Neetel Inside 文芸新都
表紙

ご飯の前にショートショート
リング

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ただただ戦っている

生きるために戦っている

この狭い狭いリングの中で


リング


いつから戦っているのか

もうわからない

最後に見た光の色も

思い出せない

思い出せない

よそ見をすればすぐにさよなら

死んだやつらが床でねそべる

壁に苦悶の色がでる

曖昧な色の壁がある

どうして俺はここにいるのか

高い高い壁がさえぎる外の世界

全てを殺せばここから出られる

そんな無意味な使命が俺の背を押す

しかたがないさ

しかたがないさ

殺すも殺されるも

しかたない

闇に潜んで殺すのさ

白くなったやつらの目玉

幾つになったと思う?

俺にもわからない

だけどリングにふたつだけ

黒い目玉は

ふとつだけ

俺が全て殺したんだ

それとともに鳴り響く

激しい雷鳴こえを震わす

さあ外の世界を見せておくれ

俺が覇したリングを潤す

冷たい激しい濁り雨

しだいにリングに水が増す

俺の体は雲へ近かずく

白い目玉も雲に近ずく

俺の体はなだれ出す

外の世界を見せてくれた

冷たい雨降る外の世界

リングの覇者を狙う影

長い長い

長い影を這わせながら

覇者は自分の死を悟った

睨まれたその瞬間から

リングの覇者も

所詮はカワズ

しかたがない

しかたがない







       

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