Neetel Inside 文芸新都
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MTGについて少し話そうと思う
voL.14「さらば、テンペスト」

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 アルファ・ベータ時代からの古参をべつにすればテンペスト・ブロックは多くのプレイヤーにとって古代の遺物であり、それがどんなサイクルであったか知るものもいまや大半がドミニアを去ってしまった。それでもたずねられれば彼らはノータイムで「《呪われた巻物(TE)》」とこたえるだろう。多元宇宙のクレアバイブルたるデュエリストジャパンでも〝呪われた季節〟と評され、ウルザ・ブロックに隣接しながら大嵐の名に恥じない印象的なサイクルとなった(多数の〝ジョニー〟を生みだす環境をまねいたという点ではウルザと同罪であるが)。いまでもババを毎ターン引かされる青使いのあの愉快な顔を思いだせる〝ティミー〟はいるはずだ。
 だがテンペスト・ブロックはこのカードだけではもちろん終わらない。たしかにハンド・アドバンテージという概念を根底からくつがえした《呪われた巻物(TE)》はMTGに大きな衝撃をあたえたが、それでも環境を破壊し尽くすにはいたらなかった(ブロック構築では禁止されてしまったが)。《黒の万力(4th)》ほどではないにしろ《ネクロポーテンス(5th)》級に強力なカードであることはまちがいないが、これが〝まともな〟カードであったこともまた事実だ。じっさい《転覆(TE)》や《不毛の大地(TE)》のほうが凶悪だと主張する声もあるし、「ナイトメア・サバイバル」にうなされたプレイヤーたちも異論をはさむにちがいない(筆者としてはやはり《ヴェクの聖騎士(EX)》に1票を投じたい)。
 今回はそんなラースなカードたちから筆者の記憶に焼きついているものを1枚ずつめくりながら筆者の視点からみたテンペスト・ブロックについて話していこうと思う(環境そのものについてはもっと適した場所でぞんぶんに語られているはずだ)。
 と、その前に第6版の登場にばかり目がいってしまってほとんど触れることなく退場してしまった第5版のカードたちからみていこう。



〈第5版〉

・《死者の代弁者(5th)》
 その名にふさわしく厳粛な雰囲気のイラストのクリーチャー。そして筆者の黒単にも非常にきびしかった。

・《長槍兵》
 バンド&先制攻撃と基本セットなのに初心者にきびしいカード。第6版で《長弓兵(6th)》に転職した。

・《怒れる群衆(5th)》
 なぜか筆者のときだけ暴徒と化すクリーチャー。でもプロテクションがないのですぐに埋葬できた。

・《アクロンの軍団兵(5th)》
 筆者にとって大型クリーチャーといえば《甲鱗のワーム(9ED)》よりこれ。イラストもかっこよく持っている友人がうらやましかった。でもプレイされることはなかった。

・《熾天使(5th)》
 最近の天使にくらべるとあきらかに名前負けしている古きよき時代の天使。水原くんが貸してくれたMTG入門ガイド漫画で召喚されていたのが印象的。

・《渦まく知識(5th)》
 初心者にとっては地味な能力とイラストもあいまって当時の筆者たちにはギャグ・カードにすぎなかったが、現在ではヴィンテージで制限されるほど出世したオッサン。メルカディアン・マスクスで女装して再登場。

・《不安定性突然変異(5th)》
 これを《シー・スプライト(5th)》や《マンタ・ライダーズ(TE)》などの飛行クリーチャーにつけられるとライフがあっというまに減った。能力もエグいがイラストもエグい。

・《海賊船(5th)》
 これがレアだと知って当時の筆者がみょうに納得した1枚。いまみても「いかにも第5版のレア」といった感じ。

・《停滞(5th)》
 MTG引退者の半数がこれのせいでやめたという現在のMTG衰退の元凶。イラストにはジャクロ先輩(左)となぶられる対戦相手(右)がえがかれている。

・《時の精霊(5th)》
 これまた基本セットらしからぬ玄人好みのカード。こういうのがレアカードなのだと筆者にすり込ませた1枚。もちろん当時もいまもつよいとは思わない。

・《リバイアサン(5th)》
 当時の最強クリーチャーといえばこいつだろう。その圧倒的なサイズと強烈なデメリットはまさにあこがれのファッティ。カードショップでシングル価格をみた筆者がそれを話したとき友人たちは驚愕したものである。

・《アーグの盗賊団(5th)》
 筆者を笑わせるために仕えてくれた最古の4クリーチャーのひとり。騎士たちよりタフネスが高かったので赤との対戦で活躍してくれた。

・《生命吸収(5th)》
 ドレインといえばこのカード。《ネクロポーテンス(5th)》やマナ加速との組みあわせはやはり強力だが筆者のデッキではあまり機能しなかった。赤に対する唯一のソリューション。

