膝を折り筆を折りてはため息の劣等感に送り火を渡す
ここだよと声を上げるも寒空のわが身は小さく粒小石かな
書けないと書けた物だけやっかんで結局今日もああ白紙かな
偉そうに口からでまかせ吹聴も中身は空洞見抜かれてただ
横たわる長き時間の活用を一歩たがえばそこには奈落
光などないと嘆きてふと我に伸びる影で光知るかな
冷蔵庫賞味期限と生野菜干乾び具合で夏を知る日に
明日やる明後日やるさ多分やる来年やるよ今度は絶対
ゴミ箱と部屋と私とワイシャツと捨てたいのはただ己かな
ぐるぐると回るリールと出るメダル消えていくのは我が諭吉かな
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好きだよと打っては消して送れずに届かぬ思いは未送信かな
ベルがなりやっと来たかと腰を上げジャージのままでいらっしゃい
苦笑い今日も彼女はノーメイクやっぱり僕は忠犬ハチ
ごみ屋敷ぽっかり開いたテレビ前そこが彼女の生活空間
片付かぬならばそいつを捨てましょう転がる空き箱使わぬ雑貨を
片付けで捨てるなんてありえないだってこれは大事な物よ
捨てないでそれは大事な物なのよだからゴミじゃないわけで
どうみてもゴミじゃないかこの箱はいいね捨てるよほらコレもだね
その箱は何かに使う多分そうだからやめてよ捨てないでくれ
久しぶりおかしな色のフローリング明日も掃除また来るからね
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朝靄の白き息吐くさむざむの夢散り散りの徹夜明けを
バキボキと妙な音出す体に限界を知る整骨院
朝ごはん今日は手抜きと渡された千円札に心躍る
アイドルの入れ替え気づかず首かしげ娘に言われて歳を知るかな
悲しみの三段バラに気をとられ顎の下には二重線
妹が欲しいとねだられ苦笑い今夜はがんばれコウノトリさん
重ね着の寒さ以外の理由はね妻よお前はまた太ったな
最近の子供の会話が分からないポケモンいつから根性論
サンタさん居ないといわれ頷けずその年コスプレなぜ泣く子よ
こんな事書いてみたはいいけれど私に妻なし子もあらず