Neetel Inside ニートノベル
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カスタムロボOriginalNovell
09『ノー・ルール』

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 何戦やったか数えるのも億劫になったころ。カトレアさんは髪を掻き上げ、「今日はこれくらいにしておきましょうか」と言って、ベルをホロセウムから回収した。俺も、心なしボロボロになったベータ・レイを回収し、ため息を吐いた。
「セイジ」後ろから、ずっと俺とカトレアさんのバトルを見ていたミズキが、何かの錠剤を差し出してきた。
「なにこれ?」
「ダイブ酔いの薬。一応、飲んだ方がいいんじゃない」
「おお、そっか。ありがとう」
 ふいっと顔をそっぽに向けるミズキから錠剤を受け取る。照れてんのかね、ガラにもなく。
 ――しかし、困った。俺、薬は水がないと飲めないんだよな。世の中には水なしで粉もいけちゃうって人もいるらしいが、俺には無理だ。ここ社長室なんだから、コーヒーサーバーくらいあるだろ、とか思って部屋を見渡してたら、コーヒーサーバーどころかドリンクバーみたいなのがあった。さすが大企業だなー、とか思いながら、コーラを注いでグイッと薬を飲み込む。
「んじゃーカトレア。あたしらはそろそろ帰るわ。やっぱこの会社って雰囲気、苦手でさ」
 カリンさんはわざとらしく肩を回し、「セイジくんもほら、帰るよ」と手招きをする。俺はもったいなように感じ、コーラをもう一杯、喉に流し込んだ。
「あなたは変わりませんわねえ……。まあ、全部終わったら、また帰ってらっしゃいな。あなたのことは、長期休暇扱いにしてありますので」
「あんたねえ……。一流企業の社長が、そんな仲良しごっこみたいな事していいわけ?」

「仲良しごっこ? そんなのしたことがありませんわ。私はいつだって、合理的で最善の判断をしているつもりですもの。優秀な人材を逃さない為なら、会社の規則くらい、ねじ曲げますわ」
「――ま、気が向いたらね」
 二人は、堅い握手を交わし、その日はそれで、解散となった。
 なんというか、二人からは、苦労を共にしてきたような、黙して語れる絆というような物を感じた。


