Neetel Inside 文芸新都
表紙

早く早く、負け犬の裏庭で
傷と痣

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私はとても弱いので
服を脱いで肌をさらす
あまりに弱い皮膚だから
あなたはこの肌を見ると
引っかきたくなるみたいだ
これは全部の暴力をたやすく受け入れて
ただ無力であろうとする
内臓の表面。
私は弱く、弱く、弱く、弱くなって
世界のなによりやわらかく無防備で
無抵抗な生き物であろうと試みる
ひたすらただ浸食されるような、
ぐずぐずと崩れるような、
すぐに血が滲むような、
簡単に破れるような、
その弱さであなたが強くなるようなもの。
それは
痛めつけるのに少しの労も要さない、
飢え死に寸前の山羊のような目で見上げてくる
静かで哀れなやさしい生き物の表皮。


*


踊るときは
ひとり
音もない
風もない
足を上げると
スカートがさらさらと零れ落ちる
手を差し伸べると
空気がそれを引っ張って
空まで届くかと思う
身体を傾けると
別の世界の音が聴こえそうになって
目を閉じると
からだは全部いつもとは違う
音や動きや匂いを始め出す
月の下で、墨色の暗がりにひっそり沈んでいた吐息が
軽々と境界線を越えて伸び縮みして鼓動になる

そこではなにもかもが透明に消えていく途中
だからつぼみから枯れた花まで
山のような花束を抱えて笑いながら
軽々と片足で飛んで
花びら散らして歩きたい
誰か私に石を投げて
私は痣を作りながら微笑んでいたい。


       

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