A:お金払うレベル
B:すごい
C:まあまあ
D:う~ん
E:気にするな
<リス園>
作品:パレット
文章力:C
読みやすさ:B
ストーリー:C
キャラクター:B
勢い:B
雰囲気:B
オリジナリティ:C
完結経験:不明
異能小説の若き先鋒リス園。
しかし作品に流れる軽快なテンポで描かれる厭世的なムードはリスというよりドブネズミ園に近いものがある。
主人公は冒頭間もなく、努力して成績をあげれば教師にカンニングを疑われる羽目になる。それを気に病み徘徊していたときに声をかけてきた警官さえも、リス園の世界ではそう易々と役には立ってくれない。
そんな灰色の世界で主人公は誰と出会い、何を思うのか? 今後の活躍に期待したい。
少年らしいナマの「絶望」の描写においては、群を抜いている。
<ムラムラオ>
作品:くすんだレモネードを手にとって ほか
文章力:C
読みやすさ:C
ストーリー:C
キャラクター:C
勢い:C
雰囲気:C
オリジナリティ:C
完結経験:あり
中編クラスの作品をいくつか手堅く完結させてきたことで知られるムラムラオ。
一時期新都社を離れていたが現在は無事復帰を果たしたようである。
最新作「くすんだレモネードを手にとって」は
キョンシーのヒロインを主軸に添えたコメディライトノベルである。
少々ギャグがスベっているのが辛いが、それも愛嬌と割り切るか
ムラムラオを個人的に愛しているなら、その安定感は目を見張るものがある。
ニャンコが出てくるので猫好きなら一読してみるのもいいかもしれない。
<インギー>
作品:Carmilla! ほか
文章力:B
読みやすさ:C
ストーリー:B
キャラクター:B
勢い:C
雰囲気:B
オリジナリティ:C
完結経験:あり
ライトノベルらしさ:A
設定の緻密さ:B
いくつか特別項目を付け加えたがご容赦願いたい。
新都社における作品の読み始めとして、コメント欄が非常に重要な要素をになっていることは言うまでもない。単純な話、2ちゃんの和やかな本スレみたいになってたら読むし、過疎ってたり荒れてたらプイっと読まずに去ってしまう。それが現実である。
しかし、それでは『Carmilla!』の真の力は目撃できないとあえて言おう。
吸血鬼を題材としたライトノベルであるが、その実はヘヴィノベルである。読み進めていくとわかるが、ラブコメというよりも大河的な展開に流れていく話である。群像劇に近いと言える。
初っ端のラブコメはなかなかいい香りの耽美っぷりであるが、終始このテンションというわけではないので、ここで沈みかけてもちょっと我慢するとそこに待っているのは剣と魔術と吸血貴族たちが織り成す一大叙事詩である。
吸血鬼・魔術・ライトノベル。
この単語から想定されるものはすべて『Carmilla!』に詰まっているといっても過言ではない。
裏を返せば教科書的な作品ということになるが、これから小説を書く人、時間が余っていて
ややソフトながらちょっとカタい感じのラノベが読みたい人にはオススメの作品である。