Neetel Inside ニートノベル
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 あの室長集会から約2週間後、私は組織の中で最も予算を獲得している第一部署に来ていた。
 第一部署は今現在国々で最も必要とされている禍紅石の技術を研究しているため、予算も人員も他の部署より随分と多い。そのため、自然と私がこの第1部署に留まることも多くなる。
 私が研究の進行具合を確認していると、よく知っている者が話しかけてきた。
「連絡係殿、少しお時間よろしいですか?」
「…時間は大丈夫だが、何の用だ?」
 私に話しかけてきたこの男は、ベスタリオ・ブレイズ。研究者としての能力は高い方ではないが、まとめ役としては中々の実績を持ち、第一部署の室長補佐を務めている。
「ええ、なんでもダンテ…、ダンテリオの奴があなたに聞きたいことがあるらしいんです」
「分かった、この報告書を読んだら彼の研究室に向かおう」
 ダンテリオ・ブレイズ、ベスタリオの弟で研究者としてはこの第1部署のみならずリーズナ―の中でも1、2を争う実力者だ。性格面で少々、いや、かなり問題のある人間だがそれを差し置いても優秀な人間であることに変わりは無い。
 私は資料を一通り読み終えると、ダンテリオの研究室に向かう。
 通常、研究室は3人から5人程度の人間が同室で研究を行う形となっているが、ダンテリオの場合誰かと組ませた方が効率が落ちるため、この研究室は彼一人で使っている。勿論、その理由以外に彼と誰も組みたがらないというのもあるが、こんな状態で研究を許されているのもダンテリオの能力の高さ故だ。
「入るぞ」
「ああ、どーぞ」
 床に散らばった資料をどかし、椅子に置いてあった本を片付けると私と向かい合うようにダンテリオは椅子に座った。
「聞きたいこととは何だ?」
「まあちょっとばかり聞きにくいことなんだけどねぇ…」
 ダンデリオは全くと言っていいほど日に焼けていない白い頬を指で掻くと、薄汚れた眼鏡越しに半開きの目で私を見詰める。
「このままじゃ気になって仕方ないし、率直に聞くけど、君人間じゃないでしょ?」
「――」

       

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