Neetel Inside 文芸新都
表紙

早く早く、負け犬の裏庭で
憧れ

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たとえば夏、

 
空と影が鮮やかで、音が滲みながらゆるゆると空気を濡らして、記憶さえやわらかく溶け落ちそうなくらい大気が熱くって、魂同士がうっかり融けあいそうな予感に心を震わせたりして、
白昼夢。

はるか遠くの人影みたいに
あの人の気配を思い出す
ただ、溢れ出してるみたいなかたまりに
目とか肩とか声とかが絡まって
奇跡みたいに男の子のかたちをしているものごとのことを。

酔ったふりしてふらふら
踊りたくなるんだ
ちょっと分かりの悪い人のふりして
歌いたくなるんだ
強い強い声で
腕を思い切り伸ばして
叫びたくなるんだ
教えたいんだ
わかちあいたいんだ
ただただ嬉しいんだって

夏だ、
溶け出してどこにでもいけそう
空気の軽さに任せて
歌っていたい
夜の束縛のなさに頼って
踊ってみたい
気づいたら君の傍に漂っているくらい
軽率になってしまいそうな
幸せだけを歌い続けるかたまりになるよ
そしてどうにか
女の子のかたちであるものごとでいるよ。
 
 
 

       

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Neetsha