Neetel Inside ニートノベル
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「しかし、まだ人数がたりないなぁ。」
どんぶり片手にナナさんは言っている。腕がいかにも折れそうなくらい細いから見てるこっちは、心配でいっぱいなんだけど。
そして、ドンッという音を立てておく。ガラスのテーブルが痛がってそうだ。
「とりあえず誰でもいいから拾ってくるか。」
「は?」
「へ?」
「ひ?」
その誘拐宣言に僕と蘭子さんは驚いた。一人乗り遅れもいたみたいだが。
「という訳で、フミ。後の説明をお願い。今から誰か拾ってくるよ。」
そう言って、棚から縄を取りだして右手に装備。背の高い扉を明け、消えてしまった。まったく自由行動すぎるというか、子供っぽいというか。
何もできずに、ソファーに座る僕たち。その前には今度はフミさんが座っていた。この人行動早っ。
そして、僕たちの入った「Royal Warrant」について説明してくれた。あ、そばおかわりくれるのですか・・・。

まずは人数とランク。
フミさんを含めて今は6人+3人。この3人は僕たちのことである。
今までいた6人について紹介してくれた。ギルド内のランクはトランプのポーカーで決まっており、Aが一番位が高い。
Aは総長のナナさん。あれで本当にすごい人なのかどうかよく分からないけど。あんま詳しく教えてもらえなかったし。

Kの啓蟄(けいちつ)さんと、Qの白露(はくろ)さん。この人たちも兄妹らしい。同じ兄妹としてはぜひ関わってみたい。しかし、名前が実に読みにくい。日本の人じゃないのかなぁ。啓蟄さんは23歳、白露さんは20歳で大人なんだぁと思った。総長間違えてるんじゃないかと。

Jの智士(さとし)さん。この人は戦闘バカってフミさんは言ってた。まあ、このような人はたいていグループに1人はいるものなのかと考えた。だってよくあることだし。17歳で、僕の1つ上ってところか。

そして10の慎次(しんじ)さん。Jの智士さんと一緒の学校に通っていたらしく。2人はよくケンカするらしい。そして、この人も戦闘バk(ry・・・らしいです。智士さんと同級生。

で、フミさんはJOKERである。ポーカーでJOKERはすべての代わりとなれる。ここでもそういう意味でのJOKERらしい。年齢はヒミツとか。まあ、女性にそのようなこと聞くのもアレだしね。
そしてここロイワラの目標はただ一つ。

 世界征服

 そんなことを考える人はもうこの世にいないと生きてきたが、ナナさんの目標はそうらしい。みんなも、納得の上ロイワラに入ってるとか。
 僕は正直そんなのどうでもよかった。ただ、ナナさんに恩義を返せれば十分。妹はおまけでついてきたような物だ。本人も
「世界征服。なんだかカッコいいね!」
とか言ってたし。蘭子さんはこんな非常識にどう対応するのか期待していたが、案外あっさり承諾していた。僕と同じような考えでもあるのだろうか。

 そして、公式の戦闘ランクについて。
 魔法というものが生み出された以上、それを使用する個人の能力差がでるのは当たり前だ。世界の中心である世界政府「テンゴク」では、能力規模によってランク付けを行い、そのランクによってギルドやつける役職に制限をしていた。
 ギルド管理局に勤めるにはA以上とか、護衛任務をするには☆以上とか。世の中では各種このような制限がつけられていた。いわゆる免許として扱うため、ほとんどの人がランクを持っている。というかそうでないとこの世界では生きていけない。
 一応、下はFから始まって、最高ランクは☆☆☆となっている
 ロイワラは名の知れたギルドである。クセをもったギルドとしては世間的にも十分浸透していた。
 だが、いざふたを開けると中身はアレなわけで。酷かったです。

ナナさん、フミさん→なし
啓蟄さん、白露さん→☆☆☆
智士さん、慎次さん→☆☆

 肝心の総長がランクされてないって・・・。
 そう思うのも仕方ない。なんせギルド総長は少なくともA以上の能力がいるのだから。
 このギルドは本当に大丈夫なんだろうか。
 一瞬そんなことが脳裏によぎった。なんか嫌な雰囲気になってきた。
 で、そして拍車をかけるようにフミさんが一言
「Royal Warrantはギルドではありませんしね(笑)」

\(^o^)/

 とりあえず今の気持ちを表現してみました。僕の夢のロイワラがまさかの偽造ギルドであったとは。しかも(笑)とかつけれてるよ・・・。
「でも、そのかわりに日本帝国からはお金をもらってるんですよ。ロイワラは基本、そっち系の仕事優先なので。」
「やっぱり国王とか守る仕事もしてるんですか?」
 そう尋ねたのは蘭子さんだった。さっきまでは特に様子は普通だったけど、急に食いついてきた。
「たまにですけどね。基本は専属の方々がいらっしゃいますし。」
「そう・・・、ですか。」
 そう言って、また黙ってしまった。いろいろ気になったけど、初日からこう堂々と踏む込むのはやめとこう。
 ちょっと気まずい空気になってしまった。だれか切り替えてくれないだろうか。
 そこへゴスロリ神、ナナさんが返ってきた。しかもなんかサンタみたいに白い袋背負ってるし。
「みんなへクリスマスプレゼントだよー。」
といって、その白い袋を床においた。

かなり袋は大きい。人ひとりは余裕で入れる大きさだ。というか、だれか入ってる?さっきから、もぞもぞしている。なんか怖い・・・。
 そして、ナナさんが袋の口を開ける。