  ■


「それじゃー、あたしはお仕事があるから、君達はカスタムロボの練習でもしていなさーい」
 カリンさんは、俺たちを公園に送り届けた後、トラックを転がしてどこかに行ってしまった。さて、俺たちはどうしようか。そんなことを三人、相談していた。
「ロボステでバトる?」ミズキの提案に意見を入れたのは、アキラだった。
「ホロセウムならここにもあるだろ」と、公園の中心に、遊具のような佇まいで置かれたホロセウムを指さすアキラ。
「公園のホロセウムって、なんか子供の物って感じがしてイヤ」
「わっがままだなー……お前」
 こいつら、もしかして仲悪いのかね。俺の友人同士、俺の顔を立てると思って仲良くしてくれないかなー。ため息を吐いて、俺は二人の肩を叩いた。二人の視線が俺の顔を捉えた所で、考えていた言葉を唇にセットし、放つ。
「お前らよー。どっちかポータブルホロセウム持ってねえの? 持ってるんだったら、俺ん家でバトれるだろ」
「「持ってる」」
 二人共持ってんのかよ。だったらどこでだってできるじゃねえか。
「んじゃーウチ行くぞ。ったく、お前らは……」
 公園を出て、俺の自宅に向かって歩きながら、他愛の無い話をした。他愛の無い、というか、ほとんどカスタムロボの話だ。
「セイジのウチ行ったら、ホロセウムはアイスバーンでバトルね」
 アイスバーン……。ああ、ミズキと初めてやった時の、一面氷の床ってホロセウムか。
「いいや路地裏だろ! 俺の野獣殺法見せてやる!」
 どちらも自分が得意とするホロセウムでバトルしようと、口でバトルしてやがる。どっちでもいいだろ別に、なんなら順番でやればいいじゃねえか。もしかしてこの意見は、自分のホロセウムを持っていないから言える物なのかね。自分の得意とする場所でやりたいというのは、わからなくもないのだが。
「お前らいい加減にしとけよなー。ケンカすんなよ、俺が恥ずかしいだろうが」
 ウチでもエリナとシイナの二人が仲良くしてる中、なんとなく疎外感を感じるというに。どうも俺は関係者になりきれてない感じがするんだよな。今も、二人は俺の話なんて聞いちゃいない。
 一抹の寂しさを感じていると、視界の端で、何か動いたような感じがした。その方向には路地があって、その狭い道の中程に、人が倒れていた。
「おい! アキラ、ミズキ! あそこに人が倒れてる!!」
「へ?」
 アキラの間抜けな声を置き去りにして、俺はすぐに路地へと入り、その人の元に駆け寄った。見れば、その男性は青い制服を着ていて、ポリス隊であることがわかる。後から追いかけてきた二人も、男性の傍らに立つ。
「ちょっと! 大丈夫ですか!?」
 俺は、男性を抱き上げ、そう声をかけた。目元にシワが集まって、目を開いた。
「あ、いつ、は……どこだ……?」掠れて途切れ途切れな声。しかし、俺の周りに、あいつと称されそうな人間はいない。なのでとりあえず、「誰もいません」と首を振る。
「君達……逃げろ、……ここは、危険だ……」
「逃げろったって……近くだれもいないぜ?」
 周りを見渡すアキラ。確かに、俺達以外の生物なんて、ポリバケツの上に横たわる猫くらいなものだ。気絶してしまったポリス隊員の頭を地面にそっと降ろし、立ち上がる。そして、俺と入れ替わるみたいにミズキが屈んで、近くに転がっていたロボキューブを拾う。ポリス隊員の物だろうか。
 じっとそのキューブを見つめるミズキは、きゅっと唇を一文字に結び、「私がこれからすること、誰にも言わないで」と言った。
 なんだかよくわからないが、俺とアキラはそれに頷く。確認したかはわからないが、ミズキはそのロボキューブに向かって、祈るように俯いた。その時、ミズキから、ダイブ特有の集中力というか、気配のようなものを感じた。――もしかしてこいつ、他人のロボにダイブしようとしてんのか?
