い。笑いながら「殺すよ?」とか近づいてくる男を想像して欲しい。リュウはまさにそれだ。泣きそうになるだろう?高校に入ってまだひと月程度だが、すでに俺は何度か泣かされている。
「しかも何だよこの玉子焼き。焼き焦げてグズグズじゃねーか。こんなもん食ったら吐くわ。胃が腐るわ」
「せやかてこれ、妹が作ってくれたやつやで」
「えっ……」
 リュウは表情を変え、頬を赤らめた。
「じゃ、じゃあ俺食うよ……」
「なんやねんお前、急に態度変えよって。胃が腐る言うたばっかやないか」
「言ってねえよ。耳腐ってんじゃねえの?」
「いや、確実に言うてたわ。産業廃棄物級の玉子焼きやって言うてたわ。こらもう妹に告げ口せなあかんな」
「そこまでは言ってねえよ!つか告げ口とかマジやめろって。言ったらテメエ、ハメ撮るからな」
 リュウが微妙に恐ろしいセリフで俺を威嚇していると、工藤ちゃんが屋上にやってきた。
 風になびくスカート。そこから伸びる健康的なふともも。その白さに俺は産廃玉(産業廃棄物級の玉子焼き)といっしょに生唾を飲み込んだ。も、もうちょっとスカートがめくれれば、俺は今日の彼女のカラーを知ることができる。何色や、無難に水色か、それとも純白か、大人を意識したワインレッドか、ムラムラした気分で紫か、ん……くく、見えへん……。ちくしょう、工藤ちゃんマジでいい女だぜ。ていうか下半身しか見てなかった☆
 彼女は俺の高校生活で一番最初に仲良くなった女だ。あれは始業式の日、工藤ちゃんの仲良しさんである福岡咲子が「工藤ちゃん、工藤ちゃん」とイチャイチャしているのが微笑ましくて、俺も「工藤ちゃん、うふふ」と話しかけたのが始まりだった。
「は?あんた誰?ていうかいきなり馴れ馴れしくてキモいんだけど。お願い抱いて」
 そう言って睨みを利かせる彼女の顔は今でも思い出せる。最後の一言は、無かったような気もする。
 工藤ちゃんと福岡咲子(もとい、咲ちゃん)はとても仲良しで、ちょっと心配になるくらいのレベルでべったりだ。工藤ちゃんがあまり愛想の良い女でないことは諸君もすでに何となく分かっていると思う。その工藤ちゃんが唯一、心を許しているのが咲ちゃん(もとい、咲子)というわけだ。ちなみにこの咲子、俺の双子の妹である。俺の名前は福岡健。関東生まれ関東育ち、エセ関西弁大好きな、福岡健。よろしくな!
 そして俺が咲子の双子の兄であることを知った工藤ちゃんは、それはもう、がっつり俺に興味を示した。
「あんた咲ちゃんの兄貴なの?双子?いたの?うっそ、初めて知った!もぉ、咲ちゃんってば教えてくれれば良かったのに。でもそれにしてはコイツあんま咲ちゃんに似てないね。ていうかブサイクじゃね?生まれたときの振り分けポイントで咲ちゃんに容姿全部持ってかれたの?あははっ」
 ひどい女だ。それはもう、ひどい女だ。性別の違う双子なんだから似てないに決まってるだろう。二卵性ソーセージとかそういう系のアレだ。いや、それより女子にブサイクって言われるのはいくら俺でも結構傷ついたんだ。
「ブサイクとか薄毛とか言うなや!俺かて好きでこんな顔に生まれたんちゃうわ!咲子みたいに美形に生まれたかったわ!」
 俺は吠えた。事情を知らんクラスメイトたちがビックリして振り返る音量で吠えたったわ。俺にもプライドがあるんや。
「お兄ちゃんうるさい。ていうか恥ずかしい。だから工藤ちゃんにも隠してたのよ。お願い黙ってて。ていうか工藤ちゃんに近寄らないで。できればいなくなって」
 女っていうのは、本当に、言葉を選ばない生き物であることを俺は学んだ。

 そんな調子で私立森山学園での、俺の学園生活は始まったんだ。
 名前と態度は荒いけど実は捨てられた子犬をそのままにしておけない優しさを持つナイスガイなリュウ。
 お風呂から出たあとのプリンを自分へのご褒美に楽しみにしているOLみたいな女の工藤ちゃん。
 俺と同じ穴から出てきた妹の咲子。
 全知全能の俺。
 青春ハートフルバイオレンス小説『私立もりもりハーレム学園』は非定期更新予定だぜ。屋上の話はまた今度な!チャオ☆

       

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