Neetel Inside ニートノベル
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講義の方付けをしていると隣に座っていた吉田が先に方付けを済まし話しかけてきた。
「海老名氏!今日もshop99で買ってきたおにぎりですか!」
「いえ、今日は買って来てないのですよ」
「そうでしたか!いつもは乞食のようにshop99なのに今日はなにか良いことあったのですか!?」
まじでうるさい。少し放っておこう。
そういえば講義が始まってからセーラたんの姿を見てないことに今気づいた。
どこかで問題を起こしていなければいいが。まあ、姿は見えないんだけど。
一人で騒ぐ吉田を適当にあしらいつつ、学食へ行くことにした。

学食につくと、いつも通りの安っぽいショーウィンドウに日替わりランチが入っていた。
今日のランチは親子バーグ。学食ならではの安っぽいハンバーグの上にお弁当用ミニハンバーグが乗っているという
腹をすかせた学生をあしらうために存在するかのようなランチだ。
だが、僕はそれを迷わず選択した。
ホコリを被った券売機に、ゲーセンで培った連コインで小銭を入れる。
食券を買う速さなら学園内でもトップクラスだろう。一方、吉田は電子マネーを使っていた。許さん。
混み合う食堂でなんとか席を確保して、昼ごはんを片付け始める僕と吉田。
吉田は懐からプリキュアふりかけを出してご飯にかけていた。
「そういえば、海老名氏!幼女画像フォルダが100GBを超えたでござる!
特に記念すべき100GB目の幼女画像の黒髪ツンデレ巫女服でも下はスクール水着は壁紙にしてしまいましたよ!」
嬉々として幼女を連呼する吉田。一緒にいる僕にも注がれる周りの視線が妙に痛い。
本気で吉田にはゆうメンタルクリニックへの通院を勧めたくなったが、今はこらえる。
黒髪ツンデレ巫女服でも下は(以下略)の幼女はさっき僕が見た幼女の特徴に一致していたからだ。
「デケデケデケデケッ・・・デンッ!おふっ!キュアブロッサム!
ところで海老名氏はご存知でしたか、今回プリキュアの作画は――」
どうやら、ふりかけのおまけのプリキュアキラキラシールは大当たりだったようだ。
吉田の口が初代プリキュアのOPテーマのようにアップテンポになる。
「――プリキュア!オープン マイ ハート!大地に咲く一輪の花 キュアブロッサム!」
吉田は喚起の雄たけびを上げていた。キモい、キモ過ぎる・・・・。
さすがの僕でも電車の中でエロゲの話するのが限界だ。

それにしても朝に吉田の隣にいた幼女と100GB記念の幼女の関係が少し気になる。
セーラたんもダンロップで僕が一番お気に入りのヒロインだったこともあるし。
だがセーラたんルートは100回以上挑戦して未だに攻略出来ていない。
「そういえば前のプリキュアのあるシーンの中に隠してミクミクニシテヤンヨって書いてあったんですよ!知っていましたか海老名氏!」
吉田はまだ何か言っているが、あまり興味は無いので放っておこう。キュアブロッサムは僕の嫁候補だが。
ふと目を奥のほうへやってみると、長いピンク色の髪の毛が風に靡いているのが見えた。
セーラたんが食堂の端のほうに座っていた。
む・・・。誰かと一緒に座っている。
誰もセーラたんのことは見えないはずなのに。
まさか、実はセーラたんは裏世界の人間で、それで表の世界と裏の世界とのバランスが崩れて
裏の世界の住人がこちらへと流れ込んできて・・・!
そうしたらセーラたんと僕に隠された能力が開花するのか。
やはり僕は勇者になる運命だったんだな!
そんなことを考えながら見ていると、前に座っていたのは先程の黒髪ツンデレ巫女服幼女だった。
セーラたんと巫女服幼女。よく見ると会話をしているようだ。
耳を傾けると会話の断片が聞こえてくる。はたから見たら盗み聞きのようだが実はちがう。
ちゃんと僕は心の中で二人の会話に相槌を打っている。
口に出さずとも第三者と会話する技術、エアー会話だ。リア充の僕には必須のスキルだ。
「海老名氏には、あなたのことも見・・・・やっぱり――」
食堂のざわざわしている中で特定の会話を聞き取るのは難しく全然会話を聞き取れない
「やっぱり、海老名氏とアニメの話をするとついつい声が大きくなってしまいますな!!!」
「おぅふッ吉田氏、静かに、静かに!」
吉田のせいで後の部分をまるまる聞きとることができなかった。

       

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