「おいアキラ……ダイブって、他人のロボにはできないんじゃないのか?」
「ああ。普通そうだ……」
 互いに小声で、なんとなくミズキの集中力を見出さないように気を遣う俺達。
「けどな。ハーフダイブっつって、他人のロボにダイブすることができる人間がいるんだよ。――すげえ珍しいけどな。世界に五人、いるかいないかだ。まあ、ダイブできるっつっても、他人のロボを動かせるわけじゃない。そのコマンダーがダイブしていた時に見ていた景色や、考えていたことを感じ取れるだけらしい」
「……それ、すげえ能力じゃねえか」
「いいことばっかでもないらしいぞ。ハーフダイブの能力者は、普通のコマンドができないらしい」
「ちょっと待て。ミズキは普通のコマンドしてただろ」
 俺はあいつと戦ったからわかる。あいつは確かに、マーキュリーとして俺と戦ったんだ。
「ああ、それはそうなんだけど……」
「見えた」アキラの声を遮るように、ミズキが呟く。そして、いきなり電源が切れた玩具の様に、ばったりと地面に膝をつく。
「おいおい、大丈夫かよ!」
 俺はミズキの背中を摩り、ヤツの顔を覗き込む。フードでよく見えないが、唇の色が紫になっている。
「ハーフダイブは精神的にも肉体的にも負担がデカイんだ……」
 アキラの言葉を背に受けながら、ミズキに「犯人は、どこ行ったんだ」とゆっくり訊ねてみた。あまり急かしても、疲れているだろう。
「……む、こう。黒いヘアバンドで前髪上げてる、高校生くらいの男……」
 と、路地の先を指さしたので、俺はそっとミズキから離れて、路地から飛び出した。
「アキラ! ミズキを頼んだ! あとポリス隊に連絡な!!」
 そう支持を出し、アキラの返事も確認せず犯人の男を追った。おそらくまだ、近くに居る筈だ。抜けた先の住宅街を、カンで走っていると、目の前を歩く一人の男が目に飛び込んできた。その男を追い越し、顔を確認する。黒いヘアバンドで、黒髪を上げており、ボサボサだ。セットしてないのをごまかす為にヘアバンドをしている、というような感じだ。目は細く、なんか常に笑顔を見せてるような、そんな感じ。えびす顔とでも言うんだっけ? 歳は、俺よりちょっと上くらいかな。多分高校生。
 服装は藍色のジャージに、黒いTシャツ。そのTシャツには白い文字で、『忍』と書かれていた。――俺、ミズキのハーフダイブが無くても、こいつの事怪しいって思えたかも。
「なんでござる少年? 拙者、ちょっと先を急ぐのだが……」
 拙者って。「あんた、さっき、向こうの路地でポリス隊とバトっただろ」
「――むう? はてさて、少年。貴殿はどこでそれを? 周りに人の気配は感じなかったはずでござるが……」
「ポリス隊にケンカふっかけて、逃げてんなよ。きちんと謝ってこい」
「――イヤでござる」
 えびす顔、というより、蛇のようないやらしい微笑み。
「どうしても、というなら、拙者にバトルで勝ってみせるでござるよ」
 そう言うと、地面にポータブルホロセウムをセットし、ロボキューブを取り出した。ポリス隊は、ロボティクス犯罪と戦う為、その構成員たちも優秀なコマンダー。そんなポリス隊を倒したのだから、こいつの力は相当高いはずだ。――しかし、こっちだって、カリンさんとカトレアさんの地獄メニューをこなしてるんだ。相打ちくらいにはしてやるさ。
「わかった。バトルだ」
 腰のキューブホルダーからキューブを取り出し、キューブのボタンを押して、カスタマイズ。まだ相手のカスタマイズも、どんなロボかもわからない。だったら、俺が今できる最高のカスタマイズしかない。
「それでは、我が忍道、とくとご覧に入れましょう!」
「撃ち抜け! ガンマ・レイ!!」


