Neetel Inside ニートノベル
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可愛い女の子の設定をひたすら考えていく。
その1「川上泉」

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白状しよう。
俺は確かに、となりの席の川上泉のことが気になっている。
色白で、小柄で、華奢で、足が細くて、大人しくて、っていうか無口で、まつげが長くて、いつも退屈そうにしてて、美人で可愛くて、ミステリアス。
そんな女の子が隣の席にいたら誰だって気になるだろう。男子なら。仕方ない、生理現象だ。
そんなわけで俺は、彼女のことが生理的に仕方なく気になっている。
別に好きとかじゃあ、断じてない。誓って。

     


     

ふと思い立って、彼女の名前をネットで検索してみた。
別にストーカー染みた変態的好奇心ではなくて、ただ、なんとなく。
それに何かあてがあったわけじゃない。
あの頃の俺は、ネットの海に限らず、下校途中の道端でも、電車の中でも、彼女の欠片というか、痕跡というか、とにかく彼女と関係する取っ掛かり、ドアノブみたいなものを、漫然と探すのが習慣になっていた。
ただ、なんとなく。

     


     

検索に引っかかったのは、どこぞの頭の弱そうな女子高生のブログや、ツイッターの履歴ばかり。
何度かの試行錯誤。
彼女の渾名とか、クラス番号とか、そういうのを片っ端から。
そうして、一時間。
見つけた。
彼女のブログ……というより、個人用の掲示板を間借りしているみたいな小規模なもの。
書き込んであることも、一言だけの呟きみたいなものが多い。

     


  「今日は暑い。帰りにアイスを買って帰ろう。」

  「授業終わり。」

  「数学。当てられたけど、上手く答えられた」

  「現代文。隣の関君がオナラをした。ちょっと戸惑ったが気が付かないふりをしておいた。」

     

などなど……っていうかバレてたのかアレ。畜生。
さらに下にスクロール。

     



  「三時間目。お腹すく」

  「授業終わり。今日は関君とちょっと話せた。」

  「宿題終わった。寝る」

  「起きた。朝ごはん。牛乳をこぼす。テンションダウン」

  「教科書忘れた。関君が見せてくれた。すごく恥ずかしくて、胸がどきどきしてしまう。でも、たまにならまた忘れてもいいかも。なんて」
  
  「今日はいい日だった。いい夢が見られそう。おやすみ」

     

「うおっ……えっ?」
あまりの驚きに思わず二度見した。
いや、俺の名前が出てきたのもそうだが、これは、その……なんというか、そういうことだよな。
なんだか見てはいけないものを見てしまったような気がした。っていうか見てしまった。

     


       

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