Neetel Inside 文芸新都
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新都社作家の後ろで爆発が起こった企画
爆音は背後で響く/下水道みみず

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 パターン1
 
 なまぬるい突風が首筋を撫でた。
 と、同時に、つんぼでも目をパチクリさせそうなほどの轟音が背骨に響く。親父がお袋をブッ殺したときと同じ音だった。
 ああ、くそったれ。
 毒づきながら振り向くと、ちょうどその頭上を炎上した軽自動車がかすめたところだった。
 ビュンという鈍い振動が鼓膜を震わせる。
 果たしてそれはダイハツタントの残骸が空を切る音だったのか、あるいは俺の全身から汗が噴出す音だったのか。小便はとっくに漏らしていた。
 振り返って見た景色の先には、横転したタンクローリーがあった。炎の柱がごうごうと天に逆立って、その上空では火の粉が蛾の成虫と戯れている。
 あれが爆発したのだろうか。きっと、そうなのだろう。
 ただ立ち尽くすだけの俺に、のんきな腹の虫がぐうと喋った。
  

 パターン2
 
 すっとした彼女の後姿を目で追っていると、背後で空気が裂けるような音がした。
 口から飛び出してきそうな勢いで心臓が跳ねる。後ろめたいことをしているときは、周囲の変化に敏感になってしまうのだ。今にも誰かが自分のことを咎めるんじゃないかというビクついた内心は、簡単に表面化した。
 その一方で、つんざくような爆発音が聞こえた直後でも、彼女はやわらかい空気を纏ったままだった。ふわりと身をひるがえしてその横顔のが見えるか見えないかというところで、僕は思わず目をそらしてしまった。
 さんざん振り返ってほしいと思っていたくせに、いざってときに尻込みをするのだから。
 まったく、嫌になる。
 たいして見たくもない風景を見るために、僕は後ろを振り返った。
 


 パターン3
 
「わーい、爆発だー」と思って振り返ったら、それはビリーのボイスパーカッションだった。
 

       

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