Neetel Inside ニートノベル
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Royal Warrant
1st article Law And Order

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Royal Warrant 1st article

Law And Order

 窓から入る日差しが僕を起こしてくれた。
 現在時刻AM 7:00。いかにも平均的な起床時間であり、かつ健康的だ。それでも、昨日の寝た時を思うともう少し寝てもいいくらいなのだが。
 まだ頭が働かない。なれない場所だとどこか緊張してしまい、普通うまく寝れないものだが、僕はぐっすり眠ってしまったみたいだ。
 とりあえず、洗面台のところへ向かう。場所は覚えたつもりだったが、途中で通路を間違える。ここの部屋数は正直不便だ。
 鏡には自分のまだ目覚めきってないボケーっとした顔。そして長い髪。昨日、お風呂の後に即ベッド行きをしてしまったせいで、爆発していた。それはもう、重力を無視するぐらいに。アホ毛とかいうレベルじゃなかった。そして顔にまとわりつく。
 この髪は親の形見であるからうかつに切れない。
 親がまだいる時、頭を撫でてもらってうれしかった。その時のものを切り捨てることができずにそのままだ。サーシャもほぼ同じ髪型だが、僕の方が長い。そしてどういう訳か、今まで1本とも抜けたこともない。これも自分の「確率操作」と関わるのだろうか。
 このアートな髪をとりあえず整髪。ついでに洗顔するために蛇口をひねりぬるま湯をためた。
 蛇口を止める。ところがいくらたっても水面は波打ったままで落ち着かないままだ。正直さっきから地面が揺れている。地震ならサーシャが感知して知らせてくるから違う。
 気になって、外をのぞいてみた。3階からなので一望できる。そこには、ナナさんと2人の人が戦ってるみたいで、

「けーにー!とりあえず合成して水素爆弾用意して!」
「分かってるって!そんなことより総長止めろって!これ以上、戦ったら合成する分の魔力が残らねーよ。」
「オッケー。30秒だけよ」
 2人で作戦会議後、女の人は筒らしき物を抱えてナナさんの後方へ回る。男の人はナナさんと対峙しているみたいだった。
 男の人は190cmぐらいありそうで、槍による攻撃。圧倒的なリーチだが、ナナさんには回避されている。―――――と思う。僕には早すぎてよくわからない。
 それに対してナナさんは素手。相手との間合いに入り腹部に軽くジャブ。触れたようにしか見えなかったが、相手は吹き飛ばされ、後の壁面に衝突する。
「・・・くっ。白露、時間はとったぞ。最後の賭けだ!」
 そう告げた後、男の人の体は透明になり、水になった。その場には水が残るのみ。最初からこれはみがわりだったようだ。
「これで終わりよ!」
 後方から女性がそう告げる。手には例の筒が。というかあれはレーザー砲では?
 僕の主要な装備は銃なので、そういったものに対しては知っているつもりだ。あれはそもそも軍艦付属の物だから人の魔力では使用が不可能だとおもうのだが。
 僕の推測に反して、筒から明るい光が。ちょ、それこっちの方向!
 今僕の前にナナさん。その奥に筒の人。男性は―――横の壁面にもたれかかっていた。
 このままじゃ、当たる。というか塵一つとなく消滅する!
 なんでこんな朝早くからゲームオーバーなことになってるのか。考えが遅いからなのだろうか。僕の頭はそんなに起動にすぐれないのでやめてくだい。
 まぶしさから目を手で覆う。ナナさんの様子に変化は見られない。
 光が漏れ出し、発射される。こちら側に紫のレーザーがとんで―――来ない?
 紫の極太レーザーはナナさんの前で止まっている。左手を手前に出すだけの動作だけで完全に防がれていた。
 砲撃が終了し、まぶしさが抑えられる。ナナさんの周りには焼け焦げた跡が。その中に丸いきれいな箇所があり、そこにナナさんは立っていた。
「ハーちゃん。レーザーは大量破壊専用って前教えたでしょ」
「それはちゃんと覚えてますよっ」
 その返事とともに投げられたのは、四角い箱?だが明らかに危険なカオリがする。おそらく、さきほど言ってた爆弾なのだろう。
 その箱が地面に墜落、そして発光。相手への殺傷ではなく目くらましが目的であったみたいだ。その直後、空気を切るように激しい突風がナナさんっを襲う。
 ようやく目を開けれるレベルになったので、様子を確認する。
 そこには、ナナさんを目の前にして横たわる女性の姿が。
「ハーちゃん。前よりもかなり攻撃パターンが増えていいですよ。圧倒的なパワー、それをあえて主力にせず本命はカマイタチ。その発動を2階の閃光の中で溜めることができている」
「ぐっ・・・でも攻撃が届かなかった」
 苦しみながらも女性は答える。
「そのスピード攻撃を回避するには2種類方法がある。1つはあらかじめ使ってくることがわかっている場合。もう1つは、その速さ以上の判断力と行動力がある場合。前者はほとんど可能性はない。なぜならたいてい、そのカマイタチをくらったら死ぬからね。後者の場合、行動後のスキで君が死んでる。今回は後者の場合だよ」
「―――そうですか。今日も組手、ありがとうございます」
「ま、詳しい考察は朝食とりながらするよ。」
 そうして、戦闘が終わる。朝の静けさが戻る。
 何事もなかったように。
 僕は震えた。うれしいのだろうか。恐怖からなのだろうか。
 あんなに強いひとがたくさんいてうれしい。そんな人と実践もできるのだろうから。
 そして、昨日ランクで☆☆☆であったあの2人を無傷で倒す総長。明らかに、その人間離れした力。その力とぶつかりたい気持ちもあったが、圧倒的な力量差により恐怖感もあった。
 そんな気持ちを胸に含め、僕も朝食の会場へいく。ロイワラは基本食事は全員で食べるのがモットーらしい。全員集合しやすいからだとか。
 とりあえず、隣の部屋のサーシャの部屋へ行く。あいつは不規則生活すぎるからなぁ・・・。

