16、ホレタハレタは別として


 立川女史のおっぱいガーディアンになることを誓った右近は早速翌日計画を実行した。
 右近は立川女史を僕の部屋に呼び付け、女史の持つなすび妖精をまんまと奪い取った。
 どんな方法で奪い取ったのか。それは赤面して語らずにはおれない。
 だから僕はそんな恥ずかしいこと言わない。
 世にもエロい方法で奪ったとしか言えないのだ。
 その後立川女史のなすび妖精を右近はどうしたのか。
「トイレに流した」
 らしい右近であった。

 右近を襲った長瀬先輩さんは、自分がなぜ彼女を襲ったのかやはり明確に覚えていなかったという。
 なんでも、本人は風呂上がりの後輩がそれはそれは見目麗しい男に見え……、ゲイ的本能に任せて襲ってしまったのだと推測していた。
 僕はゲイでもなんでもないからその辺の気持ち、全く解んないけど。
 とにかく右近が無傷で良かったと思っている。
 あ、けれどもしかし、長瀬先輩さんは少しでも右近の裸体を見たんだと思うと僕も胸にこみ上げる悔しい気持ちがあるようなないようなあるような……。
 しかしあの大きな体育会系男子をフライパンで半殺しにした件で僕の鬱憤もチャラになっている。だからよしとしていいだろう。

 問題は右近が自分のなすび妖精を一向に捨てようとしない点だ。
 おかげで今、僕は右近のイトコさんと大乱闘を繰り広げているところだ。
 さっきから文にすると実にツラツラだらだらとした日本語の羅列でになっているのだが、実際僕の顔面は平常時より5割増しのボッコボコで、体は打撲だらけ。そんな状態ででイトコさんの長い脚にしがみついている。(因みにイトコさんはイケメンだ)
 もともとデブだから僕が殴られても肉が少し増えたくらいにしか見えないだろう。
 きっと体の打ち身を気にしてくれる人なんていないだろう。
 所詮デブとはそんなもの。
 悲しいときも痛いときも「いてぇ~。えへへ」といって笑ってもらわなくてはいけないキャラなんだ。「大丈夫かよ」なんて言葉もらえないだ。
 だからこそデブは真のロンリーウルフ。
 けれど僕はそれでもいい。
 それでもいいさ。だって君がいつも見ていてくれるんだから。
 右近……。

「ブーちゃん!」


 ノックアウトだった。
 
 イトコさんが投げた何かが僕の喉に詰まった。
 僕は息がとまった。
 多分死んだかもしれない。


「先生、ブーちゃんが白目をむいてる」
 

 つづく

sage