Neetel Inside ニートノベル
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T-れっくす
2nd Album Smells Like Virgin Spirit

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T-れっくす 2nd Album スメルス・ライク・ドーテー・スピリット
T-1 帰ってきたかまってちゃん



ヨォ!おまえら夢見てるか?未来を信じているか?オレ、天使。じゃなくてティラノこと平野洋一!ボクは今、学校から書くように渡された反省文との格闘で一杯一杯さ!

反省文と言ってもこないだの学祭でステージをぶっ壊した件のヤツじゃない。ちょっと長くなるが聞いてくれ。話は2日前にさかのぼる。


「よし、じゃあ今からみんなで風俗行くか!」
「えっ!?」

マッスの提案にボクと山崎あつし君は声をあげた。繁華街を歩きながらマッスこと鱒浦翔哉は上機嫌にこう返した。

「俺達T-Massがライブ演った後、青木田達の演奏中にステージ燃やして、乱闘が始まって、それバックレて、
ティラノが停学になって。まともに会うのひさしぶりじゃん?ここは一発、ハメでも外しに行こうぜ!」
「おう!ハメを外しに一発、ハメる。それいいじゃん!」

あつし君の平凡なオヤジギャクが歩道に響く。僕らは1時間前にマッスの部屋で酒盛りをしていたためテンションがおかしくなっていた。

「イッツオーライ!君という花に俺の未来の欠片をリライトしてやるぜ!チェックオーケー?」
「ティラノ、さっそくアジカンにハマってんじゃん」
「おー、見えてきた。花びら50回転ズ。ここで済ませようぜ」

小道の奥にある灯りの付いた小屋のような店に入るとマッスがスタッフと受付をし始めた。

「おれ、風俗初めてなんだ。渡辺直美みたいのが出てきたらどうしよう?」

酔いが醒めかかったあつし君が小刻みに震え始める。けっ、小市民が。お前は2億㌫性交しないタイプ...っ!ボクが周りの壁を眺めると

「学生割引」のチラシが目に飛び込んだ。「あれ、この店学割使えるの?」「はい、使えます」「やったじゃん!」
「では、学生証の提示をお願いします」


ズデーン。ボクらは顔の怖いおにいさんに襟首をつかまれ、店の外に追い出された。

「二度と来るんじゃねぇぞ!高校生のガキ共が!」

ゴミ袋の上から立ち上がると、「引き上げだ。帰るぞ」とマッスの号令がかかり、とぼとぼとボクらは繁華街を後にした。

分かれ道で2人と別れると無意識に携帯電話を取り出した。ボクはニヤケながらダイヤルした。


「は~い、メイサですけど~?だれ?」

「1万でなんでもヤる女」篠岡冥砂が電話に出た。ボクは鼻をつまんでこう答えた。

「おう。岡崎だけど。ケータイ替えたから。いまから出てこれる?」
「いいよ~。何処で落ち合う?」
「えっと、駅前の公園で。」
「わかった、いまから出るね」

ぶつ、電話が切れた。ボクは携帯を握り、若干ヒキ気味で笑った。

なぜ、メイサのアドレスを知ってるかって?それはあの伝説の学祭ライブの後、メイサから「よかったら、ここに電話してくださいっ」と

アドレスの書かれた紙を受け取ったから。...ではなく、たまたまメイサが岡崎に廊下で自分の携帯ナンバーを大声で教えていたので、

ボクはその番号をノートに控えていたのだ。気持ち悪いだろ?相変わらず。とりあえずあと少しでメイサが来る。ボクは腹をくくった。


「あれ?ライブん時の粗チンポギタリストじゃん。岡崎見なかった?」

会社帰りのサラリーマンが振り返る。おー、ハニー。あの時キミはボクの精液を受け取ったのにそんな印象しかないのかい?メイサが

虫けらを見るような目でボクを嘲う。

「どーせ、あいつらにまたパシられてるんでしょ?青木田ってもう、退院したの?」

ボクはサイフを取り出して樋口一葉をメイサの前に突き出した。

「五千円」「ん?」「ごせんえん。これでしゃぶってよ」

2秒間の沈黙の後、メイサは歩道の全員が振り返る声で笑った。

「あっはっは!!まじで!?まじで言ってんの?どうていクン?これっぽっちでメイサを買収しようとおもってんの?」

ボクはダボダボのスウェットを着たメイサのおっぱいを見つめながら「...お願いします」と小声で言った。笑いが収まったメイサの厚い唇が動く。

「いいよ」「はい、すいませんでした。ってはい!?」「いいよ、っつってんの。ここじゃアレだから行くよ」

そういうとメイサは五千円を受け取り、ボクの手を引っ張って公園の草葉に移動した。うほほ!言って見るもんだぜ!この小説を読んでるモテない男性諸君!

