Neetel Inside 文芸新都
表紙

新都社作家の後ろで爆発が起こった企画
ミーのバックでエクスプロージョン/只野空気

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「後ろで爆発が起こった。俺は驚いて振り返った」
 
 
 
 とてつもなく巨大で重厚な何か殴られたようなそんな衝撃が背後から襲い掛かった。
 咄嗟の出来事にその場にとどまる事も出来ずふらふらと二・三歩もつれるようにして近くにあった電柱にすがりつくのが精一杯で、何が起こったかが理解できなかった。
 頭が、脳が、何事かと確認する間もなく鼓膜が、畳み掛けるように訪れた巨大な音にかき乱される。
 キーンとすべての事象が遠くなっていくような耳鳴り特有の孤独感を味わいながらじっと地面を見つめて耳鳴りがやむのを待った。
 しかし、なぜか妙に息苦しい。とここで初めて自分が呼吸をしていない事に気がつく。
 呼吸を忘れてしまうほどの出来事とは一体なんだ。と恐怖半分好奇心半分で背後を振り返ると、そこに知っている風景は無かった。
 まだすこし耳鳴りのする耳が捉えたのは遠くから聞こえるサイレンの音。
 目の前では子供が声を上げて泣いている。
 誰かが何かを叫んでいる。
 近くで棒立ちになっていた女性に何が起こったのかと言おうとして口を開いたが、ヒューヒューと声に鳴らない出来損ないの音が出るだけで何も出来なかった。
 残量がゼロになった肺は失った分だけよこせと大きく息を吸わせた。久しぶりに吸った酸素は妙に焦げ臭く、不快感と恐怖心を煽る。
 ぼんやりとその場に立ち尽くし、辺りに居た大人と同じく声も無く上がる火の手を見つめながら、ようやくゆっくりとその事実を理解する。
 それは、爆発だったらしい。

       

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