 朝食の場は、面接の時の場所だった。あの時と違うのはこのやたら長いテーブルがあるかないかだ。本当に全員集合しているみたい。
 テーブルにはすでに、ロイワラの面々が。僕はサーシャの手をひいて、とりあえず空いている席に座る。
「おはようございます。フィオさん、サーシャさん」
 隣の席に座っていた蘭子さんから朝の挨拶。表情も昨日と同じ、しっかりとしている。でもしっかりしているのはそこだけで、服装はパジャマだった。そしてその隣には、捕獲された愛さんも。そっちもパジャマでなんかすごい眠たそう。
「おはようございます。愛さんはまた眠そうですね・・・」
「そうそう。昨日寝る前にこの子がやってきて、何かと思えば『一人じゃ寝むれない』って言ってきてもう大変でした。その後いろいろお互いのことの話をしていたら遅くなっちゃって」
 僕でも2時だったんだ。眠いはずだ。
「えーじゃあ私もお兄ちゃんのところに行けばよかったよ。寂しかったし・・・グスン」
「たまには1人で過ごす経験も必要でしょ。いいかげん16歳なんだし独立してくれ」
 そんな話が弾む中、ナナさんか朝の挨拶。
「みんな、おはよう。いただきますの前に今年から新しく入った仲間がいるので紹介を。左からサーシャ君、フィオ君、蘭子君、チカ君だ。ちなみにフィオ君は男だから間違えないように」
ブフッ!!
 なんか僕の対面の人がなんかむせてる。そんなに驚くことないのに。
「で、新人たちに紹介を。私が総長のナナで、そこのメイド服なのがフミ」
 フミさんが一礼し、そして朝食の準備をしに行ってしまった。
「ならんで、そこのデカい男女が啓蟄と白露だ」
「一応、リーダーの啓蟄だ。まあ、ケーちゃんとかでも全然大丈夫だから、そう呼んでくれ」
「私はそのケーちゃんの妹の白露よ。まぁハーちゃんでいいかな?」
 そう2人は自己紹介してくれた。しかし、本当にデカい。デカいとは失礼なのかもしれないが、日本に来てこれだけ大きい人はあまりみなかった。特にケーさんは、さっき見た通り190cmはありそうだ。つまり自分よりも50cmも上。僕もそこまでとは言わないが平均はほしかったよ。
「そんで、そこの剣もってるバカ2人組が智士と慎次」
「私が神崎智士(かんざき さとし)だ。以後よろしく。ちなみにバカなのは、この慎次のことを代表していっているのだがな」
「って何デマ吐いてんの!?ったく、俺が柏尾慎次(かしお しんじ)。この智士のバカの言うことは聞かないように。ホント、身がもたねーから」
 なんかさっそくケンカしてた。フミさんの言ってた通りだった。なんか腰に手を近づけてるし。なんで両方とも刀もって来てるんだよ・・・。
「ま、こんな感じのギルドだ。分からないことがあれば、いろいろ聞くよーに。先輩はこたえるよーに。いいですかー?」
 ダルイ調子の問いかけだった。それでも先輩さんたちは
「はい」
「もちろん」
「承知した」
「了解っ」
返事がよかった。それだけナナさんは認められているんだなぁと思う。
「それじゃ、いただきます!」
 その掛け声で朝食を取り始める。さっきからきになってたパンを手に取ろうとしたら、サーシャと手がかぶった。あ、向こうデザートにいった。
 とりあえず朝の疑問点を解消すべく問いかける。
「あ、じゃあ1つ聞きたいのですが、さっきケーさんとハーさんとナナさんが戦ってましたけど、あれって実戦か何かですか?」
「あれは、朝の組手の練習。総長はみんなの能力把握のために、必ず戦闘し様子を知る。この朝食後に君たちにもやってもらうつもりだったけど」
 あれは組手なのか。そうなのか。あれが組手だったら、戦争ってことばいらないんじゃないかなぁ。
「ちなみに新人組はランクって何?」
 実にまっとうな質問である。この社会はランク重視。それを知ることは相手を知るのと同等なもの。
 よくある質問なので答えやすかった。
「僕とサーシャはCです」
 すぐに答える。
「私はBです」」
蘭子さんは僕たちの一個上だった。やっぱ年上っぽいし、ランクも上かぁ。「―――F。というかやったことない」
愛さんはそう言った。そんな経験をする必要のない子だし、仕方ないと思うけど、ナナさんはどう思うのだろう。
「うーん。みんなはそれいつ試験した?」
「8年前ですね。それから保証人がいなかったので、受けれていませんでしたし」
 僕たちは両親を失ったあと、別のところに引き取られて生活してきた。独立したのは1年前。その間、保証人対象となる人物がいなかったので試験を受けることができなかった。
「私は4年前です。いろいろとあって受けてません」
 蘭子さも彼女なりの事情があるみたいだった。特に気にならなかったし、聞くのもあんまりだったのでやめておく。
「それじゃあそれも後でやろう。愛、君も対象だよ」
「―――はい」
 あんまり元気がなさそうだった。そのランクがFなのか、単に眠いだけなのか。どっちにしろ低い返事だった。
「じゃ、今日はそういう予定で。10時からとりあえず実践」
「わかりました」
「ほーい」
「了解です」
「―――うん」
 そして朝食を再開。バイキングに近い感覚だったし、好きなのが食べれるのがこんなにもうれしいことか。朝食そんなにしっかりと取ったことがなかったからなのかもしれない。

