Neetel Inside 文芸新都
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ポンチ短編集
女流武者 御剣桜華 第六幕 進軍!備前城

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 鋼獅朗の家臣・逃満の活躍により、桜華たちは総大将である雲之介がいる備前の城へと潜入した。家臣たちは武器を手に持ち、城へと突入する態勢をとる。
 「皆の者、装備は万全か!具足や鎧は、しっかり身に着けておかねば、何の役にも立たないぞ!」
鋼獅朗の言葉で、家臣たちが具足を身に着けなおす。桜華は急いで具足を着けなおすと、すぐさま鋼獅朗の下へと急ぐ。
 「鋼獅朗様、準備ができました。私はいつでも戦えます!!」
桜華がそう言うと、鋼獅朗が桜華の方を向いて、こう答える。
 「待て・・進軍は家臣たちの準備が整い次第城へと進行する。しばし待たれよ・・。」
鋼獅朗の言葉で、桜華は家臣たちの準備をまつことにした。そしてしばらくした後、家臣たちの城へと侵攻する準備が終わり、鋼獅朗が全員にそう言う。
 「家臣たちの準備は終わった。これより我が祖国を取り戻すため、備前の城へ突入する。皆の者よ、必ず雲之介の首を討ち取り、祖国を取り戻すのだ!!」
鋼獅朗の言葉で、鋼獅朗と家臣たちは一斉に備前の城へと突入する。正面には見張りの姿がなく、どうやら見張りのいるのは扉の前だけであった。
 「正面には見張りはいないようだ・・。忍び足尚且つ急ぎ足で進むぞ。敵の武士が潜んでいるかも知れぬからな。」
鋼獅朗の言葉で、家臣たちはしのび足で備前の城を進む。桜華は他の家臣たちの姿を見て、忍び足で歩き出す。
 「忍び足・・尚且つ急ぎ足で歩くのは・・・結構難しいものだな。しかし家臣たちは、一体どうやってこの歩き方を身に着けたのだろう・・。」
桜華は家臣たちの歩き方を不思議に思ったのか、一人心の中で呟く。桜華は忍び足で家臣の後を追う。そのとき、家臣の一人が足を踏み外し、足音を立ててしまった。
 「すまぬ鋼獅朗様・・足を踏み外してしまいました・・。」
足を踏み外した家臣に、鋼獅朗が目の色を変えてそう言う。
 「何をしている!雲之介の武士が来たらどうするのだ!」
鋼獅朗がそう言うと、家臣の一人が頭を下げて謝る。しかしその騒ぎを聞きつけて、雲之介の武士が桜華たちの目の前に現れた。
 「曲者だ!!出会え、出会えっ!この者たちを切り捨てよっ!!」
騒ぎを聞きつけた雲之介の武士が刀を構え、桜華たちを威嚇する。鋼獅朗の後ろには、すでに十人以上の雲之介の武士が迫り、ついに逃げ場がなくなる。
 「しまった!!騒ぎを聞きつけて他の武士が現れたか!?ならばこちらも戦うしかないな・・。」
鋼獅朗は少数の家臣をその場所に残すと、鋼獅朗と他の家臣たちは一足先に雲之介のいる場所へと向かっていく。雲之介の武士と戦うために残った少数の家臣の中に、桜華はいた。
 「私が選ばれたようだね。家臣たちよ、私も精一杯がんばらせていただくぞ!!」
桜華は刀を握り締めると、果敢にも雲之介の武士の軍勢に向かっていく。真っ先に向かっていった桜華に続き、家臣たちも刀を握り締めて向かっていく。
 「この侵入者め!!そんなに死にたいかぁっ!!」
雲之介の武士たちが、刀を構えて一斉に向かっていく中、桜華は次々と雲之介の武士を切り裂いていく。家臣たちもそれに負けじと、刀を振り下ろし雲之介の武士を迎えうつ。
 「家臣たちよ、この戦いで誰一人死人は出さないぞぉっ!皆の者・・行くぞっ!」
桜華が家臣たちに叫んだ瞬間、全員が刀を手に一斉に雲之介の武士に突進していった・・。

 襲ってきた雲之介の武士との戦いが終わったが、雲之介の武士と勇敢に戦った家臣の三人が討死した。仲間を失った桜華は悲しむことなく、死んでいった家臣たちに手を合わせ、そう言った。
 「正義のために死んでいった家臣たちよ・・安らかに眠りたまえ・・。」
桜華は死んでいった家臣に別れを告げると、生き残った家臣と共に先へと進む鋼獅朗の後を追うべく、行動を開始するのであった。

 一方囮となった逃満は、城の堀から城の中へと潜入し、急いで馬車の中から具足を取り出すと、すぐさま身に着け始める。
 「まさかな・・。これほど上手く潜入できるとは思わなかったぜ。さてと・・俺も鋼獅朗様の後を追うとするか・・。」
桜華たちよりも遅れてやってきた逃満の目に、目に余る光景がそこにあった。そこには数十人の雲之介の武士の死体と、三人の家臣の死体が転がっていた。
 「まさか・・ここで戦いがあったとは思わなかったぜ・・。家臣の三人が討死してしまった・・ちきしょう!だったら俺は捨て身の覚悟で挑んでやる・・挑んでやる!!」
逃満がそう言うと、急いで鋼獅朗の後を追うべく、すぐさま忍び足で走り出した。

 一方桜華たちを残し、一足先に進む鋼獅朗が次々と迫り来る雲之介の武士を蹴散らしながら、雲之介の待つ備前城の天守閣を目指していた。
 「雲之介よ・・私は貴様を倒すまで今日まで生きてきたのだ!私は多くの家臣を集め、多くの敵軍の首を討ち取ってきたが、お前の首を取るまでは満足できないのだ!だから今、家臣と共にこの城へと来たのだ!!剛雷雲之介よ、首を洗って待っていろ!!」
鋼獅朗は叫び声を上げながら、雲之介の待つ天守閣を目指す。しかし、後方からも雲之介の武士が現れ、辺りを包囲されてしまった。
 「おのれ賊め!!備前の城に進入した奴とはお前のことか!?ならばこの場で死んでもらおう!」
後ろからも前からも現れた雲之介の武士に、家臣たちと冥那が立ち向かったが、あまりの敵の多さに、鋼獅朗が刀を手にし、攻撃の態勢に入ろうとしていた・・。
 「こんなところで負けるわけにはいかぬ・・。ここは私が戦わねばならぬな・・。この刀で雲之介を切り裂きたかったが・・まぁいい・・。」
鋼獅朗が鞘を抜こうとした瞬間、何者かが後方から現れた雲之介の武士たちを切り裂いた。雲之介の武士たちを倒したのは、なんと桜華とその家臣たちであった。
 「すみません鋼獅朗様・・なんとかすべての敵を打ち倒したのですが、家臣が三人討死してしまいました。」
桜華がそう言うと、鋼獅朗が残念そうな表情で答える。
 「そうか・・私たちを先に行かせるために・・。悔しいが、備前を取り戻したときに手厚く葬ってやろう・・。残りの家臣たちは無事だったようだな。さて、ここから先は奴のいる天守閣だ。気を抜くではないぞ・・。」
鋼獅朗は家臣たちにそう言うと、全員は雲之介の待つ天守閣へと向かうのであった・・・。

雲之介を倒すため、備前の城へと侵入した桜華たち。
天守閣を目指すべく、鋼獅朗とその家臣たちは向かう!!

       

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