Neetel Inside 文芸新都
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>諦めて大人しく引き下がる。

 俺は悪くない!!

「おっと選択肢選択肢……セーブセーブっと、さて今日はここらにしておくか」
 そうして俺は今まで言い争っていたミニマム女が映っていた画面を消した。
「はぁ…暇だな」
 実際問題、現実は惨い物である、俺はだたの一学生で、面白いイベントも、昔からの幼馴染とのフラグも立っていない、というか幼馴染が居ない。妹もいないし姉もいない。
 これではイベントも起こりよううが無いようで、いまだに実年齢=彼女居ない暦という素敵な経歴は消えてくれない。
「学校に行くか……」
 今日も俺はイベントも何にも無いひどい世界に旅立つ。
 何もかもが無いつまらない世界に。
「おはよう」
「おはよう」
 友達と軽く挨拶を交わして自分の席に着く。
「おはよう、おはよー、おっはっよー」
 何度も何度も俺に話しかけるんじゃねぇ。
「あぁ、おはよう」
「なんだよ、この世界が終わったみたいな顔しやがって」
「まぁそんなところだ」
 なぜか俺のクラスには女子が少ない。
 よって回りは男だらけ、イベントも起こりようが無い。
 あっちのイベントならおきそうな気もするが。
「席付けー」
 担任の声が聞こえる、まぁ座ってるから俺には関係ないが。
「起立、礼」
「「おはようございます」」
「着席」
 前で担任が今日の連絡事項を言っている。
 とくに気にするようなことは無いみたいだ。
「帰りてぇなー」
 俺の目の前ではまだ、一時間目も始まっていないのにこんな声も聞こえてくる。
 まったく同意したいね。
 そんなことを思っているうちに一時間目はスタートした。

 教室には黒板にぶつかって削られ、文字を書き出すチョークの音と、それをノートに写すために削られていく黒鉛の音だけが聞こえる。
 俺も黒板に書いてあることをノートに写していく、なんて無いいつもの作業。
 そんな作業を繰り返している間にも、前の奴は机に突っ伏して眠っていらっしゃる。
 そんなことを四回繰り返すと昼休みがやってきた。
「ぅーん……もう昼か、疲れた疲れた、めっしめっしめっしー♪」
 お前さっきまで寝てたのになんで疲れるんだよ。
「食べるか」
 それから友達とたわいのない会話を繰り返して昼の授業に移る。

 教室には黒板にぶつかって削られ、文字を書き出すチョークの音と、それをノートに写すために削られていく黒鉛の音だけが聞こえる。
 授業は退屈で、将来役に立つかわからないようなことをひたすら詰め込んでいく。何がゆとりだちくしょう。
 そして、授業も終わりしぶしぶ放課後の部活に出る。
 そう、俺はアクティブな引きこもりなのである。
「ちわー」
 先輩に挨拶をする。
 何時ものように走ったり跳ねたりして十分に疲れてから帰路に着いた。
 帰りの電車で前の前でずっとカップルがいちゃついてた。
「こんなところでよくもまぁ」
 殺そうと思った。
 いらつくカップルから逃れ、自転車無い乗り込んだ。
 夜道をいらつくカップルについて考えながら走っていたら、いきなり角から人が出てきた。
(これはフラグ発生かww)
 どうやら人とぶつかったようだ、俺にも運が回ってきたらしい。
「ってーな」
「ぇ?」
「どこ見てんだよボケが」
 相手は男だった。
「口がきけねーのかぁ?」
 今回も、もちろん相手が突っ込んできました、俺は一切悪くないです。多分。
「すいませんでした」
 面倒なので謝っておいた。
「謝ってすむと思ってん――」
 面倒だったので逃げて帰った。
 家に帰って何時ものようにPCにスイッチを入れる。
 ヴィーンという音と同時に俺のPCは立ち上がった。
「さてと…はじめますか」
 今日の朝やっていたゲームをショートカットから呼び出す。

 カリカリとパソコンがせわしなく働き、ハードディスクの読み込み音と同時にゲームは始まった。
「ロードロードっと」

>諦めて大人しく引き下がる。

 俺は悪くない!!

(今日は悪くないのにあやまらせられたからな)
 ふとついさっきの事故のことを思い出す。

 諦めて大人しく引き下がる。

>俺は悪くない!!

「黙れ、お前が悪いったらお前が悪い」
 画面の中の『俺』は選択肢を選んだ通りに行動を開始し始める。
「何をいまさら言ってるの?」
「ぶつかってきたのは明らかにお前だ、損害賠償と謝罪を要求する」
「あんた子供?」
 子供のような体系のやつにその言葉は言われたくない。
「黙れ、さっさと謝罪と損害(ry」
「五月蝿い、もういい」
 そう言うと女は去っていこうとする。
「まて、逃げるな」
「ではごきげんよう」
 追いかける俺だったが女は足早に去っていってしまった。

 女が去っていくとホームルールの予鈴が鳴り響いてきた。
「やべっ遅刻する」
 鳴り響くチャイムに急いで学校に向かった。

 ある程度静かに扉を開きながら教室に入る。
「おはよう、栗原」
 俺はポチ……。じゃなく緒方幸一、愛嬌学院の一年生だ。
 この学校に通い始めてもう二ヶ月になるがまだクラスの奴らの顔と名前がわからない奴が大半だ。
 彼女居ない暦=実年齢と言う記録も持っている。
 特技は高速瞬きだ。
「おっはー」
 この能天気なのが栗原、以上説明終わり。
「何年前の挨拶だよそれ」
 友人の能天気さにあきれながら一応反応してやる。
「いいだろー別に」
「好きにしてくれ」
 本当にこいつは自由だ。
「それより聞いたか?」
 いきなり話題を変えて話しかけてくる。
「ああ聞いた」
 面倒なので聞いたことにしておく。
「なかなか情報が早いな。何の話か分かってるのか?」
「分かってるとも。年々うまい棒が小さくなってきてるんだろ?」
 値段は変わってないのに、あれは詐欺だよな。
「ちがう」
「じゃああれか、サッカーボールは初めは牛の膀胱だったってやつか?」
「もういいよ。知らないんだろ」
 栗原はやれやれと言った風に首を振る。
「どやら転校生がこのクラスに来るらしいぞ」
「あぁそうかい」
 そんなことか。
「なんだよ、無反応だな」
 栗原は少し起こったようにいう。
「なんだかいやな予感がするからな」
 いやな予感がする。
「はぁ?」
「気にしないでくれ」
「まぁいいけど。そういえばその転入生結構かわいかったらしいぜ」
「そうかよ」
 女、か。
 ますます不安になってきた。

       

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