Neetel Inside ニートノベル
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「お帰りなさいませ、理沙お嬢様」
「えぇ、ただいま」
笹野の家に今俺はおじゃましようとしていた。
いざ、入ってみるといきなりメイド服姿の女の人たちが並んで挨拶してきた。
それに答える笹野。
メイドといってもたくさんいるわけではない。二十人くらいだろうか。
この屋敷に二十人では少ないかもしれない。いや、少なすぎるのでは・・・。
掃除とかどうしているか気になる。バイトの件に役立つかもしれない。
「入りなさい」
「あ・・・・・あぁ・・・・・あー」
俺は、口を大きく開けた状態で笹野に招かれ家の中に入った。
俺が家に入ると、メイドさんたちがヒソヒソ話をはじめた。
何を話しているのか、皆目見当もつかないね。
そんな状態の俺。やたらデカイ階段が真ん中に。
俺の実家の四百倍もあるのではと思ってしまう、庭も入れて。
「理沙お嬢様、そちらのお方はどちらさまですか?」
「私のと、友達よ」
「お友達でいらっしゃいましたか」
そう言ったメイド姿の女性はこっちを睨むように見てきた。
そして、上から下までじっくり見られた。
俺を・・警戒しているのだろうか?わからん
そして、もう一度家・・・いや、屋敷の内装をじっくり見てみる。
すごすぎる・・・それただひとつだ。
そのほかに何が言えようか。否、言えまい。これ見たらなー・・・。
「姉さん、本当に友達だけなの?」
こいつは・・・笹野の弟の道彦は何を想像しているのか、大体は予想つくけど。
「お兄さま・・・」
なんか、道彦の後ろに心配そうに突っ立ている妹の美花が声をかけていた。
そういうことは聞かないほうが、という感じに弟の道彦をみつめている。
当の俺はというと、メイド姿の女性と弟の道彦に指差され、睨まれ、はさまれている状況だ。
面倒なことになるよなーと思う。
「来なさい、龍刀」
俺は、笹野に呼ばれて屋敷に招かれた。

さて、今度は一体どこに向かっているのだろうか・・・ってわけでもないが変な大ホール的な場所に来た。
広すぎる部屋に、壁にはまったでっかいテレビ、でかく長いソファ・・・ここはリビング的なところなのだろうか。
「何、突っ立てるの?座りなさいよ」
「お、おぉ」
この部屋は何畳あるのだろうか・・・三十畳は超えてるな。
はぁー、やっぱり変に緊張するような気がするがそうでもないような気がするのも確かだ。
たぶん緊張はしてないが・・・というか、それ以上にびっくりし過ぎていて・・・これも違うな。
なんかこう・・・ワクワクしている?みたいな感じになっている。
こういうのとことんすきなのが俺だから。
体験したことないのに興味がありすぎるのが困るなーと子供のころから思っている。
とか考えてる俺が今ここにいる。場違いだ。
なぜここに俺がいるのか笹野に聞かねば。
「おい、笹野。なんで俺はここに招かれたんだ?」
「道彦よ、道彦が連れてこいってうるさいからよ」
「道彦?・・・あいつと俺、どこが関係あんのさ?」
そうだぜ、なぜ道彦?疑問だ・・・。
「連れてこいってうるさかったのよ」
「連れて来い?誰が?」
「道彦よ。あなたの名前を出したとたんに連れてこいって何回も言うから、しかたなくね」
「しかたなくですか・・・」
深くため息をつく・・・そのとき、勢いよくドアが開く。
現れたのは道彦君です。はい。
しかし、なんでこいつは俺に会いたがったんだ?謎だ。
「姉さん、本当にただの友達なんだね?」
「何回も言ってるじゃない。本人を連れて来たんだからそっちに聞きなさい」
え・・・俺ですか?
笹野は俺を指差した。
「そうだったな・・・おい貴様、来い!」
「はっ!?・・・って、おい。引っ張るなよ」
道彦に無理やり引っ張られとある部屋に連れてこられた。
そして、後ろ手に縛られ目隠しをされた。
びっくりしたが別段、何の問題もない。
予想はとっくについているのだから・・・。

