Neetel Inside ニートノベル
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ライブの当日、ボクは相棒のキングクルムゾンを引きずりながら通学路を歩くと、木に止まったセミを見つめた。するとソイツは何を血迷ったのかボクに

ションベンを引っ掛けてきた。「チクショー」ボクは顔にぶちまけられた精液をぬぐりながら校門をくぐった。

校庭に向かうとグラウンドに特設ライブステージが設置してあった。ここがボク達T-Massの戦場になるのか。感慨深けにステージを眺めていると

例のポスターが目に飛び込んできたのでボクはそれを引き剥がし、くしゃくしゃと丸めた。「ああっ!やめてくださいよぅ」メガネの実行員

が止めに入る。「やめるのはそっちだ!なんで人様のちんこを勝手にさらしてんだ!」ボクが辺りのポスターを剥がし始めると

「おお、ティラノ、ちょうどよかった」といいながらマッスがやってきた。「ちょうどライブのステージングで呼ばれてたんだよ」後ろにいた

あつし君も言った。ステージング?ボクが聞き直すと実行員が口を開いた。「T-Massの人達でしたか。ライブでの演出はどうしますか?」

そうか、そういう集まりだったのか。すると衝撃の事実が実行員の口から発表された。

「T-Massはライブの一発目ですから開会式が終わったらすぐに来てくださいね。機材チェックとかありますから」
「はぁ!?ライブ初心者のボク達が先頭バッターかよ!?なにこれ?電通の嫌がらせかよ!」
「電通は関係ないだろ。昨日の夜にメールで連絡あったぞ。ティラノには届かなかったのかよ?」

ボクはポケットから携帯電話を取り出した。そうだった。3日前に料金滞納で携帯は止まっていたのだった。ボクは携帯を床に叩き付けて叫んだ。

「畜生!なんでオレ達が一発目なんだよ!小説的にも大トリに決まってんだろうが、クソ作者め!!」

あつし君が携帯電話を拾って言う。

「もう決まってしまったもんは仕方ないよ。腹くくってやるしかねぇよ」

マッスが携帯のフタと電池をボクに渡して言う。

「あつしの言う通りだぜ。順番なんて関係ない。俺達の全部をオーディエンスにぶつけてやろうぜ」

2人の説得を聞いてボクは正気を取り戻した。そして手を差し出してボクは叫んだ。

「T-Mass、一本入ります!いよ~」「いくぜ!」「おう!」「セックス!」「...あの~はやく決めて欲しいんですけど~」いつもの掛け声を掛けると実行員が

空気を読まずに話に入ってきたのでボク達はライブでの立会いを説明した。まずはSEを流して、あとは流れでお願いします。そんな平凡な冗談を

あつし君がほざいているとチャイムがなり体育館にボク達は集められた。校長のくだらない話を聞いている間もボクは緊張で震えが止まらなかった。

ライブが始まる時間は9時半。あと30分たらずでボクらは処刑台に上げられるのか。いいぜ、その台に続く道をレッドカーペットに変えてやるぜ。

意味わかんねぇだろ?本当に。何言ってんだか自分でもわかんねぇよ。スポーツマン精神にもっこり、と定番の下ネタギャグを織り込んだ

開会宣言が終わるとボクらT-Massは急いでステージ裏に直行した。

「いいか?演奏曲は2曲。アレとアレを演る。全身全霊で行くぜ?」

マッスがおどけると「余裕あんね、マッス」とあつし君が驚く。「ここまで来たらやるしかねぇだろ。まぁ失敗したらお前のせいだからな。ティラノ」

意地の悪いマッスの笑顔を見てボクも静かに笑った。これがマッスの最期の笑顔になるなんて。勝手に殺すな、とツッコまれそうだったので

ボク達T-Massはライブ前最後の打ち合わせを始めた。

       

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