 そこには、縄で縛られた女の子がいて。
 口にはガムテがしてある訳で。

 ロイワラ今年最初の仕事が誘拐という、ひどい事態に遭遇してしまった僕たちであった。 
「この子抵抗がまた凄くて。傷つけれないものだから結構時間かかっちゃったよ。」
堂々と犯行宣言してるけど、ダメでしょそれ。
とりあえず、その子の紐を外してあげようと席を立つ。「はなしてあげましょうよ」と言うためにナナさんのとこへ行こうとした。
そして目線がナナさんと合う・・・って合わない?
自分よりもナナさんのほうが若干目線が高かった。それはつまり背もそっちのほうが高いわけで。
「・・・。」
「・・・ぷっ。」
「ちょっ、何笑ってるんですか。僕の背のことは気にしないでください!」
「いや、私よりも背の低いのがいたんだなーと。」
そう言って後を向かれてしまった。なんか口押さえて震えてるし。
 とりあえず、縛られてる子の縄をほどいてあげた。これで楽になるだろう。
 そう思ってたら、いきなり足が飛んできた。
 危うくお腹をけられそうになったので、僕は一度後へスッテプし回避、そしてその子の首回りに腕を回して拘束。っていかんいかん、いつもの癖が。その子かなりぐったりしちゃったし!
「あ、これで同犯じゃないか。やったね!」
「お兄ちゃん、それはいくらなんでも・・・」
「同感ですね。目が殺しに行ってます。」
 ギャラリーからすごい言われようだ。
 仕方ないじゃないか。自分の身を守るためだったし。
 とりあえず、体を揺すってみる。あ、生きてる生きてる。大丈夫でしょ。
「うぅ・・・ん。」
 気づいたみたいだし。いいかな。

 とりあえず、話せる状態まで待ってた。と言っても数分後にはもう自分でソファに座ってくらいだ。大丈夫だろう。
「それで、ここはどこなんですか?」
その質問にナナさんが答える。
「ここはRoyal Warrant。通称、ロイワラ。まあ、君なら知ってるでしょ。いや知っているのは当然のはずだ」
「ええ、もちろん。私を誘拐するとどうなるのか分かってるんですか?あなた死にますよ?」
 随分と強気な子だった。僕たちと同じ、普通じゃない子なのかなぁ。
 僕が考えてる中、話はエスカレートする。
「別に、そんなことは私にはどうにでもできる。」
「それは私のセリフです?」
「そう。まあ君にあげるよ。まあ、こんな大晦日に路上で一人で座ってたんだ。誘拐してくださいと言っているようなもんじゃないか。」
「くっ・・・。」
 すごい形相で相手を睨みつける。
「まあ、とりあえず自己紹介でもしてもらおうか。」
 話をナナさんのほうから切り替えてきた。
「私の名前は加越能 愛(かえつのう ちか)。あなたも知ってるでしょうが、加越能グループの娘です。言っておきますが、あとから『すみませんでした』とか言っても嫌ですからね。」
 この堂々とした自信、やっぱり金持ちの子かぁ。
 確かに、この世は金があれば全てが叶う。この子はそうやって生きてきたんだろう。支配する側の人間として。
 しかし、本当の頂点は力だ。お金など、力を間借りするだけの繋がりでしかない。切ることなんて容易だ。
「ふーん。別にいいけどね。それで君、ここに入らない?」
 さっきの話がなかったことにされている。本来の目的がそうだからっていくらなんでもすっぽかしすぎだ。
「あなた、話を聞いてないんですか?」
 下等の物を見る目で話す愛さん。なんか、雰囲気は大人なんだけど、やっぱり外見は中学生にしか見えない。やはり育ちが違うのだろうか。
 そこにナナさんが食い込んでくる。
「だって君は家に帰りたくないんじゃないのか?」
「・・・。」
 話が止まってしまった。家に帰れないから、路上にいた訳か。
「まあ、時間はきにしないさ。君も帰るところなさそうだしね。今日はうちで泊まっていくといいよ。また明日にする。その時に君が決めればいい。私のもとにくるか。それとも私を殺すか。」
「・・・。」
 無言のまま、ナナさんが話続ける。
「君が自身の能力に落ち込むのなら、私のところに来てほしいね。そもそも加越能のところでは君の能力は腐るだけだ。それと・・・」
 一瞬、間があった。たった一瞬。なのにすごく空気が重くなった。そして、ナナさんの口が開く。
「嫌なら私を殺そうとすればいい。その醜い金の力でね。だけど、君が私のメンバー達に手を出した場合、容赦なく君を殺し、君の家族にも消えてもらう。それだけは忘れないように。」
「選択肢の意味わかってますか?」
「ええ。だけどこれが現実だよ。それは君の方こそよく知ってるでしょ。」
 そう言って、ナナさん奥の部屋へ行ってしまった。
 放置された僕たちに対して、フミさんが今度は代わりに世話をしてくれた。
 とりあえず愛さんは、ここで泊まるらしい。相当広い部屋だからどこか空いているのだろう。
 そして、僕たちはここに住むことになった。どうやらロイワラの規則らしい。荷物が全て部屋に置いてありますって早すぎでしょ。こんな年末によくやってくれたなぁ。
「荷物はこの転送装置で送りましたので、手間はかかりませんよ。」
「!?」
 そう笑顔でフミさんは答えてくれた。ヤバい。この人心読んでくるよ・・・。そして笑顔が怖い。
 僕たちは渡された鍵の番号たよりに各自部屋に向かった。こういうのホテルみたいだなぁ。というかここホテルっぽいよ。
 自分の部屋となった扉の前に立つ。番号はⅦと書いてある。いい数字だ。そして、ドアノブの握り部屋へ進む。

       

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