Neetel Inside 文芸新都
表紙

世界一巨大なチンコを持つ人の生涯
事件編

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眠りについてから数時間後、朝九時か十時くらいに、目が覚めた。
自分から起きたわけじゃなく、山岡に無理やり起こされた。お前のせいで寝る場所探してたんだぞ。そのせいで寝不足だったんだぞ。と文句を言いたいところだったが、どうやら焦っているようなので話を聞いてあげた。
寝起きだったので、あまり覚えていないが、要約すると「仕事だ。着替えろ。早く。マジで。」という内容だった。俺はとりあえず用意されていた簡素なシャツとジーンズに着替えて山岡の後を追い部屋の外へ出た。

「こっち!こっち!」と急いでる山岡について行くと、その横には例の熊本、淫乱セオドアがいた。
朝から嫌なものを見てしまった。淫乱セオドアが、「おっす。」と言ってきたので、俺は「どうも。」と返した。この人とは一生仲良くなれる気がしなかった。掘られたくも無かったし、懸命な判断だった。
淫乱セオドアは、「今から撮影現場行くから、表に出てジープ乗れ。」と言った。表に出ると、車に詳しくは無いので解らないが、ジープという名前の車があった。山岡は、「スゲー!ジープだぜジープ!」と、子供のようにはしゃいでいた。ジープに魅力は感じないが、好きな人は好きなんだろうなと思った。
とりあえず山岡を放置しておくと、前のドアを開けて車内へ入った。きっと淫乱セオドアが運転するんだろうと思っていたので、俺は後ろに乗り、コイツは淫乱セオドアがゲイってことを知らないんだな。と、ほくそえんでいた。

しばらくすると、淫乱セオドアと、少し幼い感じの女の子が並んで玄関の外にやってきた。ああ、女優の子なんだな。と、判断できた。
ツインテールの女の子だった。年は16、17に見えなくも無いが、それだと犯罪なので18か19だろうとは思った。「あの女の子可愛いなー。」とか山岡と話しているうちに、二人が車へと近づいてきた。
女優が運転席のドアを開けて、今日お世話になる田中です!と元気に言って、運転席に乗り込んだ。田中だか佐藤だか中田だかは既に覚えていないので田中にしておくが、俺はここで違和感を感じていた。
そう、田中は、運転席に乗り込んだのだ。しかもその後、シートベルトをした。そうなると、もちろん後部座席に座るのは、ヤツだ。

淫乱セオドアが、「うっす。」と言って後部座席に乗り込んできた。俺はこの時、処女を失うことを覚悟した。

     

ジープという車は、一部では崇められているらしいが、俺にとってはトラウマとなった。
あの車の後部座席は、別れていないタイプ、つまり、連結式だった。つまり、一人の巨漢が座れば、もう一人はその巨漢に圧迫されることになる。
しかも、あのジープという車は、妙に横に狭い。つまり、淫乱セオドアと俺の体は、密着していた。完全に密着していた。
淫乱セオドアの汗でじとっとした二の腕が俺の肩にあたった。最悪の気分だった。しかも、臭い。汗臭いのだ。デオドラントなら用意されていたはずだったが、汗臭かった。
しかも、淫乱セオドア、どうやら俺をどうにかしたいらしく、妙にふとももを触ってきた。カーブでは俺のふとももを支えに使い、安定を取っていた。陰茎を最初から左に入れていたのが幸いして、陰茎にはノータッチで済んだのが幸いだった。
山岡は山岡で、田中と楽しげに喋っていたし、俺に話をふってくると、俺は答えるのだが、その隙を見て淫乱セオドアが俺の陰茎に手を伸ばしてきていた。
最悪の30分だった。

30分もすると、やっと目的地へとついた。淫乱セオドアは、何か嬉しそうな顔をしていたが、俺はすっかりと痩せこけていた。
街のど真ん中のビル。というか俺達が所属しているAV製作会社、ヴェルガのオフィスがあるビルだった。
田中が先に行き、その後に山岡、俺、淫乱セオドアの順番で並んで歩いていた。淫乱セオドアの鼻息が俺に当たって、最悪の気分になった。
その後、エレベーターを田中が呼んだ。そのエレベーターを待つ間に、淫乱セオドアに、「お前、いいケツしてるな。」と言われた。この時ばかりは、流石に今すぐ仕事を止めてまた引き篭もろうかと思った。
エレベーターが音を立てて辿り着き、皆が乗り込む。淫乱セオドアが乗っても重量オーバーにならないのが、凄いと思った。
その後、24階へと辿り着いた。AV撮影現場であった。

     

淫乱セオドアが、「待っててくれ。」と言って、エレベーターに戻った。俺は、ついに開放されたと思って、凄く清々しい気分になれた。
そして、山岡に、「俺、あの人に狙われてる気がするんだけど。」と言うと、山岡は大笑いして、「それは無いだろ。」と言った。その後、俺は帰りの席は山岡が淫乱セオドアになるという約束をさせた。
このことがあんな事件を引き起こすとは思ってもいなかったが、今は思い出したくは無い。

