Neetel Inside ニートノベル
表紙

誰の声も無の向こう
ミリキルク・ボウ!

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 俺は最強の魔法剣士だった
 火炎魔法でいくつもの国を救った
 俺の名はビガル
 最近は盗賊狩りなんかをやってる
 のんびり暮らしているつもりだ
 お金にも困らないし、魔法もつよいし
 だからキャラバンの護衛とかもやってる
 とても助かるっていわれる
 やったー
 洞窟のキャラバンを守った
 仲間の剣士たちと魔物をやっつけた
 魔物は結構強いやつがいた
 負けてられない
 だから火炎魔法フィルシードブラッシアで何もかも倒した
 経験値がどんどんたまった
 ハンドガンのような魔法デバイスで闘った
 書籍を売り払ってお金をゲット
 それが最近の冒険者のセオリー
 眠いので寝た
 仲間が俺を守ってくれた
 おしくらまんじゅうで暖かい
 何も考えなくていいんだ
 敵が見えると魔法で狙撃した
 攻撃が強い
 いいものだ仲間というのは
 俺は剣を仲間にあげた
 俺はもういらない、古い剣でいい
 愛剣をちょこちょこと振り回して敵を倒す
 俺の技術はなかなか凄い
 だが愛剣が折れてしまった
 仕方ないのでダガーを投げた
 ダガーを投げまくる
 ダガー最強伝説
 俺のダガーが強い
 金属がこっちこっちゆー
 かちゃりかちゃりと
 落盤した
 なんてことだ俺はゴーレムのパイロットになってしまった
 なんてことだなんてこと
 頭がいたい
 ねみい
 魔物をやっつけないと仲間を探して
 みんなが俺を待ってる
 ばしゅんばしゅーん
 俺の攻撃が敵をたおしてく
 炎があふれる
 ダガーを投げる 敵にささる
 そこで俺はゴーレムを突進させた
 ジャンピングアタック
 喰らえ俺の眠気からなる体当たりを
 俺はハーディカルウェポンをつかった
 頑張れ俺の鉄砲
 いっけー おれのてっぽー
 だんだんだん
 実は俺は未来からの転生者で鉄砲が使えるのだ
 俺のハンドガンが唸りをあげる
 だんだんだん 敵を撃つ
 いっけええええ 弾丸のあめええええええ
 ばっしゅううううううん
 おれつえー! おれちょうつよい!!!!!!
 すごいなーおれはやっぱすごいんだー
 あ、おかねくれるのー? やったー
 あはは、はははははあ
 ばんばんばーん おれつえー
 俺の弾丸が世界をすくうのだー
 くらえー
 くらえー
 えへへ まけないぞ
 ドルだ ドルをよこせ
 ペソでもいいぞ
 箱からアイテムを取る マシンガンぶっ放す
 くらえくらえ
 ばららばらら
 俺の弾丸がすべてを破壊する
 やったーしあわせー

     




 王立皇国ベルゼラント帝国。
 俺はそこの国王に呼び出された。
 何事かと思えば魔物の討伐依頼だという。
 面倒だが仕方ない。国のためにやってやるか。
 装備を整えてもらい、森へ出た。キョルベの森だ。
 そこにいる魔物を退治してあるく。
 俺のエベルオンの剣は今日もよく切れる。
 くもモンスターを倒して、糸を手に入れ、商人に売る
 やつらに剣の実力はない
 だから俺が必要になるのだ。
 俺は王立剣術道場の師範代の息子だからな。
 腕はいい。
 だから雇われる。
 そういうことだ。
 商人からまんじゅうのおすそ分けをもらって元気を出す。
 キャラバンがいたので仲間に入った。
 ゆっくりとした進行
 森の中の霧隠れ族に何かを運搬する予定らしい。
 頑張れという感じだ。
 パシパシと敵を切りさばく。
 ランプをかざして光を振りまく。
 毛布に包まって眠気と闘う。
 剣を左手で振ると霧が一瞬晴れる。
 宝箱の中身を旅人たちと相談。
 俺の手持ちのアイテムをいくつか売ってやった。
 あたたかい気持ちになれるハーブを売ってもらった。
 ぱくつく。おいしい。
 このあたりには魔王がたくさんいるらしい。
 魔王をやっつける。俺の剣の腕なら余裕だ。
 喰らえミチッキィ・ストライカー!!!!!!
 俺の剣が折れるほどの一撃。
 砕けた破片が土に降る。
 土をけって魔王を牽制
 のどが痛いので水でうがいをする
 喰らえ俺の攻撃。
 天破竜王剣!!!!!
 どばーん!
 俺のおかげで魔王たちはHPをごっそりもっていかれてた
 ここはVRMMORPGのなか。
 素敵なゆめのなか。
 俺はチートだから平気なのだ。ダメージは受けない。
 チート剣を振り回してみんなに感謝される
 とてもいい気分だ
 暗い雲があたりに立ち込める
 あれ? なんだっけ
 俺はなにかをしていたはずだったのに
 眠気がひどい。
 剣が折れた。
 逃げよう。俺はキャラバンの何人かと一緒に小隊を捨てた。
 逃げた。
 助かった。
 俺たちだけが助かったのだ。キャラバンは魔王ポ・ペルチナスの魔の手でやられてしまった
 強いやつに逆らうからいけないのだ。
 俺は逃げた。逃げに逃げた。剣も捨てた。
 そうして地面の下に落ちてしまった。落盤だ。
 地下世界で俺は毛布に包まりながら仲間たちと魔王の手から逃げ隠れする生活を送っている。
 それはそれで安らかな暮らしだった。
 あたたかいパンを恵んでもらう毎日
 元勇者の俺に対する人間たちの風当たりは優しい
 無風に近い。
 ああ、雨のない地熱に包まれた暮らし。
 たまにあらわれた魔物をダガーで倒して飛び出した宝石を売る。
 静かな暮らしだ
 地下の部屋を一室借りて、雑誌を読みふける。
 アイテム貿易でもすこしもうけた。
 馬鹿な勇者どもに装備を貸して上がりをもらうのだ。
 とてもいい商売だ。
 俺は部屋にいて金がたまっていく。
 素晴らしい。
 なんていい暮らしなんだ。
 俺は幸福な毎日だった。魔王なんて倒さなくてもいいのだ。
 剣を売った。
 まだまだアイテムの備蓄はある。
 大丈夫、大丈夫。
 魔王はここまで来ない。元勇者とはいえ俺をいじめにきたりしないのだ。
 静かに、時々町を変えながら、暮らしていく。
 おいしいものをたくさん食べて。それでも足りない金は魔物で稼ぎ。
 今日という日を生きていく
 地上の王国が破滅したらしいがそんなことはどうでもいい。
 平和が一番なのだ 俺はまた剣を売り、雑誌を買い、それをベッドで読みながら
 古い雑誌を田舎モノの勇者たちに高く売り付ける。
 そうしてまた新しい雑誌を買い・・・・ああ幸せだ。神様ありがとう
 俺は立派に天下った。天下りこそが人生の秘訣。そうにちがいない。
 毛布に包まりながら、ぼそりと呟く。
 ミルキリク・ボウ。

       

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