Neetel Inside 文芸新都
表紙

その街のひとびと
酔っぱらった勢いで30分くらいで書いた糞小説

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 その女の顔は陶器のように白く、その有り様を見た者は不気味と捉えると同時に、ある一つの感情が生まれる。


「ここに来るのも久しぶりかもしれない、とかなんとか」
 誰もいない部屋で女は呟く。反射する声はとても落ち着いていた。
 部屋の中には木製の白い壁で囲われた空間があり、女は愛おしそうにその壁に身を寄せた。
身体の中心が熱くなるのを感じ、若干の危機感を覚える。それでも今はこの瞬間を味わっていたかった。
 「そう、この色だね。やっぱりこの色じゃあないと」
 視線の先にある色は青色。空の色より濃く、信号の色より明確で、合成着色料の入った飲み物のような色。その作られた青色を、女は瞬間的に誰よりも求めていた。
 「ようやく見つかったんだ。今まではこうはいかなかったもの。それでも…」
 壁に囲われた空間を見て一瞬躊躇する。
 「この狭さは慣れないな」
 壁の中は一畳程度であり、人一人が屈んでしまえばそれだけで他人が入る余地がなくなる。
 「まあ、ここに二人以上入る機会なんて私にはないだろうけど」
 皮肉めいて笑い、ドアを閉めた。青色は赤色に変わった。


 場所は変わってある食堂。昼は過ぎたが、講義待ちの学生が友人と話すには格好の場所である。
 端の方に男が二人カツカレーを食べて何やら話している。
 「さっきの女の人の顔、見たか?」
 一人の学生が友人に問いかける。
 「ああ、見た見た。呻きながら歩く姿見たら嫌でも視界に入るよ。ありゃ確実にあれだな。限界近い顔してたしな」
 「やっぱり?いやー顔面蒼白ってあのことを言うんだわな。俺初めて見たけど不気味っつうかなんつうか」
 「可哀相」
 「そうまさしくそれ。同情したわ。蒼白なのに汗だらっだらだぜ?しかも涼しい秋だってのに。大丈夫かなー間に合ったかなー」
 「見てくれば?」
 「そんな趣味はねえな」
 二人はモクモクとカツカレーを食べながら話した。
 他愛のない、平和な日常であった。

                                      完

       

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