Neetel Inside 文芸新都
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怠惰
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僕は怠惰だ。

何をするにしてもやる気が起きない。

僕は大学生だ。

勉強をするべきであろう。

しかし勉強をする気にはなれない。

僕は19歳だ。

彼女のひとつくらい持つべきだろう。

しかし女性経験は皆無だ。

ならオナニーでもしてみようか。

オナニーをする気はある。

しかし自分の陰茎を擦る気にはなれない。

もちろん、ポルノサイトで裸の女性を見ても。

いっそのこと死んでしまおうか。

その気はあるが、飛び降りたり、練炭を炊いたりする気にはならない。


なら、僕は何をするべきなのだろうか?

     

太陽が僕の目を刺激する。

窓から明るい陽射が差し込んでいる。

もう一度寝ようと思ったが、斜陽と共に目覚まし時計の煩い鳴き声が響く。

目覚まし時計の頭を叩けば、鳴き声は止まった。

しかし、別の場所からまだ鳴き声がするのを感じる。

携帯。

本来人と自分を繋ぎ止めるツールでしかない携帯電話。

今は本来の意味を綺麗サッパリと忘れてしまい、ただ僕を目覚めさせるツールと化している。

携帯を触る。

65/13+8=?

答えなんか解らない。

そもそも考えれる気すら起こらない。

電源を切り、目を閉じる。

     

地面に広がる蒼い空。

体に纏わりつく白い雲。

頭を齧る芋虫。

朝。

陽射が僕の頭を照らす。

僕の頭はあるのだろうか。

いや、無い。

なら僕は頭が無いのだろうか。

いや、ある。

なら何故頭は無いのだろう。

知らない。

結局は、頭など思考の愚物にしか過ぎず、無用な物なのだ。

僕が語った。

僕では無い僕。

本物の僕では無い。

しかし、僕である。

わからないが、僕は僕なのか、どうなのか。

わからない。

     

暑い。

太陽が眩く僕を照らす。

鬱陶しい光。

時間は11時。

既に二講目は始まっている。

一講目は出なかった。

寝ていたから。

出たくないから二講目も行かないでおこう。

やる気が出ないから。

行きたくないから。

三講目もサボってしまおう。

疲れているから。

行きたくないから。

四講目にも入っていたな。

やめてしまおう。

一講だけ行かなくても大丈夫。

きっと。

     

怠惰。

その言葉が今の僕を表している。

何もする気が起きない。

洗濯すべき衣服。

洗うべき食器。

出るべき講義。

死ぬべき自分。

全てが僕の眼を見つめている。

「ねぇ、洗ってよ。」

「ねぇ、食べなくてもいいの。」

「ねぇ、出ないと単位落とすよ。」

「ねぇ、はやく死なないともっと苦しむよ。」

と、僕に声を聞かせるが、返答する気にもならない。

ただぼんやりと時間を過ごす。

それが僕だ。

声なんて、聞こえない。

どうでもいい。

どうでもいいんだ。

     

頭が痛い。

病的に痛いわけではない。

が、実際に痛む。

返事をしないための言い訳。

怠惰でいるための言い訳。

天井を見つめるためだけの言い訳。

眠る気にもなれない。

鎮痛薬を買うほどの痛みでもない。

パソコンのやり過ぎでもない。

本の読みすぎでもない。

テレビの観すぎでも、薬の過剰摂取でもない。

考えすぎ、それも違う。

なら何故痛むのだろう。

逃げるため。そうだろう。

     

好きな人が出来た。

名前も知らないあの人。

話をしたことはあるが、それ以上話す気にはなれない。

何個か同じ講義を取っている。

話す気にはなれない。

仲の良い共通の友人がいる。

しかし話す気にはなれない。

話したいのかもしれない。

しかし話す気にはなれない。

また別の友人と話していた。

少しばかり羨ましく思った。

しかし彼女と話すつもりにはなれなかった。

奪うなら奪うがいい。

僕は何もする気が無いのだから。

     

友人が、「美しいもの」についての質問を尋ねてきた。

何が美しいのだろうか。

ミロのヴィーナスは美しいだろうか。

ラトゥールの描く蝋燭の灯火。

あれはただの蝋燭の火より美しいと公言出来るのだろうか。

なら火は美しいだろうか。

水、雷、植物。

美しいものとはなんだろうか。

人は美しいだろうか。

僕の好きな彼女は美しいのだろうか。

わからない。

考える気にすらならない。

僕は「わからない。」と答え、会話を終わらせた。

友人は、「そう。」と答えた。

それだけだった。

美しいものとは、なんなのであろうか。

少なくとも、考えようとする気はできた。

何が美しいものなのか。

それを、考えよう。

       

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