Neetel Inside 文芸新都
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共感覚と量子の網
崩壊

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 ここは第五構造体。
緑が広がり、人は皆笑顔で過ごす、美しい構造体。
例え閉鎖された世界であっても、不自由や、不満を抱くことはなかった。
 
 「お父さん、おはよう」
第五構造体のある一家の朝の風景。
二階建ての家で、階段から少女が降りてきた。
「おはよう、ミライ」
二人共日系の顔立ちだ。
もっとも第五構造体自身が旧日本領に存在するので当然だが。
 父は食卓につき、ニュースを見ながら朝食を摂っていた。
そしてミライも席に着いた。
”第ニ構造体、火星へのテラフォーミング来月上旬にも実行”とニュースで大々的に報道されていた。
「お父さん、テラフォーミングって何?」
ミライは父に尋ねた。
「テラフォーミングっていうのは、地球以外の惑星を人の住める環境に変えることだよ」
優しい声で父は答えた。
「そんなことできるの?」
「技術的には大分前から完成していたようだね」
「じゃあ構造体の外で生活できるようになるの?」
「成功すればね」
「楽しみだね」
「そうだね。
ミライ、そろそろ準備しないと学校に遅刻しちゃうぞ」
「急がなくちゃ!」
かなり焦った様子で朝食を食べるミライ。
小走りで自室へと行き、制服に着替え、そして洗面所で歯を磨き顔を洗った。
「じゃあ行ってくるね!」
少し忙しない感じのミライ。
「行ってらっしゃい。
気をつけるんだよ」
父は少し呆れ気味のようだ。
「はい!」
そしてミライは元気よく学校へと向かっていった。

       

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