・《黒騎士(5th)》
 おなじく最古の4クリーチャーのひとり。もっとも安定した能力を持ち、守備のかなめであった。最近ちょろっと復活したらしいが個人的にはイラストが残念。

・《ストロームガルドの騎士(5th)》
 筆者4傑のひとり。《黒騎士(5th)》とならんで当時の黒ウィニーの定番。中盤以降は戦闘で死ぬことはほとんどない。《投火師(TE)》が天敵。

・《奈落の王(5th)》
 筆者が初期に崇拝していた邪神。トリプルシンボル、7/7、飛行、トランプル、ペナルティ能力と言うことなし。でも重すぎるので使いはしなかった。あたらしいイラストはちょっと小ぎれいすぎる気が。

・《ネクロポーテンス(5th)》
 黒最強のドローエンジン。ハイリスク・ハイリターンといかにも黒らしい1品で使いこなせれば魔界を支配できるほどのアドバンテージを得ることができる。その魅力に筆者も手をだしたことがあったがライフを吸われたあげくに《火葬(5th)》でこんがり焼かれた。

・《火葬(5th)》
 赤アレルギーの元凶のひとつ。《アーグの盗賊団(5th)》や《リバー・ボア(VI)》が1撃なのはキツイ。

・《火の玉(5th)》
 初心者には少々テキストが難解なX火力。ヘタするとこれだけで筆者の場が全滅してしまうこともあった。リナ=インバースともなると平気でX=100を連打してくる。

・《エイトグ(5th)》
 イラストのせいで筆者たちのあいだで当時はやったギャグ・カード。だがミラディンで巨神兵となって復活した上に活躍するというシスもまっさおなリベンジっぷり。

・《ケルドの大将軍(5th)》
 友人たちのあいだで人気だった筋肉モリモリマッチョマンの変態将校。われわれの環境には《神の怒り(5th)》《地震(5th)》などの全体除去が存在しなかったのでけっこうなサイズになった。長らく筆者の記憶の一部を支配していたが《オドリックの十字軍(M13)》の登場によって失脚。もう会うことはないでしょう。

・《シヴ山のドラゴン(5th)》
 当時ドラゴンといえばこの人のことを指した。テンペストで《ラースのドラゴン(TE)》、ウルザズ・サーガで《稲妻のドラゴン(US)》が登場したことで人気が急落し、第6版でまさかの戦力外通告。なぜか山住まいなのも要因のひとつか。

・《ボール・ライトニング(5th)》
 3マナ6点とコスパ厨歓喜の最強火力。一見クリーチャーにみえるがれっきとしたソーサリーである。《黒騎士(5th)》が立っているとなぜか打ち消せる。

・《チャブ・トード(5th)》
《ゴブリンの砲撃(TE)》の弾くらいにしかならない食用ガエル。そのくせイラストとフレイバーテキストがこわい。

・《疾風のデルヴィッシュ(5th)》
 筆者を幾度となく撲殺した処刑人。《悪魔の布告(TE)》を引いても飛びおりるのはエルフばかり。現在はテキサス・レンジャーズに所属。

・《ルアゴイフ(5th)》
 水原くんの天敵。ハンスがその後どうなったかはだれも知らない。

・《再起のオベリスク(5th)》
 神々しいイラストのついたコースター。色あいが地味なので女性人気を得られなかったのと耐久性に難があったため10円BOXの肥やしになった。これでまわる《ネビニラルの円盤(5th)》を回収するコンボはまさに匠の技。

・《ネビニラルの円盤(5th)》
 青単、黒単、赤単の親友。地動説が証明されたいまでもネビ円はまわらない説が主流である。



〈テンペスト〉

・《暁の騎士(TE)》
 柔軟性の高い騎士。《白騎士(5th)》《白き盾の騎士団(5th)》《サルタリーの修道士(TE)》にくわえてこんなのまでいたら黒単はお手上げである。さらにストロングホールドでコーが登場して筆者に勝ち目はなくなった。

・《日中の光(TE)》
 その名のとおり闇に生きるものを照らしだす曙光。黒単でこれを張られたら外出はほぼ不可能になる。さらに第6版で再録されてひきこもりに。

・《謙虚(TE)》
 そのテキストが当時のわれわれには衝撃的だったカード。《十字軍(5th)》や《栄光の頌歌(US)》がいっしょに場にでているとややこしかった(当時のルールでは場にでた順番によって効果が決められた。つまり《謙虚(TE)》が先にでていれば2/2となり、《十字軍(5th)》《栄光の頌歌(US)》が先にでていれば1/1となった)。そこに《上天の閃光(WL)》や《自然の反乱(TE)》がからむと事態はさらに深刻化した。

