Neetel Inside ニートノベル
表紙

凛としてアナルファックピストルズ
少女、ギターを弾く

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 ロック、ロックというけれど。一体ロックとは何なのだろう。
 ロックの定義を語るには僕は少々力不足だ。
 何故ならその定義はほとんど確立されていない。
 「君がロックと思えばそれがロックなのだろう」
 …この程度だ。

 さて定義こそ曖昧であれ、ロックの元になった音楽は19世紀のアメリカ、黒人達の間で生まれたとされている。奴隷階級であった彼らは霊歌(ゴスペル)や労働歌を歌い、それが発展して【ブルーズ】が生まれる。(ブースは誤りで正確には「ズ」で終わる)アコースティックギターなどの弾き語りで日々の「つらいこと、憂鬱=ブルーなこと」、また、ちょっとした幸せなことを歌っては厳しい生活に耐え過ごしていた。
 これが、まぁロックの大元になった音楽だね。やがてバンド形式に繋がって、後に急速に世界に広まることになった。
 ロックの本来の名称である【ロックンロール】、これが生まれたのは1950年代のこと。これも黒人たちのなかで生まれた。それを1950年代に白人のエルヴィス・プレスリーがロックンロールを歌い、初めてロックンロールをエンターテイメント化したといえる。


「白人は音楽さえも黒人から奪ったのね」

「一概に奪ったとは言えないが…まあそうなんだろう」


 60年代になるとイギリスに【ローリングストーンズ】や【ビートルズ】が誕生し、現代まで語り継がれる程の音楽ムーブメントが起こった。ストーンズはハードロック方面に、ビートルズはポップス方面に影響を与えていく。
 イギリスでは【ディープパープル】【レッドツェッペリン】などを金字塔にハードロックが流行した。そして最も偉大なギタリストの一人として名高いジミ・ヘンドリクスもこの時代の人だ。彼はブルーズをストラトキャスターで歪ませて弾いていたんだ。その音のカッコ良さといったらないよ。


「ジミは凄いわね。あの音は出そうったって出やしないわ」

「残念なことに黒人であるジミは仲間であるはずの黒人たちからは『白人と組んで売れている』と、あまり快く思われてなかったそうだ」


 一方アメリカでは【ヴェルヴェット・アンダーグラウンド】の登場により、ロックの「芸術性」を確立したと云われている。数々の実験的な音、文学的な詩、ポップアート…など。
 と、ラインナップを見て分かるようにこの頃の音楽と言えばイギリスで、アメリカ音楽の発展はもう少し後になってからの話になる。その話はまた別の機会にしよう。


 †


「余談だが以前ライブハウスで出会った酔っ払いのイギリス人(サイモン、38歳)が言ってたよ。『ヘイボーイ、60年代は音楽はイギリス、80年代はアメリカだった…でも現在は…ジャパンだよHAHAHA』って」

「へぇ。話の分かる人なのね」

「その後カラオケでマリファナを勧められたから逃げて帰ったよ」

「怖い話だけど実話なのよね」


 †


「ところでドラムの後輩君の姿が見えないけど?」

「ああ、彼はベルリンフィルの公演でユーロツアー中さ!」

 殴られた。

「どうせ公演があるの知っててメンバーに誘ったんだろ!」

「ち、違う…メンバーに誘った時はツアーは確定してなかった。これは本当だ」

「・・・・・なら、仕方ないけど」

「その後で僕が企業経営者の叔父に頼んでスポンサーになってもらうよう頼んだんだ」



 その後の彼女の鬼のような表情と惨劇はあえて多くは語らないでおく。


 凛と咲いて。


       

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