Neetel Inside ニートノベル
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暗い短編小説庫。
 妖怪 捻れ

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妖怪 捻れ






     





ととさま、かあさま。
たすけてください。
おてんとうさまおねがいします。


     




私はいつからこんな身体になったのか。
歴史の外側、輪廻の裏側にいる私。
一切皆苦、佛教の用語らしいが、全ては苦痛である。
そういう意味、別に佛教なんて私には関係ないがその考え方が
私の存在を表す意味で丁度いい。
私はそういう存在だから。


     




たぶん、四、五歳の頃だったと思う。
かあさまが病気で死んでしまったのは。
それから少しして私にもかあさまと同じ病気にかかった。
ととさまは、屋敷を売り、知り合いから金を借り私を助けてくれた。
お医者様は私の事を精一杯助けてくれた。
それからだった。
ととさまは盗人になり殺されてしまった。
連れていかれていく際にお医者様に一言言った。
「殺さないでくれ、頼む何でもやったろう頼む。娘を生かしてくれ。」
今なら分かる、私の為に金も自尊心もそして男色の気のあったこの医者に身体も捧げた事も。


     




ととさまが居なくなって三カ月程でその医者も私の病気と同じ病気にかかった。
すると医者は妄言に取り憑かれたように私を連れて旅支度を始めた。
その時に医者は
「万病に聞く薬草を取りに行くのだ、しかしそれは遠く遠くの山奥にあるのだ。しかも
 妖怪の家の中庭にあるのだ。」
と言って聞かせた。
私はその時既に十二、三歳であった。
はっきりそれが嘘であると思った。
精々薬草の部分だけ信じた。
でも半ば楽になりたいと思っていた。
そうすればととさま、かあさまに会えるのだから





     




旅をし始めて一月といった所で私の病気はきつくなり始めた。
とうとう、咳の中に血が混じり始めた。
今まではととさまのお金で薬や精のつく食べ物を食べられたけどいまや
旅支度とととさまが死んでからの生活費で底をついていた。
正直早く楽になりたいと強く思っていた。
しかしそれから、四日目に着いた場所は先の医者の言った事を信じさせるような
情景であった。


       

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