Neetel Inside ニートノベル
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魔道普岳プリシラ
第三十二章『暁の幼帝』

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 ここは大スウィネフェルド帝国の旗艦、移動要塞ガルフェニアの冥王の間。
(父上、霧島薙は必ずやり遂げて見せる。繰り返しに聞こえる祖国の名誉のためにも……
だから、天から余を見守ってくれ)
 嵐の中で輝いて、その夢を諦めないで。
「こと、ここに至っては、最早、致し方ないが……確かに、勝算があるのだな? 国民を
未曾有の大乱に引き込んで、尚、足るだけの」
幼帝霧島薙=スウィネフェルドは、家臣達を集め軍議を開いていた。
「ご安心ください、陛下。速戦即決のプランがございます。戦争は一月と続きません」
「うむ、ならば良し」
カマンダラ=高雄執政官。かつて、大陸の半分を支配し、暁の大帝と謳われた先々代の代
から仕える重臣中の重臣で、帝国の実質的な権限は彼が握っていた。
「大乱世に変わりはないが、私の代は、姦雄の類が住めぬ世だ」
ニィっと口端を吊り上げ霧島薙は、年端もいかぬ少女の容姿に似つかわしくない邪悪な笑
みを浮かべた。まだ、穢れを知らぬ童女である彼女にとって、川神の玉の輿に乗ったと耳
にする金剛吹雪の人物象は、俗物としか聞こえなかったのである。そして、霧島薙は、こ
う、続けた。
「長かった歴史の一章が終わった。古鷹ゼウスもクックルーンも過去の人になった。スウ
ィネフェルド家のみがこれからの歴史に責任を負うのだ!」

       

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