 対面でさっきむせてた、智士さんの隣の慎次さんが話しかけてきた。容姿は袴をきており僕が歴史書でしった古の日本人のスタイルだった。
「そのー、フィオちゃんは本当の男なの?総長に無理やりそういう設定にされたとか?」
「いや、本当に男ですよ。いろいろ試してみましたが結局こんなのになっちゃって」
「うんうん!個性個性!気にしない気にしない。それじゃあこの後一緒に大浴場でも―――――」
 なんか誘われた。本当に気にしてないのか?
「おい慎次、フィオ君が困っているだろう。特にお前と2人で行動なんて危険すぎる」
 横から智士さんが助け舟を出してくれた。この人、しゃべり方からしてかなり知的な感じだもんな。信用できそうだし。
「変わりに、この私が一緒に大浴場に入ろうではないか。それなら問題なし―――――」
 前言撤回。この人もアウトだ。なんか危険なカオリがする。そうなんか暑苦しいような―――。
「そこの2人バカ。どうせあんたら変態行為でもするんでしょ。フィーちゃん困ってるんだからやめなさい」
 ハーさんが今度は加わってくる。そしてフィーちゃんか。なんでもいいので頼むから助けてください。
「ま、フィーちゃんは私と一緒に入浴入浴♪お姉さんとなら大丈夫だよー。ほーら一緒に―――――」
 全然ダメすぎる。ここは変態集団か何かなのか・・・。
 その発言に対し、ナナさんから一言。
「フィオ君はとりあえず扱いが面倒なので、『女』として扱います。なので、大浴場もそっちを使ってください」
 まさかの発言に、倒れ込む人と勝利のガッツポーズをする人が。もうこの決定は変えられなさそうだ。総長命令だし―――。