・《転覆(TE)》
 テンペスト最強カード候補の1枚。はじめたころはなにがつよいのか理解できなかった1枚。このカードで筆者は「フィズる」という概念をおぼえた。これが1ターンに2回以上まわりだすとてんぷくトリオの〝わしらの夢は夜ひらく〟 がかかり、電光掲示板には《転覆(TE)》のイラストとともに "GAME OVER" (デュエル終了)と表示される演出がされるようになり、これが好評を博していた。

・《プロパガンダ(TE)》
 筆者的テンペスト最強カードの筆頭。《日中の光(TE)》ほどではないがエンチャント対策のできない黒単にはやはりつらい1枚。複数張られたらなにもできなくなり、まさに〝勝負はついたというわけだ〟。

・《貿易風ライダー(TE)》
《転覆(TE)》とともにバウンスとはなんたるかを筆者に教えてくれたイケメン。「5CB」でも「青白レイディアント」でも大活躍してくれた。値段もすごかった。

・《悪魔の布告(TE)》
 筆者はクリーチャー除去として《恐怖(5th)》《闇への追放(TE)》と対象をえらべるカードをこのんで使っていたが、水原くんの助言にしたがってプロテクション対策にこれを積んだことがある。ただ白ウィニー相手だと《サルタリーの僧侶(TE)》やコーがサクられるだけでプロテクション黒はしっかりとのこり、また小型クリーチャーやマナクリーチャーを展開する赤や緑相手にも効果がうすかったのでいまひとつだった。だがのちの「黒コントロール」では大いに活躍してくれ、そのつよさを認識した。最近だとライフを得られたりプレインズウォーカーの必殺技になっていたりする。

・《脊髄移植(TE)》
 筆者が初期にこのんで使用していたオーラ。1ターン目に《暗黒の儀式(5th)》から展開したゾンビやシャドーにこれをつけるとすさまじいことになったが、赤相手にはなんの意味もなかったので《邪悪なる力(5th)》に。

・《非業の死(TE)》
 ムツゴロウさんの天敵。その効果は絶大だが、もともと緑には相性がいいので枚数を積む必要はない。筆者はもっぱら《疾風のデルヴィッシュ(5th)》対策として使っていた。

・《夜の戦慄(TE)》
 白ウィニー対策。1ターン目からだせればたしかにつよいのだが、エイトクルセイドの前では焼け石に水。

・《死体のダンス(TE)》
 バイバックでもトップレベルのリアニメイトカード。その汎用性は「黒コントロール」で証明済み。イラストで死体がダンスしていないのが残念。

・《司令官グレヴェン・イル=ヴェク(TE)》
 もうひとりの黒使いである友人の切り札。1回だけおこなったことのある2対2の多人数戦では筆者の黒クリーチャーも強化してくれた頼もしい司令官。さらに《不吉の月(5th)》もはいっていて筆者とその友人は最強のタッグだった。

・《稲妻の精霊(TE)》
《ボール・ライトニング(5th)》の甥。コモンの歩く火力として水原くんが使っていたが4マナはやはり重かったようで「ボーライやサンドストーカーがあればなぁ」といつも愚痴っていた。

・《焚きつけ(TE)》
 威力のあがる火力。もうみたくもない。

・《投火師(TE)》
 赤色のガンダルフ。シャドーキラー。もう会いたくないです。

・《モグの狂信者(TE)》
 最強のゴブリン。第6版ルールではまさに鬼。おまえがつよいのはもうわかったから。

・《ジャッカルの仔(TE)》
 テンペスト期の高速環境を象徴するようなウィニークリーチャー。水原くんが《ラースの灼熱洞(TE)》をだした瞬間に筆者がこいつに《火葬(5th)》を撃ったら勝てた。なぜか当時の筆者は奥の女性を《ジャッカルの仔(TE)》だと思っていた。

・《ラースのドラゴン(TE)》
 イラストが最高にかっこいい1枚。能力もじゅうぶんにつよいのだが、筆者にとっては《ネクラタル(VI)》《大クラゲ(VI)》しがいのあるかっこうのカモだった。

・《根切りワーム(TE)》
 筆者にとってワームといえばこいつ。ワームたるものトランプルくらいは常備すべきである。

・《踏み荒らし(TE)》
 使われてみてはじめてその凶悪さを実感できるエンドカード。5/5トランプルになって攻撃してくる《飛びかかるジャガー(US)》はまさに迷い猫オーバーラン!

