Neetel Inside 文芸新都
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「待ってよ。いまさら逃げはさせないよ」
 立ち去ろうとしたところ、首をしっかりホールドされたが、何かいつもとは違うオーラを感じる。今こいつは最高にやばいような気がする。
「そ、そんな怖い顔してどうした」
 素直に恐怖を感じる俺は声が震える。誰だって怖いものは怖いはずだ。
「お前が逃げようとしたからだろ?」
 本当にその時は殺されるのかと思った。
「わかった、逃げないから離してくれ、頼む」
 なんて意志が弱いんだ俺は。
「そうか?ほらよ」
 案外あっさりと手を離してくれた。
「しかしなんで俺なんだ?男なら他にも居ただろうに」
「お前の友達想像してみろ、祭りに女と歩けそうな奴いるか?」
「…ノーコメントで」
 ごめん皆俺は無力だ。
「まぁそういうわけで仲がいいまともなお前に来てもらったわけだw」
「まとも?」
「そっちの話しなかったらお前は十分まともだよ」
「そうかい」
「だから間違ってもアニメの話はするなよ」
「わかったからその顔はやめてくれ」
「約束だぞ」
「ゲームの話ならいいのか?w」
「ぁ?」
「…イエス!!マム!!二次元の話は一切いたしません」
「わかったんならいいんだ」
 しかしこいつはアレだろうか、もし俺が普通にしてて、もてたときの対処は考えているんだろうか?
「大丈夫だお前がもてることなんてありゃしねぇから」
「ESP!?」
「そんな感じがしただけだ」
「やっぱりESPじゃねぇの?と言うか、もてないことは必然みたいだな」
「なに?もてるとでも思ってたの?」
「別に」
「だろ」
 悔しい。
「ぁ…来た」
「ぁ?」
 俺は若干のゲーム的な展開を予想しつつ女の子たちの方を向いた。

「…」
 そこには中学校時代一緒だった奴らと知らない子が数人だった。
「おい」
「なんだよ?」
「人数おかしくないか?」
「どこが?」
「比率おかしいだろ6:2って」
「そう?」
「そうなんだよorz」
「小さいこと気にするなって」
 小さくねぇよ
「それに俺顔見知りばっかりなんだけど」
「そうなの?よかったwwターゲット絞るからそれ以外の子の相手お願いできるww」
「は?」
「じゃぁ自己紹介からはじめようかw」
「おい」
「俺はよくメールしてるからわかるよな、でこいつが…顔見知りが多いみたいだから省くね」
 適当だなこいつ。
「時間もったいないからいこうか」
 そして俺は歩き始めた、女の子服装はなぜか全員浴衣、無駄に気合入れてきやがって。
 前では女の子と楽しそうに話しているあいつの姿が……
「あら?」
「どうしたの?」
 集まってるの俺の回り?
「どうしてくれるの?気合入れてきたのに男が二人って、しかも一人があんた」
「あいつに聞けよ」
 そう、俺は主犯じゃない、むしろ被害者だ。
「こんな無駄な時間を過ごさせるんだからそれなりに御代はあるんでしょ?」
 か、かつあげ?
 だから俺は被害者なんだ。
「まて、他に男を呼ぼう、それで勘弁しろ」
「ふーん」
 相手様はご立腹だ、俺は急いで暇そうな奴の電話に片っ端に連絡を入れる。
「もしもし…え?無理?そんな事言わずに」

ブチ

「糞、切れたか」
「もしもし…え?無理?そんな事言わずにさぁおごるかr」

ブチ

「糞、切れたか」


………。

 残念ながらもう俺の携帯の中には呼べるような奴のストックはもう無い。
「…まさか…全滅だと?」
「それで?誰か呼べたの?」
「全力を持って接待させていただきます」
「よろしい」
 頑張れ俺のお財布。
「なぁ」
「なんだよ」
「主催したの俺だよな」
「そうだ」
「なんでお前がモテモテ?」
「お客様は無計画はお嫌いだと」
「この完璧な計画のどこが無計画だというんだ」
「じゃぁお前あの中にいって今日のスケジュール言ってこいよ」
「まかせろww」

「だから…ぇ?そんな…」
 骨は拾ってやらんぞ。
「おう、どうだった?」
 そこには生きた屍が。
「ありえないだって」
「そうか」
 俺は肩をぽんぽんと叩いてやってお客様の元に行った。
 そこからはリセットしてもう一度携帯をとるところからはじめたくなる内容だった。

「ねぇこれかって」
「はいただいま」
「喉かわいたー」
「はいジュースです」
「おなかすいたー」
「焼きそばです」
 俺はウエイトレスじゃねぇ。
 そんなリセットしたい状況の中
「あんたもなんか奢ってもらいなさいよ」
「いや…初対面の人にそんなの悪いし」
 オーマイエンジェル、地獄に仏。
「いいのいいのあいつ昔からの知り合いだから遠慮しないで」
 おれは財布かよ。
「で、でも」
 でも、こういう子にはおごってあげたくなる。
「遠慮はいらないからさ、何でもいいんだよ」
「そうですか?じゃ、じゃぁアレ」
 マイエンジェルが指差す先には……。
「ぬいぐるみ?」
 しかもくじ引き。
「やっぱりだめですか?」
 …男たるもの一度行ったことは曲げられん。
「…まかせてよ」
 といったものの俺はくじ運が悪い、なのでくじ運やちょっとしたことでやたら運がいいというスキルを持ったさまよう死体を呼び寄せた。
「なに?」
「あのぬいぐるみがほしいんだけど」
「あっそ」
ゴソゴソ
「すごいねアンちゃん二等だ、ほらよぬいぐるみ」
「ほれぬいぐるみ」
「あ、ありがとう」
 本当に当てるとは思っていなかった。
「じゃぁ俺行くわ」
 また、さまよう死体に逆戻りした。
 それから走ってぬいぐるみを届けた。
「あ、ありがとう、本当にとってきてくれるとは思ってなかったよ」
「頼まれたからそれくらいは果たさないとね」
 かっこいいぞ俺ナイスだ俺w

「じゃぁ私はあのバルーン」
「じゃぁ私はあのエアガン」
さまよう死体再出動要請。

       

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Neetsha