おおいにマネしてくれたまぇ!初めて触れた女の子の手に感動していると「もう勃起してんの?」と聞かれた。はい。ボクのテンションは

急上昇!フルテンだ!ボクを立たせ、メイサが公園の死角にしゃがむと「ほんとにいいの?」といたずらっぽく聞いた。静かにうなずくと

メイサはボクの短パンをやや乱暴に下げた。ぶりん!スペースを得たメッシのようにボクのペニスは思い切り跳ね上がった。

ボクのアレ(9cm)を見るとメイサはぶっと吹きだし、「ほんとに、ほんとにいいの?」と聞いてきたので「ああ、早くしてくれ。限界だ」と声を振り絞った。

それを聞くと突然メイサは立ち上がって息を吸い込んだ。

「なめてんじゃねーよ!このいかれチンポ野郎!だれかー!助けてー!!」

そう叫びながらメイサは駅に向かってスニーカーを突っかけながら走り去って行った。ふん。巨砲を前にして戦意が削がれたか。ビッチの

名がすたるわ。ボクがため息をつくと目の前にある建物から警官が2人飛び出してきた。あれ?もしかしてハメられたのかなぁああああ!!

「おい!おまえ!何してる!」ボクは急いで短パンをあげようとした。しかし勃起したチンポがじゃまでうまく穿く事ができない。

「おら、なに出してんだ!」やべぇ!逃げようとして走り出すがうまく走れない。「そこの露出魔、止まれ!」慌てたボクはずり落ちてきた

短パンにつまづいて歩道の真ん中でおもいっきり転び、お縄を頂戴した。つーか、捕まった。その後ボクは学校から猥褻物陳列罪と売春容疑、ついでに未成年飲酒と18歳以下で風俗に行こうと

した罪などで2週間の停学処分を言い渡された。

「おまえ、犯罪のスーパーマーケットやな」「破壊、飲酒、売春、露出癖。役満だな」

職員室で先生達が口々にボクをののしった。信じてくれ、ボクはあの糞ビッチにハメられただけなんだ。本当だ!信じてくれ!!

「いまさら信じるものか!私はお前を疑う!」神に身を捧げた亜栗明日先生すらボクを犯罪者扱いした。

「家裁に行かないだけありがたいと思えよ。ほらこれ」そういうと担任の先生がボクの目の前にコミックボンボンぐらいの厚さの作文用紙を広げた。

「あの、ボクこないだ、反省文書いたばっかりなんですけど...」
「それがどうした。『いままでの学校生活での迷惑行為に対してのお詫び、及び今回の事件に関しての謝罪』
をテーマに700枚書いてこい。2週間もありゃ出来んだろ」

ボクは目の前が真っ暗になり、その場に崩れ落ちた。青木田バンドに嫉妬してステージを爆破。性欲に負けて女子高生を買収未遂。

どっちだろう。泣きたくなる罪は。ふたつ“○”をつけてちょっぴりオトナさ!アリーガトーゴザイーマス!!


はー、やってらんねぇよ...ボクは窓の外から登下校する子供達で残酷な想像をすると椅子にもたれかかった。そしてため息を吐き出して呟いた。


「ライブやりてぇ...」


バンド。それがボクがこの2ヶ月で手にした「武器」だった。この謹慎が解けたら愛用のギターと最高のメンバーを

従えて世界を陵辱するかのごとく、存分に存在を証明してやるぜ!はっ!ボクはベッドにダイブすると復帰に向けての英気を養うことにした。

「おにぃ~!陰部摩擦罪で、タイホなのです!」ボクは萌えアニメの妹キャラをオカズにセンズリをカキ始めた。

こうして俺達T-れっくすのロックンロール伝説第2章は幕をあけるのだった。信じてくれ。必ず感動させて見せる。


※わからない表現が出てきたらググるのをオススメするぜ。ゆとり諸君!


どぴゅ。

       

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