Neetel Inside 文芸新都
表紙

見開き   最大化      


「じゃここら辺でお開きで」
 気付けは時計の針はもう10時を示していた。
「送ってくよ」
「いいわよ、家近いし」
「そう?」
 皆散り散りに解散していく。
 そんな中あのマイエンジェルが一人だけがぽつんと残っていた。
「どうしたの?皆と帰らないの?」
「…あの……話があるの」
 は?…急な展開に頭がついていかない。
 だが
 祭り→一緒にまわる→皆帰って二人っきり→告白www
 そんな道筋が俺の頭の中で出来ていた。
「は、話って何?」
「…」
 心地よい沈黙。
「あの」
「はい」
 いま声裏返ったよね。
「実は……」
 ここで俺は、ざっと三通りの結果を考えた。
其の一
「実は…帰りの電車賃が無いんで貸していただけます?」
「…いいよ」
其のニ
「実は…駅までのタクシー代が無いで貸していただけます?」
「…いいよ」
其の参
「実は…もう一人来ていた人が気になるんですけど、詳しく教えていただけませんか?」
「…いいよ」

 ちょww俺なみだ目www
 全部Bud End
 落ち着け俺、落ち着くんだ。
「あの…実は前からお話を聞いてていい人だなぁと思っていたんです、それで今日会ってみてそれを実感することが出来ました」
「ど、どうも」
「それでいきなりで悪いんですが付き合ってもらえませんか?」

 くぁw背drftgyふじこlp;@:「」
 ううぇううぇううぇうえ
「だめ…ですか?」
 彼女がこっちを見ている。
 こんなときゲームなら選択肢がるはずだ。

>俺も実は見たときに好みの子だと思っていたんだ。

 ごめんいきなりは無理だよ。

 きっとこんな感じだ、ここから各ルートに分岐してそれぞれのエンディングに向かうんだ。
 そうだこれは選択肢だ、セーブしないと、セーブ。
 セーブ、セェェェェブット
『これはゲームはロードは出来ません。』
 なんて難しいんだこの人生というゲームは、難易度が鬼畜じゃねぇか。
 攻略ページも見当たらない。
 どうしよう…。
「それで…やっぱり迷惑ですかね?」
「いやそれはその…」
 そんなにこっちを見ないでほしい。
 恥ずかし…。
「…ん?」
 彼女の目は俺を見ていなかった、その瞳は近くの草むらに行ったり来たりしている。
「…」
 きっと恥ずかしいんだろうな、なかなか目をあわせようとしない。
 こっちとしてはありがたいが。
「挙動不審な子だな」
「ぇ?」
 しまった声に出た。
「なにかいいました?」
「つ、月が綺麗だなぁと」
 べただべた過ぎる。
「そうですね…」
「でもいきなりなんで俺なんかを?」
「それは…」
 草むらのほうをきょろきょろと見出した。
 やっぱり恥ずかしいんだろうか。
 …なわけあるかよ。
 携帯を取り出す、さっきまで居た女子のひとりに電話をかける。

 ヒ゜ロヒ゜ロヒ゜ロ~

 その彼女が見ていた草むらから音がした。
「ぁ、やべっ」
 そして声もした。

ヒ゜

 切りやがった
 もう一度かける。

ヒ゜ロヒ゜r

 切れたか。
「さっさと出て来いよ」
 …。
「さっさと出て来い」
…。
「もう一度警告s」

カ゛サ

「ぁ~あばれちゃった~」
「…でこんな草むらに隠れて何をしてたんだ?まさかかくれんぼなんて言うまい」
「いやそれはその…」
「盗み聞きとはいい度胸だ」
「…」
 かわいそうに告白を盗み聞きされるなんて。
「…」
悲しそうな顔をしてるだろ…
「あら?」
 こういう時って普通恥ずかしがったり顔が赤くなったりすむものじゃないのだろうか?
 なのに…。
「恥ずかしくないの?」
「ぇ?っまぁは、恥ずかしいですよ、はい」
 なぜに詰まる?

……。

 やたらと二人で気まずそうな顔してこっちを見ている。
 しかし、ナセ゛確かに帰ったはずのこいつがここに?
 ハッ!!見えたぞっ、見えた。
 こいつらはグルだ!
「それで、俺を騙してどうしたかった?」
「騙すなんてそんな…」
 いまさら普通に振舞っても無理だろマイエンジェルいや小悪魔よ。
「アハハハ、ばれた?」
 いさぎがいいぞ我が友よ。
「用事も済んだし、楽しんでもらえたみたいだから俺はもう帰るわ」
 ってかもう帰りたいんだ。
「すいませんでした…騙して」
「いいさ」
「ゴメンゴメンww今日は楽しかったよ」
 そりゃよかった。
「じゃぁな」
「さよなら~」
「バイバーイ」
 家に着く、パソコンに電源を入れる、やりかけのゲームをプレイする。
 このゲームが終わる頃には外は朝日が昇り始めている頃だろうな。
 俺にはまだまだ春は遠いようです。
 今年も冬を満喫します。
 心のオアシスは現実にはどこにもありはしない。
 今年もまた一年中が冬みたいだ。

       

表紙
Tweet

Neetsha