立川はるかが守っていた純潔は、浅田浩二が無残に突き破った。
立川はるかは当然のこと、初めて受け入れるそこに拒絶され浅田浩二は快感以上に痛みを感じていた。が、浅田浩二にとってそんなことはどうでもよく、忌々しい女を陵辱する、それだけが目的だった。
「なんだ、やっぱり処女じゃないか。ハハ、はははっ、ほら、どうだ、今の気分は!」
「ぐ、ハァ、アア……いたい、やめてよ、やめてよぉ!」
「うるさいなぁ、もうちょっと、もうちょっとだけだ……!」
相手のことなんて少しも考えない、ただただ屈辱を与えるためだけに、浅田浩二は腰を揺らす。
膣内は擦り切れ、破瓜とは思えないほどに血を流す。そこには浅田浩二の血が混じっていたが、もはや痛覚は麻痺しているようだった。
「はぁ、はぁ、はぁっ、悪いな、もう、ダメそうだっ」
「っ! ダメ、それは、それだけは、ダメっ!!!」
「ああ、で、出る! 出す、出すぞっ!」
「ア、アッ、アああああアアアッ!」
浅田浩二の動きは止まった。そして繋がったまま崩れる立川はるか。
絞り出すように、浅田浩二は立川はるかに精を放った。この一方的な性交は浅田浩二の嗜虐心を刺激し、興奮させ、立川はるかの体内すら汚らわしく犯した。
ぜいぜいと息を荒げながら気だるい身体を動かし、立川はるかから離れる。秘部からはごぽりと精液、そして血が溢れ、床に落ちる。
立川はるかは両肩を大きく揺らしたまま、動くこともままならない。
ライフルを立川はるかの後頭部に再び押し当てた。
「さよなら、立川さん」
何の躊躇もなく、引き金に指がかかり――
――トンッ
浅田浩二の手からライフルが落ちた。
トリガーが引かれるよりも早く、立川はるかが跳躍し短剣を浅田浩二の首に突き刺したのだ。
浅田浩二は、何が起こったのかわからない、と言った表情をしていた。そして首の異物に気づく。
ごく自然にそれを掴み、抜いた、瞬間。大量の血が吹き出した。
立川はるかは振り返らない。回復魔法で自身の怪我を癒していた。
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▲ 立川はるかは浅田浩二を殺しました ▲
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▲ レベルは上がりません ▲
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『規定の人数となりました。フロアの出口を開きます。お疲れでしょう、この先に休憩室を用意しています。』
壁が音もなく開き、階段が現れた。
「……このライフル、使わせてもらおうかな」
ライフルを拾い、伊藤月子は亡骸を一瞥する。
(キミ、何があったか知らないけど性格ネジ曲がりすぎ。何にもがんばらずに生きてきた人の典型だよ。まあ私も人のこと、言えないけどさ……
すべてを賛同するわけじゃないんだけど、私たちには『救世主』が必要なのかもしれないね。
……来世では会えるといいね、『救世主』に)
そして立川はるかに視線を移す。
「はるかちゃん……」
伊藤月子は立川はるかが(本当に)心配だった。いくらなんでも悲惨すぎるからだ。
正面に廻り、顔を覗きこんで――ぎょっとした。
立川はるかは、平然としていた。ごくごく自然体で、余分な力が抜けてリラックスしているような様子だったのだ。
「どうしました?」
「う、ううん。行こ?」
「はい」
二人は手を繋ぐ。
ふと、立川はるかは振り返り――すぐに、前を向いた。
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(…………)
伊藤月子は立川はるかへの認識が変わりつつあった。
浅田浩二がトリガーを引く瞬間、念動力で止めようとしていた。そして銃口を自分に向けさせて自殺、という幕引きを描いていたのだ。
しかし実際は、立川はるかが念動力を使うよりも早く動いた。
つまり、超能力を使用するよりも行動できるという証明。
それに、強姦され、人一人殺したあとで、あの平然とした表情。絶望も、悲しみも、怒りも、殺意もない、ごくごく日常を過ごしていたかのような、表情。
(……こいつは、脅威だ)