 慌ただしいかった朝食を終え、とりあえず部屋に戻る。服装をどうするか朝食の時に考えていたが、ナナさんが「何でもいいよ」と言っていたので、今まで着ていた服にする。
 僕は単に外観がアレなだけであって女の子向けの服を持っているというわけではない。とりあえず頭に浮かんだコーディネートに従うようにした。まずは、クローゼットの扉を開ける。
 そのには自分の服ではないものがおいてあって。
 最初は間違えたのだと思った。
 サーシャとの取り違えをしたのかと。
 あいつの部屋に行ってみたが、荷物はあっているらしい。
 どこに行ってしまったのだろうか・・・。
 でも、自分のところにあったものは全部女物。しかもなんかフリフリが多いものばっかだった。
 あれはナナさんのじゃないのかと。
 一番考えられる結果だ。
 部屋の中に常設されている電話機から、ナナさんのところに掛ける。番号は00っと。
 なんでもこの電話機は500年前の技術からあまり変わってないらしい。当時は線で結ぶ必要があったらしいけど、今はそんなものはない。電話は数キロ離れた場合に使うもので、数百メートルのレベルなら魔法による会話のほうが使い勝手がいいものだ。
 なんて歴史のうんちくを考えてたら、つながった。
「はい、ナナですけど―――どした?」
「いや、僕の服どこに行ったのかなーっと」
 単刀直入に聞く。正直かなり困っている。
「ああ、あれは別館の倉庫のほうに。で、君には別に用意した服装があるだろ。昔私が使用していたものだがな」
「あれを着ろってことですかっ!」
「さっき言ったじゃないか。女として扱うと。それに、君にあげた衣装は普通のものじゃないのでね。これから実践する上で、どうしても摩装具は必要になってくるから」
 つまりあの服装はナナさんの使ってたもので、魔法耐性を付加したものだという。自分はそういったものを持っていないので、どのような効果があるのかは知らないが。
「まあ、君の妹さんのほうにもあげたから。着たいのがあればそっちでもいいよ」
「はぁ・・・」
「ちゃんとこれにも意味がある。そう思えばいいんじゃないかな?」
 たしかにそうである。無意味なら必要ない。
「はい、わかりました」
 とりあえず会話を終わらせ、着替えることにした。なるべく足が見えないものを―――――。

       

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