Neetel Inside ニートノベル
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セーラたんが現れたんだ、本人はああ言っていたけど何か能力に目覚めているかもしれない
僕は人通りの無い通路へ進んだ。ここは以前カラスの巣ができて閉鎖されていた通路で人の気配はない。
「かめはめ波!」
ぶはっ!
手からは何も吹き出して来なかったが、普通に後ろにいた学生が吹き出していた。
「今のかっこう良いですね!もう1回お願いします!」
無邪気なセーラたんの声が耳に痛い。そう無邪気さとは時に残酷なものである。
あれは僕が小学校のころだった。
タニシは生命力が強から水ならどこでも生きられると聞いた僕と友人が
タニシをニスに入れて飼育しようとしたことがある。
結果、タニシは謎の液体を吐いて全滅してしまったのだった。

結局あと3回ほど残念な結果を迎えたところでやめた。
一度、路上格闘家の技に変えてみたがダメだった。
僕より強い相手に会いに行く旅は始まらないようだ。
あとに残ったのは決定的なチャンスにシュートを外したサッカー選手ぐらい残念な大学生の姿だった。
居たたまれなくなったので、最初の講義のある教室へ移動しようとすると
スノーボード日本代表のような雰囲気の学生とすれ違った。
コイツとは同じ学校というだけで特に仲が良いわけでは無い。
「うお、海老名か、あいかわらず気持ち悪いな」
だが、リア充にはリア充の人間が寄ってくるもの。
しかし、リア充の中にも「いじられキャラ」はつきもので、僕がまさにそうだった。
小学校の下校の時にランドセル同時10個持ちの記録に毎日挑んでいた時から変わっていない。
ドッジボールが強い転校生が現れてから11個持ちのタイトルホルダー、もといランドセルホルダーになった。

そんな過去の栄光を思い出しながら最初の講義がある15号館へと向かう。
途中で、明らかに周りから浮いている挙動不審な学生に出くわした。
この学校での僕の数少ない友人の吉田だった。
僕とほぼ同等なスペックであるが、詳しいところはいらなさそうなので
またこんど。
声をかけて吉田と移動することにする。
もちろん、僕にしか見えないがセーラたんも一緒だ。
「吉田氏、今日の課題のテキストを見せてくだしあ」
「あ、はい!わかりましたです海老名氏!」
「15号館はやはりいつ来ても落ち着きますな、吉田氏」
「だにょ!」
15号館は大学内では隔離棟とも呼ばれていて、超リア充が集められたとしか思えない人選だ。
どうでもいい会話をしながら目的の15号館の前に着いた。
「ささ、早くしないと遅れてしまいますよ吉田氏」
そういいながら15号館の入り口に入った瞬間、吉田の隣に見慣れない女の子が出現した。
「え・・・・?」
どう見ても小学生にしか見えない少女だった。
※18才以上です という親切な噴出しが見えるのは気のせいではないようだ。
「セセセセーラたん、あの、よ、よ、よ」
「吉田氏の横に幼女が見えるって言いたんですね。わかります。
アレが吉田氏の嫁みたいですね~。アグネスが出てこなけりゃ良いですけど。」
つい数時間前に現れた割には妙な人名を知ってるな…
というか、吉田の嫁って?吉田がロリコンなのは知っていたけど…
そういえば、さっき久々にメールが来たので見てみたら
無料でロ●コンと電話♪というタイトルの迷惑メールだった。誰がするか。
「え?え?く、くわしく」
「#%’%’(~~#”」
「何・・・だと!?」
思わず驚いて大きな声がでしまった。
教室にいる人すべての視線が僕に向くが、すぐに教授が現れて元に戻る。
もう一度吉田を見ると幼女がいなくなっていた。
授業は滞りなく進み、気づけば昼休みになっていた。

       

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