Neetel Inside ニートノベル
表紙

Hs(エイチ・エス)
白雪。

見開き   最大化      


「ただいま。」


狭い廊下に響く私の声。
靴を脱ぎ、電気を点けて居間へと歩く。

年中出しっぱなしのコタツの上には
晩ごはんが用意されてるということも無く
家に帰ってくると、まずご飯の支度を
しなくてはいけない、ということも無い。

トースターの横にそなえてる
うすい食パンに手をのばし
冷蔵庫からマヨネーズを出した。
私の主食。我ながら不健康だ。

食パンを頬張りながら、
テレビをザッピング。形式だけだ。
どうせ一巡したってテレビなんてみない。

鞄の中には宿題を溜めてるが
これもやらない。やらなくたって
卒業できてしまうんだ。
こんなのに労力を払いたくない。


部屋の隅に置かれてるパソコンに
電源をつける。ログイン画面を待つ間に
もう1枚食パンを取りに行く。

mixiをチェックして、Skypeに入って
ネットで知り合った人たちとチャットして
眠くなったら電源を落として寝る。

ふと、この時間を何か別のことに使えたら
私って、凄い人になれるんじゃないの?
とか、考えた時期もあった。
考えただけで終わる、典型的なアレなパターンだ。


そして、やったわけでもないのに
自分ができないことを何かのせいにする。

あの子ができすぎるんだ。
今からやっても遅いって。
小さいころからやってたらなあ。

そんな私が得意なのは、
ネット上で男をたぶらかすことである。
まったくのクズだ、と自嘲気味に
笑う日々である。


嗚呼、私はクズだ。

       

表紙
Tweet

Neetsha