「初めてキミと会った時からしたいと思ってた、せっくす、せっくす、せーくす!」
ボクのギターと歌声によって向陽祭のライブはスタートした。狂った事を言っているのに心は異常に落ち着いていた。
「花に誘われるミツバチのように 迷い込むよ 『AN KNOWN ZONE』!」
三人のコーラスがキマるとボクはBメロに向かうカッティングを始めた。
「ボクの気持ち キミのめしべに ぶちまけちゃっても 問題ないよね? 訴えないよね~?」
急にブレイクが入る。「したい!見たい!痛い?SEX!」叫ぶと同時にボクはエフェクターを踏み込む。
「やり、た~い! そうさボクらお年頃だろ いまや小学生でもヤってる世界さ
しまくり、しまくれ、ヤリまくれ!そしてそしてそしてボクのどーていをキミにささぐぅー!」
「ぼくどう」の一番が終わった。薄めを開いて観客を覗くと笑い転げてるやつら、リズムに合わせてうなづいている人達が半々くらいで存在していた。
これはイケんじゃね?ヤレんじゃね?デキんじゃね?本邦初公開、ボクはエフェクターを切ると2番の歌詞を歌った。
「キミと2回目会った時から奪いたかった、バージン、バージン、バージン!」
「もしも子供が出来たって 堕ろせば良いから 『BABY SUCIDE』!」
「キミの気持ち ボクの菊門に ぶちこんじゃったら 問題あるよね! 入院するよね~?」
「いぇい!うぇい!AWAY?SEX!」観客が拳を振り上げる。
「いき、た~い!そうさボクらケダモノ集団 そうさ警察なんてピストルでドーン!(DONE!)
しまくり、しまくれ、ヤリまくれ!そしてそしてそしてボクのせーえきをキミにそそぐぅー!」
盛り上がる観客を見てボクはギターを下ろし、「EAT! and SLEEP! and SEX!」とアドリブでオーディエンスをあおった。これは人間の3大欲求、
食事、睡眠、セックスを英語で言っただけなんだけどね。初めてこれをバラエティ番組で言ったさまぁ~ずの三村マサカズは偉大だと思う。
「イート!アンド、スリープ!アンド、セックス!」ボクが拳を振り上げるとステージの後ろからホースで水が撒かれた。よかった。この
演出はちゃんとやってくれたんだ。これは2番のサビが終わったらボクが何かするから、そうしたらホースで観客に向かって放水してくれと
実行員の人に頼んで置いたのだ。フルチンでステージを飛び回るボクを見て体育教師の夏木安太郎が「なんなんすか、なんなんすかこれ」と呆れる。
「ひゃあ、つめたーい」ボクが客席を見つめるとなんと、女子の夏服が透け、下着のブラジャーやシャツが透け透けになっている!
急転直下、90度。ボクはとっさに自分のドラムスティックを握りしごき始めた。「おいおい、パート交換するか?」あつし君がおどけてドラムを叩きながら言う。
「あ~ん、もっと~、みずほしぃ~」冥砂がステージにかぶりつきでボクが陰茎をしごく様を飛び跳ねながら見つめていた。ボクは夏服
からのぞく褐色の山と谷を眺めながら腕のスピードを速めた。どぴゅ。ステージの時間が止まる。冥砂は顔についた精液を人差し指ですくい、
ちゅぱ、と口に入れると「あんたの精子、苦くて、臭くて、とってもおいしぃ」と笑った。うわ、なにこいつ。すでに賢者モードに達して
いたボクは「気持ち悪ぃんだよメス豚」と暴言を吐くとギターを拾い上げて、かき鳴らし、大サビを歌った。
「やり、た~い! そうさボクらお年頃だろ いまや小学生でもヤってる世界さ
しまくり、しまくれ、ヤリまくれ!そしてそしてそしてボクのどーていをキミにささぐぅー!」
「したい!見たい!痛い?SEX!」「A B C D E F G SEX!!」
「いき、た~い!そうさボクらケダモノ集団 そうさ警察なんてピストルでドーン!(DONE!DONE!)
しまくり、しまくれ、ヤリまくれ!そしてそしてそしてボクのせーえきはめいさにそそがれたぁー!サンキューめいさ!フゥー!」
じゃかじゃかじゃかじゃか、じゃ~ん!ボクとマッスがステージ上でタイミングばっちりで飛び上がるとあつし君のだかだかだかだか、ば~ん!と
いうドラミングで「ボクの童貞をキミに捧ぐ」というモンスターチューンはこうして世に放たれた。はぁはぁ、と息を切らしながらマイクを握り締め、ボクは語った。
「次で最後の曲です。聞いてください、『 Moning Stand 』」
夏木先生が時計を睨みながら「もう演奏時間の10分を過ぎてるよ。ふざけたロスタイムだ」とほざいたが気にしなかった。
ボクはエフェクターを踏み変えてアルペジオを弾き始めた。