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魔道普岳プリシラ
第七十四章『帰国子女』

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 雷暗は途方に暮れていた。戦艦フリートエルケレスが母国旗艦の際、レムレースに転校
することになったからである。クラス委員の仕事は、今後は金剛吹雪が努める。
「暇です……」
(嗚呼、死んだ父上と母上様のことを思い出す――)
魔法学園は過激では合ったが、割と楽しかった。暇をもてあます事は、少なくとも、なか
った。早々に最終防衛ラインを再構築することが不可欠。雷暗は柿寄中尉とコンタクトを
取る為に、大坂城を中心とする篭目の結界。その一つの結び目である日和ん山に壕を築く
事を提案した。
「私は暇じゃないな、これでも、仕事をしている」
防空壕をカモフラージュして、迷路のような塹壕にする。それを工事入り口にして、地下
基地を作る。
「言い付け通り、聖機兵は持ってきてくれましたか?」
「無論。若桜の原子力要塞にネェル・ガトリングスも接舷させている」
地下基地を強固な物にして、地上戦に耐える。
「何せ、20万もの兵を預かるのだから」
「貴方に指揮権はありません」
『むう……』とだけ、言って、食い入るように准将は地下基地の図面を見ている。茶菓子
を食べながら、色々と練っている様だ。浮遊大陸が飛行する為の動力など、計算に入れる
必要があるらしい。
「なら、これは私の独断になるが、よろしいでしょうか?」
中尉は眠そうに聞いた。階級は他国の代物であるから、両者が敬語だ。特に、この二人は
軍籍が複雑でもある。
「よしなに」
ここに地盤を築く必要がある二人だ。浮遊大陸王の血を引く没落貴族と、国家元首のいな
いラティエナ北部に戸籍を持つ高等検察官。
「師団を三万人単位で割ると、6師団で2万人余る。それを私の部隊に組み込んでも、よ
ろしいか?」
「うーん」
雷暗は面倒っぽく頭を掻いた。
「ご自由に」
この場合、四天王プラス雷暗、そして、八重山で第六師団まで固まる。すると、中尉の師
団が近衛師団となる。陸士1万と海兵2万である。
 もうすぐ、夏が明ける。残暑の中、地下基地は建造は進む。その後、二人は魔法学園の
夏休み明けまで徹夜作業で基地を仕上げていった。これにより、実質上、浮遊大陸の平坦
も終わった事となる。その後、柿寄は退役することなく、二階級特進して少将と也、各戦
線を飛び回る事となる。

       

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