 降り立ったホロセウムは、森の中。様々な形の木が立ち並び、薄暗い。その中で、俺と忍者の様なロボが向かい合う。緑の髪に、口元はマスクで隠し、藍色の忍者装束を着ている。
「拙者のロボ、ハンゾウの忍術、とくと見よ!」
 そう言って、やつはボムを自らの足元で爆発させた。思わず目を覆い、その行動を後悔。バトル中に相手から目を逸らすなと、カトレアさんから言われていたのを思い出したからだ。案の定、目を開いた瞬間、ハンゾウはいなくなっていた。
「チッ――! あの野郎、どこに!」
 辺りを見回しても、その姿は見当たらない。忍者だけに、隠れるのはお得意ってわけかい。そんな言葉は負け惜しみにしかならないので、言わないが。
「忍法、分身の術!」
 どこからかの声と同時に、三人のデフォルメされたハンゾウが現れた。おそらくポッドの攻撃――。さっきカトレアさんが言っていたな。複数の弾が出るポッドは、ホーミング性能が弱い傾向にある、と。だったら、サクっと躱しちまえば――。
 相手がどこに居るのかもわからない。あまりうかつに動くわけにはいかないので、少しだけ身を躱すことにした。
 しかし、紙一重で躱したはずが、そのポッドは俺へと方向転換し、爆発。
「ぐぉぉッ!?」
 その爆風で上にカチ上げられてしまう。まずい。このままでは狙い撃ちにされる――。されたくないと思っていることほど、されてしまうもので、正面から六つほど手裏剣が飛んできた。空中ダッシュ――は駄目だ。間に合わない。腕をクロスさせる気持ちばかりのガードで、それを受け、地面に叩きつけられた。
「う――」地面に叩きつけられた背中は、ロボなので別にダメージはないが、おかしい。
 カスタムロボは、ダメージを食らえば多少なりコマンダーにダメージが返ってくる。しかしそれは、特別痛いというほどでもない。なのに、なぜ、あいつから受けるダメージはとんでもなくデカいんだ。俺の身体が、悲鳴を上げている。意識も飛びそうだ。
「てめえ……そのパーツ、普通じゃねえな!?」
 今まで戦ってきたどのパーツより威力がある。それだけは、初心者の俺でもわかる。
 残り二体のポッドから逃げまわりながら叫んだ。
「その通り。これは、違法パーツでござる」
 姿は相変わらず見えないが、森の中から響いてくる声が答えた。
「違法、パーツ?」
「カスタムロボには、安全制限(レギュレーション)という、『人を傷つけるほど威力のあるパーツを作ってはいけない』という法律があるのでござる。その法律を無視したパーツが、違法パーツという」
「――はぁん。なるほど、ね。つまり、ロボバトルが弱いヤツが遣うパーツ、ってことかい」
 たっぷりの皮肉と、ほんの少し感じた事実を混ぜて、叩きつけたやった。しかし、響いてくるのはこらえた笑いが漏れるような声だけ。
「そうも限らんのでござるよ。違法改造されたパーツやロボは、本人に返ってくるダメージも大きい。使いこなすためには、強くなければならんのでござる」
「……それ、普通にバトルしたほうが面白くねえか」
「面白い面白くないでやっているのではないでござるよ」嘲笑の混じった言葉。「拙者達のバトルは、戦いそのものでござる」
「――んなこと、カスタムロボじゃなくてもいいだろ!」
「都合がいいのでござるよ。体長三十センチにして、人間以上の戦闘力を有するカスタムロボは」
「……わざわざ子供のおもちゃを汚すような真似、しやがって」
 ほんと、胸糞悪い話だ。
 どんな道具でも、使い手次第で悪いことにも使えてしまうんだな。
「表のコマンダーには何を言っても無駄でござるな」
「裏のコマンダーに何言っても無駄だな」
 皮肉を返せるだけの余裕が自分にあったのは驚きだ。どうも空元気と呼べそうな種類の物ではあるけれど。――そして、今さらながらカスタマイズミスったな、と思った。あいつのカスタマイズなら、アルファ・レイで食らいついていったほうがよかったかも。
 ばら撒かれたポッドから逃げるのも、ちょっと苦しくなってきたし。
「おいどうした! お前、ポッドに任せて見てるだけしか能がねえのかよ!」
 頼むから出てきてくれ。安い挑発で引っ張り出そうとするが、こんなので出てくるわけもない。もう一押し必要だ。
「裏っていうのはあれか? 物陰のことか? それで一端のコマンダー名乗ってるんだから、こっちが顔赤くなるってもんだ!」
「――そこまで言うなら、お見せしよう」
 突然、後ろから声が聞こえた。振り向く間も無く、背中に衝撃が走る。先ほどのガン攻撃だろうか。それだけはわかったので、吹き飛ばされながらも空中で振り返り、その姿を確認する。
「我が分身の洗礼を受けるでござる」
「あ――」
 首だけ振り返り、自分が吹き飛ばされている方向を見ると、そこにはすでにポッドが設置されている。しまった。全部処理しておくんだった、と後悔も束の間。その後悔ごと、俺は再び上空へはじき飛ばされた。
「うがっ――!!」
「忍法、散り桜」
 奴は木に跳び乗り、俺の上空に出ると、ガンを構えた。
「裏のコマンダーの力、その身に刻みつけておくがいい、でござるよ」
「う、るせええ!!」
 俺は、カリンさんからもらった3ウェイガンを構え、ヤツと同時に放った。