それより、そんな話をしていると、エレベーターのドアが開き、チョコレート三津が出てきた。
田中が、「おはようございます!」と頭を下げたので、俺と山岡もそれに従い、「おはようございます!」と頭を下げた。
チョコボール三津は、「そんなのしなくていいから、とにかく今日は見学だ。お前らは昨日パートナーとヤったろ。だから今日は本番おあずけだ。」と言った。

俺は「えっ」と腑抜けた声を出してしまった。それにすぐさまチョコボールが、「お前は秋目とヤったろ。今日帰ってからも実践あるから、今はとにかく見学しておけ。」と、あきれたような口調で言った。
「お前チンコでかいし性欲あるし犬みたいだな。」と笑いながら山岡が言った。その場は、みんな、「ハハッ」と小さく笑い、その後数秒の沈黙が続いた。

     

数秒の沈黙の後、チョコレート三津が一度だけ咳払いをして、「とにかく、今から向こうの部屋で講習を行うから、ついて来い。」と言って、その部屋へと向かった。
俺と山岡は「ハイ。」と返事をして、さっと向かっていった。向かっていった先で、まさかあんな事態が待ち受けているとは、思いもしなかった。

     

俺と、山岡、そしてチョコレート三津は、同じ部屋に入っていった。ドアを開けると、そこには、凄惨な光景が広がっていた。割れた窓、赤いベッド、力なく転がった動かない赤と肌色の物体。秋目さんだった。秋目さんが、全裸で横たわり、股間から血を流していた。

俺は、何を考えていたかわからない。何も考えていなかったのかもしれない。山岡も、チョコレート三津も、俺も、固まっていた。

しばらくしてチョコレート三津が、「救急車だ。」と言った。俺と山岡は、「えっ」と言うと、チョコレート三津が、「救急車だ!」と叫んだ。すぐに山岡が携帯を取り出し、救急車へのダイアルをプッシュした。そして、冷静に対応し、救急車を呼んだ。その後に、チョコレート三津は、ゆっくりと秋目さんに近づいた。そして、秋目さんの、細く白い手首に手を当てた。

チョコレート三津は、小声で、「救急車はだめだ。」と言った。そしてその後、「警察を呼べ。」といった。山岡は携帯を取り出し、少しあせった口調で警察を呼んだ。俺も事態は把握できた。つまり、秋目さんは、死んでいた。それだけは、理解することができた。

俺は、膝から崩れ落ちて、泣いた。それだけしか、出来なかった。他に何かやるべきことも思い浮かばなかった。とにかく、泣いた。声が枯れるまで、涙が尽きるまで、泣き続けた。

     

秋目さんは殺された。そして、犯人は、カルロスだった。信じたくは無かったが、明らかであった。
証拠は揃っていた。検察の主張によれば、秋目さんの体内には、カルロスの体液、つまり精液が残されており、ベッドや窓枠、その他多くの物からカルロスの指紋が検出されたらしい。
秋目さんの死因は、陰部の裂傷による大量出血による死亡。とされていた。

後から聞いて知った話なのだが、カルロスの陰茎は勃起したときに異様に"太くなる"陰茎だったらしい。俺の陰茎は、"長くなる"であって、あまり太くはならないが、カルロスのソレは、あまり長くはならないが、太くなる陰茎だったらしい。
それを挿入したことにより、陰部が裂け、その結果失血死。といった流れだったらしい。その後、カルロスは窓を突き破り逃走。とされているが、窓の外にはベランダなんて無かった。屋上からロープを垂らしていたらしく、それを利用して屋上まで行き、なんらかの方法を使用し、逃走した。ということだけが明白であった。つまり、カルロスのソレは、計画的犯行であった。

ショックだったのは、もちろん秋目さんの死であったが、もうひとつショックだったのが、犯人が知人であったことだった。カルロスは、どう見ても殺人をするようには見えない。確かに彼はメキシコ人であったが、"メキシコ人=悪人"という訳でもない。人のよさそうな笑顔は、人をすぐに信じさせた。今思い出すと、吐き気すらしてしまうような笑顔だった。

とにかく、その後俺が取った行動は、"復讐"であった。秋目さんは俺の彼女ではなかったし、俺が一方的な恋愛感情を抱いていたのは明らかな上に、出会って間もなく死んだ。しかし、俺の愛情は、もはや狂気としか言えないような愛情であった。

ただ、カルロスに関しては全く手がかりも無かった。後に、彼のパスポートは偽造であったことが判明し、出生やその他、全てが不明であった。アメリカのアルファベットが数文字で略されているような部隊も協力してくれていたが、彼に関しての情報は一切手に入れることが出来なかった。
結果的に俺は、金を集めることにした。カルロスに復讐をするために。秋目さんのあだ討ちのために。

       

表紙

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