・《新緑の魔力(TE)》
 このころの〝使える大型クリーチャー〟といえばこの方。「ナイトメア・サバイバル」やオース系などのコストを踏み倒すデッキでよく登場なされた。緑単の友人はふつうに8マナで召喚していた。

・《ヴァティ・イル=ダル(TE)》
 本家より《悪魔の布告(TE)》のイラストのほうが有名な悲しきレジェンド。〝MTG界のユダ〟の称号を《ラースのスターク(TE)》とあらそっている。

・《闇の天使セレニア(TE)》
 春日くんが愛した天使。この能力でマルチコスト、しかもレジェンド。カード名が遊戯王っぽい。「セレニアゲドン」のキーカード。

・《水蓮の花びら(TE)》
 われわれのあいだでは色事故をふせぐためのカードという認識でささやかに使用されていたが、凶悪な某コンボデッキのせいでまさかのスタンダード禁止。ヴィンテージでも制限カードと0マナのマナ・アーティファクトがいかに強力かをしめす1枚。

・《ボトルのノーム(TE)》
 地味ながらプロテクション騎士や赤につよいノーム。イラストがかわいい。なぜかMTGを知らない友人が《火山のドラゴン(PO)》とともに持っていた。

・《呪われた巻物(TE)》
 当時スタンダード最強のカード。もちろん値段も最強のトップレア。世界選手権99のベスト8のデッキすべてで使用されていることからもその強力さがわかるだろう。これをスターターから2回も引いた春日くんは神。

・《ファイレクシアの呪文集(TE)》
 黒使いの必読書。持ち運びにかさばるのが難点。たまにブックオフの105円コーナーにあるのでみつけたら即買いしよう。

・《反射池(TE)》
 多色地形は総じて高価であることを筆者に教えてくれた池。「5CB」で初手が《沼》とこれだけだと不安になった。

・対抗色ペインランド
 当時の友好色と対抗色の関係性を伝える土地サイクル。アポカリプスの発売によってその価値が《再起のオベリスク(5th)》以下に暴落してしまう悲劇に見舞われたが、現在は外国人向けの観光地としてほそぼそとやっている。

・シャドー
 テンペスト・ブロックのキーワード能力。環境を高速化させた要因のひとつで白と黒の専売特許でもあった。筆者もお世話になった黒シャドークリーチャーはタフネスが低いため赤には速攻で焼かれたが除去のない緑には強烈なクロックになった。白シャドークリーチャーは全体的に黒より性能が高く、とくに2体のプロテクション坊主は筆者と水原くんを発狂させた。



〈ストロングホールド〉

・《サルタリーのチャンピオン(ST)》
 歩くクルセイド。《十字軍(5th)》《栄光の頌歌(US)》にくわえてこれまで登場するともはやウィニーとは呼べないほど騎士や坊主たちが凶暴化する。

・《躊躇(ST)》
 置き《対抗呪文(5th)》。水原くんですら当時このカード名を読むことができなかった恐怖の1枚。

・《偏頭痛(ST)》
「MoMa」をも超えるといわれる超強力デッキ「メグリムジャー」のキーカード。いっしょに収録された《底なしの奈落(ST)》とのコンボが強力だと当時われわれのあいだで話題になったのがなつかしい。

・《投げ飛ばし(ST)》
 まんまなイラストとフレイバーが味わい深い1枚。当時これでアタック後の《ボール・ライトニング(5th)》を投げ飛ばすのが水原くんの夢だった。

・《モグの下働き(ST)》
「スライ」では大きめのサイズのゴブリン。これが2体いれば攻撃できるのだと水原くんに言われてなんかだまされている気分になった。

・《花の壁(ST)》
 緑のウィニー対策。当時の緑系のデッキにはたいてい使用された。騎士がとまってしまう上に除去するにもアドバンテージをとられてしまうのでやっかいだったが、シャドーはスルーできたのでなんとかなった。それより水原くんのほうが苦労していた。

・《スリヴァーの女王(ST)》
 スリヴァーのボス。5マナで7/7と非常に強力だが女王らしくマナ・シンボルもきらびやか。もちろん当時のわれわれのなかでトップレア。

・《モックス・ダイアモンド(ST)》
 ストロングホールドのトップレア。イラストもそれにふさわしいものだったが、春日くんの手にかかれば余裕でパックから1本釣りである。

・コー
 スタック導入やトランプル・ルールの変更などもあって当時ジャッジ泣かせだった一族。最近また再登場したらしいが現行ルールだとどういう動きをするのか筆者もわからない。



