Neetel Inside 文芸新都
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 軽い眩暈がする。
 何をしていたんだっけ。ああ、そうだ。賢吾がPCをつけっぱなしにしていたから、電源を落としたのだ。履歴には、DBAGについて好意的な記事ばかりが残っていた。こうしたポジティブな意見を一つ一つ読みながら、自分を納得させている賢吾の姿が見えるようだ。
 外の空気が吸いたくなって、外に出る。
 道路では、向かいの美香ちゃんが縄跳びをしていた。一瞬おびえた表情でこちらを見た彼女だったが、その表情が、みるみるうちに明るくなる。
「おばあちゃん! いつものおばあちゃんだ!」
 そう言って、弾けるようにころころと笑った。
 その言葉に、胸の奥がじんわりと暖まるような気がした。トキタ医師の言葉は本当だった。結局、ただの気のせいだったのかもしれない。
「おばあちゃん、おはようございます!」
 美香ちゃんが元気に言い、ペコリと頭を下げる。
「ええ、おはよう、美香ちゃん」
 そう言って。



 


 ワタシは、


 

 にっこりと笑った。




       

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Neetsha