  ■


 まるでガンマ・レイからはじき出される様に、意識が俺の身体に戻ってきた。その瞬間、全身の力が抜け、地面に倒れた。
「うっ……く、そ……」
 結局、完敗してしまった。カリンさんやカトレアさん。あの人達にも完敗したが、今回のそれは話が違う。あの二人には、レベルの差ゆえに負けた。それ故、いつか届けばいい、という目標が芽生えたというのが、負けた感想だ。しかし今回は、圧倒的強さではなく、反則技で負けたのだ。悔しい、不甲斐ないという思いしか沸かない。
「拙者の勝ちでござるな。表の少年」
「――何をしている、サスケ」
 ジャージの男――サスケの後ろから聞こえる声。なんとか首だけ起こして見れば、金髪をオールバックにした、喪服の男が立っていた。鼻が高く、顎が細い。欧米人のようだ。
「ああ、ジェームズ殿。いやなに。表のコマンダーにケンカをふっかけられただけでござる」
 それを聞いた喪服の男が、俺を一瞥する。
「子供に付き合うなサスケ。我らは目立つわけにはいかないんだ」
「わかったってるでござるよージェームズ殿。拙者は忍者でござるよ? 目立たないことに関してはプロでござる」
「――その喋り方、どう考えても目立つと思うがな。それと、ポリス隊狩り、という意味のわからない行動も」
「手厳しいでござるなあ」
 喪服の男は笑っていないが、談笑しながら踵を返し、去っていこうとする。しかし俺は、残った力を振り絞り、立ち上がると、「ちょっと待て!!」と叫び、やつらを振り向かせた。
「俺の名前は、セイジだ」
「くっくく……」口元を押えがなら笑う忍者野郎。「では、拙者の名前を覚えておくといいでござる。我が名はサスケ。ではまた、セイジ殿。次は一撃くらいは食らわせてくれるよう、祈っておくでござる」
 再び、俺に背を向けて歩き出すと、やつは喪服の男と共に、歩いていった。その背中が消えるまで見送ることは叶わず、俺は再び倒れてしまった。
 空は曇っている。そろそろ夕方だからなのか、雲にはうっすらと茜色が混じっている。それを楽しむ間もなく、俺は意識を手放した。


  ■


「あのセイジとかいうコマンダー。ちょっと油断ならないでござるな」
 セイジと戦った場所から、少し離れた場所に停められていた黒のベンツに乗り、繁華街を走っていた。そして、助手席に座っていたサスケが、窓の外を眺めながら呟いた。ジェームズは、何を突然と訝しみながら、「何故だ」と訊ねる。
「最後、ガンを撃たれたのでござる。躱して、自分のガンを全部命中させた――そのハズだったのでござるが、拙者のガンをいくつか躱したのでござる」
「――ほう」
「耐久性から鑑みるに、どうもあの少年、その前に何回かバトルをこなしてるでござる。おそらく、それでロボのセーフティーが作動し、ロボからはじき出されたのであろう」
「……どうしたサスケ。顔がいつもよりだらしないぞ」
 普段からニヤケ顔の彼ではあるが、今はいつも異常にニヤニヤと笑っていた。まるで、プレゼントを買ってもらう途中の子供だ。
「楽しみでござるなぁ……。表のコマンダーにも、まだあんな骨のあるやつがいたでござるなぁ……」
「窮鼠猫を噛む」
「は?」
 突然の言葉に、サスケは目を丸くする。まさか欧米風の男の口から、ことわざが飛び出すとは思ってもいなかったのだろう。
「弱い者と侮っても、いつかは寝首を掻かれる」
「くっくく。――面白いこと言うなあ、ジェームズ殿」
 サスケは、手を頭の後ろに回し、天井へと視線を移した。

「寝首を掻くのは、忍者の得意技でござるよ」

       

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