Neetel Inside 文芸新都
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行き止まり
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僕はある分岐点から道路を引いている。
道路は曲がりくねっていて、
ところどころ険しく、ところどころ平穏で、
たまに高低差が激しく、たまに緩やか。
この道路は作り終わると、行き止まりになる。

人によっては行き止まりまでの道のりが長いほど良いと言い、
人によっては行き止まりまでの道のりは普通より半分のほうがいい
と言う。
でも僕はなるべく長い道路を引きたい。
たまに道路をひくのが面倒くさくなって、
中途半端な所で行き止まりを置きたくなったことも何度かあったけ
ど、
なんとか持ちこたえて道路を置いて行ってる。

むしろ今は、道路を引くのがとにかく楽しいのだ。
いま引いてるところは高低差が激しい所だけど、
道路のくねらせ方や新しいギミックを考えるのがとにかく楽しい。

そして何より楽しみなのが、
道路が完成した時に自分が今まで永い間引いていった道路を眺める
ことだ。

最近、僕の両親が道路を引き終えた。
最初はショックで寂しくて、僕も行き止まりを作ろうと思ったけど

元はといえば僕のお母さんが最初の分岐点を作ってくれたわけだし

やっぱり時が来るまで道路を引き続けないといけない気がした。

そんなこんなで僕は道路を引き続けている。
僕だけじゃない。人間皆が道路を引き続けている。
人によっては複雑な道路を、
人によっては典型的な道路を、
人によっては曲がりくねった道路を、
人によっては分岐点ばかりの道路を。
こうしているうちにいつしか街ができてゆき、
道路も沢山できてゆく。

皆はその道路を、「人生」という言葉に置き換える。

       

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