Neetel Inside 文芸新都
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ポンチ短編集
女流武者 御剣桜華 第十二幕 新たなる仲間

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 村人を助けるために伸朗の砦の地下牢へとやってきた桜華たちは、地下牢の鍵を手に入れるため、看守と護衛の武士たちと対峙していた。
「鍵は渡さぬ。降参するなら今のうちだぞ・・。」
護衛の武士たちが桜華たちにそういって刀を構えると、桜華は刀を構え、護衛の武士へと向かっていく。他の二人も刀を構え、護衛の武士へと立ち向かっていく。
「悪いが、私たちは降参しない。私たちは村人を助けるためにここにきたのだ。いまさら帰ることなどできないな・・。」
東雅が刀を構えながらそう言うと、鍔迫り合いから一気に護衛の武士を切り裂く。
――ザシュッ!!東雅の刀が護衛の武士の体を捉え、切り裂かれた護衛の武士はその場に倒れた。東雅が戦っている中、竜五郎も護衛の武士と戦っていた。
 「お前・・まさか俺に勝てるとでも思っていたのか?」
護衛の武士が竜五郎を馬鹿にした表情でそう言うと、竜五郎は怒りの表情で刀を振り下ろし、護衛の武士を攻撃する。
「俺を・・バカにするなあっ!!俺はあの人たちに戦い方を教えてもらったんだ!!」
竜五郎は刀を振り下ろし、一気に護衛の武士に攻撃を仕掛ける。護衛の武士は刀を立て、防御の態勢に入る。
「ハハッ!!お前の攻撃など、見切ったものだ。鍔迫り合いから一気にお前の体を切り裂いてくれる!!」
護衛の武士が勝利を確信した表情で刀に力をいれ、竜五郎の刀をはじこうとする。しかし竜五郎も負けてはいなかった。そんな中、もうひとりの護衛の武士と戦っている東雅が、竜五郎にアドバイスを送る。
 「竜五郎よ・・鍔迫り合いを利用して一気に相手ににじり寄るのだっ!!」
東雅の言葉で、竜五郎は鍔迫り合いをしながら護衛の武士に迫っていく。護衛の武士の近くまで来た竜五郎は、力を込め、一気に刀をはじき返した!!
「ぐおっ!!」
――カキィンッ!!すさまじい金属音と共に、護衛の武士の持つ刀が宙を舞い、地面へと突き刺さった。護衛の武士が刀を取りに行こうとした瞬間、竜五郎の刀が護衛の武士の背中を切り裂いた。
「ぐおお・・・無念だ。お前のようなやつにやられるとは・・・・。」
護衛の武士はそういい残すと、その場に倒れた。
 「さてと、僕は看守から鍵を奪い、村人を助け出すんだ!!」
竜五郎は看守から鍵を奪うべく、一気に行動に出た。竜五郎は鞄から銅貨を取り出し、看守めがけて投げつけた。
「えいっ!!」
――ガッ!!竜五郎の投げた銅貨は、見事看守の頭に命中した。銅貨の一撃を喰らった看守は、痛さのあまり気絶していた。その隙を狙い、竜五郎は看守に近づく。
 「目覚めるなよ・・。気絶している隙に鍵を奪って村人を助けにいくぞ・・。」
桜華と東雅が交戦する中、竜五郎は看守の鞄に手をかけ、鞄の中を探る。すると金属のような触感が竜五郎の手に伝わってきた。そう、それが地下牢の鍵であった。
「あった・・。鍵だ。さぁ今すぐ地下牢に向か・・うわあっ!!」
地下牢へと急ぐ竜五郎の足を掴んだのは、気絶から目覚めた看守であった。
「ふははっ!!逃がさんぞ・・。小癪な真似をしやがって・・。」
竜五郎は再び鞄の中から銅貨を取り出し、看守にちらつかせる。
「ほれ・・前のは一両だが、今度は十両だ。めったに手に入らないお金だぞ・・。とりゃっ!!」
――ガッ!!竜五郎は十両銅貨を看守めがけて力いっぱい投げつけた。看守は銅貨の一撃にふらついている隙に、鍵を奪って地下牢へと走り出した。

 看守から鍵を奪い、地下牢へと走り出した竜五郎は、地下牢の鍵を開け、村人たちを解放した。しかし竜五郎が村人を解放した瞬間、目の前に看守が現れた。
「はぁはぁ・・鍵を返してもら・・・げげっ!!」
看守が地下牢を見たとき、そこには解放され自由の身になった村人たちが竜五郎の後ろにいた。村人たちは怒りの表情で看守を見つめると、竜五郎が答える。
 「村人たちよ、この看守を懲らしめてやれぃ!!」
竜五郎がそう言った瞬間、村人たちが一斉に看守に集まり、取り押さえる。村人たちは看守を取り押さえた後、看守を地下牢に閉じ込めた。
「悪人め・・ここで反省していろっ!!」
「ここで頭を冷やせっ!!この悪党が!!」
村人たちが罵声を浴びせられている看守は、懲りた表情で答えた。
「す・・すみませんでした・・。もうしませんから、ここから出してくれよぉ・・。」
看守の言葉に、村人が首を横に振り答える。
「ダメだダメだ・・。お前が心のそこから反省するまで、ここで反省してもらうぞ・・。」
村人の言葉に、看守が悲しそうな表情でそう呟く。
「そんなぁ・・。伸朗さま・・後は頼みましたよ・・。」
看守はこれから先、冷たい地下牢にいることになるだろう・・。

 桜華と東雅が戦いを終えて地下牢へと戻ってきたとき、そこには村人と竜五郎が戻ってくるのを待っていた。
「助かりました・・。あなた方が護衛の武士を倒してくれたおかげで、我々は自由の身です。どうもありがとうございました・・。」
村人がそう言うと、桜華が竜五郎を指差し、こう答える。
 「私たちは護衛の武士を倒しただけです。勇気をもって看守から鍵を奪ってくれた竜五郎殿が一番の功労者だ。私たちは伸朗を倒すべく、先に向かう。この村人の中に武士がいたら、ぜひとも力を貸していただけぬか・・?」
桜華の問いかけに、二人の村人が名を上げた。
「私の名は緋室雅沙羅(ひむろがさら)と申します。助けてくれたお礼として、桜華殿、共に力を合わせて戦いましょう・・。私は槍の使い手でございますわ。」
「助けてくれてありがとう・・。俺の名は紫王紅零(しおうぐれい)と申す・・。桜華殿、共に力を合わせて戦いましょう!!」
桜華は辺境の村の武士、雅沙羅と紅零が仲間に加わった。二人が桜華の仲間になったとき、村長が桜華たちの目の前に現れた。
 「この二人はこの村の強い武士だ・・。あと一人武士がいるが村人を守るためにここに残っておる。っどうかこのお二人と共に、伸朗を倒してくれ・・。これはわずかばかりだが、お礼として受け取ってくれ・・。では私たちは先に村へと戻るとするか・・。」
村長は桜華の手に十両を手渡すと、桜華が首を縦に振り答える。
「ありがとう。必ずや私たちで伸朗を倒してまいりますぞ・・。村長殿、お気をつけて・・。」
桜華がそう言った後、村長は桜華に感謝の眼差しを送りながら、自分の村へと帰っていった。
 「さてと、伸朗はこの砦の上の階層にいるのだな・・・。みんな、心して突入するぞ!!」
桜華たちはそう言った後、伸朗を倒すべく砦の上層へと進んでいくのであった・・。

竜五郎のおかげで、囚われていた村人を解放することに成功した。
雅沙羅と紅零を仲間に加え、桜華たちは先を進む!!

       

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