〈エクソダス〉

・《魂の管理人(EX)》
 ある意味で騎士や坊主よりやっかいなクレリック。ほうっておくとウィニーはきびしい展開をしいられるので筆者と水原くんは速攻で除去せざるを得ず、すると白単の友人は「これでコーやシャドーにとんでくる除去が1枚減ったぜ」とのたまうのであった。フレイバーがじつに的確。

・《ヴェクの聖騎士(EX)》
 闇と炎を駆逐するパラディン。3マナとじゃっかん重く、青や緑相手にはそれほど威力を発揮しないのでバランスはいいのだろうが筆者と水原くんには悪夢そのものである。しかも構築済みデッキにはいっていたので黒使いと赤使いはこれの焚書にショップ間を奔走した。

・《禁止(EX)》
 バイバックできる《対抗呪文(5th)》。そのコストはけっして軽くはないがドローサポートの充実している青なら強力。テンペストの《放逐(TE)、》ストロングホールドの《マナ漏出(ST)》とあわせて当時のカウンター充実をうかがわせる1枚。

・《精神力(EX)》
「MoMa」のキーカード。当初のカード価格はそんなに高くなかったが「MoMa」の登場で一気に高騰し、けっきょく禁止されて初動以下に暴落するという波瀾万丈な人生を送った。当時はこんなウルザなエンチャントが氾濫していた。

・《カーノファージ(EX)》
 黒使いの親友。当時これを使ってない黒ウィニーは〝白側のスパイ〟と疑われてファイレクシアの秘密警察にマークされた。イラストは若かりしころの筆者。

・《弱者選別(EX)》
 スーパー《暗黒の儀式(5th)》。もうこれでもいいから再録してほしい。

・《繰り返す悪夢(EX)》
 ウルザなエンチャント筆頭。「ナイトメア・サバイバル」のキーカードで非常に多くの戦術をとることができる。《解呪(5th)》するもの困難であり、また入手するのも困難であった。だがあえなく禁止カードに指定されて多くの所持者にとって悪夢となった。かくいう筆者も1枚持っていた。

・《音波の炸裂(EX)》
 これをみたとき「また火力が増えるのか……」と筆者をげんなりさせたバーンスペル。マナ・コストのわりにダメージが大きいのでよく本体へのとどめにとんできた。これで《邪悪なる力(5th)》をつけた《アーグの盗賊団(5th)》が焼かれるさまはまさに《不毛化(US)》。

・《適者生存(EX)》
「ナイトメア・サバイバル」のキーカード。ほかにも亜種デッキがたくさんあり、使ってみるとおもしろいカード。いろんなクリーチャーを1枚差しできるのもいい。

・《ドルイドの誓い(EX)》
 ゆいいつ成功した「誓い」。単体なら絶妙なバランスのカードなのだが《ガイアの祝福(WL)》のせいでMTGが一時クソゲー化した。「カウンターオース」はその最たる例。

・《無のブローチ(EX)》
 MTGでも数少ないおしゃれアイテム。これをよく首からさげていたジャクロ先輩はわれわれのファッションリーダーだった。

・《裏切り者の都(EX)》
 フォイルがめちゃくちゃ高価なことで有名な土地。ノーマルも当時はたいして高くはなかったが、現在は下の環境で需要があるためかそれなりの価格で売買されている。



 筆者からみたラース・サイクルはこんな感じだ。どうだろう、このなかにあなたのお気にいりのカード、もしくは思い出のカードはあっただろうか。ほかにも触れたいカードがたくさんあったのだが文字数の関係で厳選させてもらった(これでも当初よりずいぶん減らしたつもりだ)。
 テンペスト・ブロックの総括としては1、2マナ圏のクリーチャーが非常に優秀でそれ以上のクリーチャーは基本的にお呼びがかからないほど異常に高速化したウィニーデッキが隆盛したことに尽きるだろう。カウンターやバウンスが充実していた青ですら《呪われた巻物(TE)》で底上げされた圧倒的な攻撃力の前では大きな結果をのこすことはできなかった。またシャドーの存在も大きかっただろう。よくもわるくも彼らはラース史にのこる存在となった。そして第5版の難解さも印象的だ。
 さて、嵐も去ったところでつぎなるサイクルでは盛大な仮面舞踏会が開催される。MTGをこよなく愛する紳士淑女のかたがたはどうかご出席いただきたい。場所は《リシャーダの港(MM)》を予定しているのでお間違えなきよう。もちろん《象牙の仮面(MM)》と《宝飾の首飾り(MM)》、そして《将軍の正装(MM)》もわすれずに。

       

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Neetsha