Neetel Inside ニートノベル
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「えー、いまから『気分が向陽祭』のライブステージが始まります。観覧希望の方はグラウンドに集まってください」

スピーカーから放送が流れると生徒達がぞろぞろとステージの前に集まった。「どうしよう、あんなに人が来てる!」あつし君がステージ裾

から覗きこんで言った。マッスは目を瞑って指を動かしながら精神を集中させている。ボクはビョークという歌手が出てる「ダンサーインザダーク」

という暗くて陰湿な、今で言う「ブラックスワン」みたいな映画で、自称映画通が「この映画見てるオレってセンスいいでしょ、ハハハッ」

って腕をついて笑うであろう映画のラストシーンを思い出した。ステージにかかる階段は地獄に繋がる13階段か、はたまた天国への階段か。

ボクが空想を広げていると「時間です。T-Massのみなさん、お願いします」と実行員の声が聞こえた。ボク達は立ち上がると「セックス!!!」

と最後の掛け声を入れ、ステージ裏から勢い良くステージに上がった。

入場の時に実行員の人にSEとしてけいおん!の「Cagayake!GIRLS」を流して欲しいと言ったのに流れなかった。

「うわぁ、なんだこれ」あつし君がドラムセットの椅子に座りながらつぶやくのが聞こえた。観客の顔が良く見える。地上より1m高いだけの

ステージがこんなにも崇高なものに感じるなんて。ボクは遠く外れたところにいた三月さんを見つけ、歩きながら「おーい」と手を振った。すると足元の

ケーブルに蹴つまづいたのか、思い切り顔から転んだ。ズテーン。観客が嘲笑をあげる。「おらー、早くやれよー」「たらたらしてんじゃねーよ」

「あれ?あいつ、ポスターのヤツじゃね?」「おーい、右のやつ、ちんこだせやー」

観客の罵声に「気にすんな」とマッスがマイクごしにボクに言う。そうだ、この罵声を歓声に変えてやるぜ。ボクがギターを抱えてピックで

弦を弾くがなかなかアンプから音が出ない。刻々と時間が経過する。「おらー、ちゃんとやれやー」「ちんこだせや、ちんこー」

ボクがボリュームを調整するのに手こずっていると観客から「ちんこコール」が起こった。「チンコー、チンコー」なんだこいつら。小学生かよ。

ボクはムカついてギターを放り投げた。

「うるせー、みたけりゃみせてやるよ!うおりゃー」

ボクは2秒足らずでシャツを脱ぎ、ズボンとパンツを下ろし、客席に投げ入れた。パンツをよけた篠岡冥砂が「あー、あの小ちんこだー」と

ボクのしんぼるを指差して笑う。「下半身を露出したな!中止ィ~、今すぐ中止ィ~!」教頭先生がステージに向かって走ってきたので

ボクはギターを抱えて前を隠した。「あ、ちんこを隠したみたいですよ、先生!」女の実行員が言うと「なら良し!」と教頭先生は腕組を

して元の場所に戻った。ギターの音が出たので「よし、始めるぜ!記念すべき向陽祭の一発目を飾るのはこの曲だ!『ボクの童貞を君にささぐぅー!!』」

ボクがギターのイントロをかき鳴らすとオーディエンスが一気に飛び退いた。ギターのボリュームがでか過ぎたのだけどそんなの関係ねぇよ!

ボクはマイクに下唇をくっつけて最初の歌詞を歌いだした。

       

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Neetsha