腕は背中にまわされ縛られている。解こうにもなかなか解けない。
これを解くには少し時間がかかるかもしれない。
急に立ち止まったかどうかはわからんが、足がつっかかり転びそうになる。
座らせられる。
一体これから何が起きるのか・・・想像がどんどん増していく。
「おい、貴様と姉さんとの関係はいったいなんだ―――――――!?」
怒鳴りつけてくる、道彦・・・非情にうるさい。
そして、予想どうりだった。
こいつ、相当のシスコンだな。百パーセントシスコンだ間違いない。
さて、質問された俺と笹野との関係は・・・どう答えればいいのか、正直悩む。
お友達?知り合い?クラスメイト?遊び仲間?ご友人?って最初と最後のは同じか・・・。
ここは普通にクラスメイトか。
「俺と笹野はただのクラスメイトだよ」
「そんなわけ、あるか!正直に答えろ」
正直も何も・・・笹野と俺は本当に只のクラスメイトだぞ。
んー、しばし悩む・・・。
「俺と笹野は・・・そうだな、友達だ」
「友達ぃ・・・・・?」
「いや、疑うなって・・・ただの友達だから・・・それだけ」
そう言い放つと道彦は手を額にのせう~と唸る。
そして何故か俺は思いっきり足を踏まれる・・・何さまだこいつは!つーかめちゃくちゃいてぇ~。
三分後・・・足がもう、限界です。はい。
俺は踏まれている間、ずーっと道彦はハゲ!と念じるように連呼した。
「もう一度聞く・・・本当にただの!友達だな?」
え何?ただの!って強調すんなよ。叫ぶなよ。うっせーよまじで。
「そうだよ、ただの!友達だよ」
わざと、ただのを思いっきり強調して叫んだ。
そうすると道彦に、うるさい!だまれと思い切りスネを蹴られた。
笹野は女の子だし力がそんなにあるわけではないからあんまり痛くないが・・・道彦は男だしなにげにすこし力もあった。
くそ、痛かった!この、道彦はハゲが!とまたもや心で叫んでしまたった。
そのあとわかったといって、少し考えるようにまたう~と唸った。
少したつと顔を上げ、もういいだろうといって縄を解いた。目隠しもだ。
そのあと、道彦にどういうつもりだと問いただそうとしたがまたどこかに連れて行かれた。
次は一体なんなんだ・・・この。
通された部屋には笹野と笹野妹がいた。名前はたしか美花・・・だっけかな。
そしてその部屋にはデカイテーブルがあった。
豪華な装飾品のついたやたら背もたれが長いイスが何個もあった。
この部屋は一体なんなんだろうか・・・つーか、この屋敷にきてから悩むなー俺。
「座りなさいよ」
急に離しかけてきた笹野に俺は驚いてしまった。
話しかけてきたからではない・・・座りなさいといわれたからだ。
さっきもおんなじセリフを言って俺は道彦に捕まってしまった。
また、何かの陰謀か・・・・警戒しながら席につく。
と、思ったけどどこの席につけばいいのか分からない。
メイドさんに促されて席につく。
配列はこうだ。
俺の向かいに美花に俺の隣に道彦、そして二人に挟まれて笹野とこういう順番だ。
俺は笹野の隣に座ろうとしたがなぜか道彦に邪魔された。
そして俺の目の前にはとてもじゃないが見たことのない料理が並べられた。
秋さんと料理に行ってきたときと同じくらいの料理だと思う。
笹野のは俺に飯を食っていけというわけらしいが・・・正直、早く帰りたい俺は断ったが、それを笹野は許してくれない。
早く帰りたい理由だが・・・もちろんアニメを見るため。
最近楽しみにしていた深夜アニメの第一話が始まるのが今日だから早く帰りたい。
録画予約してるけど・・・やっぱり東京に来たのだから生でみたい。うん。
でも許してくれない笹野・・・食っていくしか選択肢がなかった。

まずは、前菜である。何かよくわかんねー幹事の料理に驚きながらも、精一杯礼儀正しく食べようと努力した。
結局はめちゃ怒られた。なぜか道彦に。
まだ前菜だぞ・・・と思いながら、不安たっぷりに前菜を食べた。
あ、ついでに。道彦も俺に怒鳴ったら、笹野に思いっきり怒鳴られた。
ついでに、スネも蹴られたようだ。
やっぱり兄妹だ、うんうん。
さて、ここでさらにもう一つ疑問が。
笹野と道彦。二人は金髪で緑の瞳。こいつらは見ため正確ともにまさに姉弟って感じがする。
だが、一人だけ・・・俺の目の前に座りおどおどしながら飯を食う美花が。
真っ黒い髪に鳶色の瞳。二人に比べ日本人ぽいけど・・・本当に姉妹なのかといわせたくなるぐらい、似てない。
でも、顔の整い方は笹野にいささか似ている。
俺がじっと美花を見ていると・・・ていうか、勝手に心の中で呼び捨てでいいのかな?この子はなんか・・・こう、なんかね。
「あの・・・・どう、か・・しましたか?」
「っん?あぁ・・・なんでもないよ。ごめん」
「そう・・、です、か」
すげー、気まずい。超気まずい。
すげー、よどよどしいぞこの子。
「おい、貴様。今日泊まっていけ」
「はぁ!?」
突然のことだったので俺は口に入っていたものを全部吐き出すところだった。
泊まっていけって頭は大丈夫か、こいつ。
明日だって学校あるだろうがよ。
「姉さん、構わないだろう」
「ええ、そうね」と笹野が言う。
こいつ、興味ないのか分からんがすげーあっさりと承諾しやがった。
なに、こいつら。いや、俺泊めることは良くあったけど・・・泊められることはなかったぞ。
どうするか・・・断る理由を・・はっ、そうだ。
「いや、泊まったりはしないぞ。だって明日学校だし。それに親御さんに悪いだろう、着替えも準備してないからさ」
「ふん。別に心配などしなくてもいい。親は今海外にいる。それに着替えなら僕のとかを適当に使え」
なに、こいつ。

「こちらです」
「あ、どうも・・・・・」
なんか、色々考えていたら部屋に案内された。しかも、内装豪華ですよ。
これは、笑うしかないぜ。流されすぎたー。
しかもさっきからドアの向こうから怒鳴り声と思しきものがどんどんこの部屋に近づいてくる。
この声は絶対に道彦だ。
壮絶な夜のお泊りになるよ、絶対。
前途多難だ・・・飛び降りてやろうか、はぁー。


       

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