Neetel Inside ニートノベル
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あぁ自分疲れてると思った瞬間アンソロジー
VRMMORPG2

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 なんとなく、そうなんとなくそんな気分たっだからだって話。俺は、チャンバラをやってる奴らに近寄って混ぜてもらおうと思った。意味はない。ただ、なんとなく笑顔を振りまいて汗を流して剣と剣をぶっつけあっているいかにも青春っぽい風景を見て、もしかしたらこの腐ったゲームの中でも、そこに混ざればくそったれな俺でも青春って奴を感じられるのかな。とゆるい脳みそがはじき出したから。
 
 
 
 俺も仲間に入れてくれよ。とできるだけ気さくに話しかけたつもりだったのだが、やっこさんの表情は不気味なぐらいに嬉しそうだ。
 「いいよ。やろうやろう」といわれるがまま剣を握ったのが運のつき、ルールも何もあったもんじゃなく開始の合図無し、ノータームで切りかかられた。
 間違えた。失敗だった。こいつらからは甘酸っぱい初恋も、男臭い部室の臭いも感じられない。感じるのは肌をぴりぴりと刺すような純然たる殺意だけだ。
 でも大丈夫。その剣を大きくヨコに振りかぶり、コンマ2秒止まるってのはバスタードスラッシュ発動の合図。後ろで闇討ちを狙ってるアンちゃんは剣を真正面に突き出したまま腰ダメの体制。うん。スピードスターだろうな。初動さえ見抜けば後はソードスキルがシステマチックに斬撃を繰り出す。
 そいつのパターンを音ゲーみたいにシュッシュッとリズミカルにステップをとってやればすぐ死線を潜り抜けれる。たいしたことはない。
 
 
 
 この世界で三年。糞真面目にクリアを目指す人間は皆無。だってクリアがねえんだもん。
 それよりも全員が退屈で死にそうだ。ダンジョン攻略よりむしろ、退屈で死んでいった奴のほうが多いんじゃねえかな。
 吉谷君はこのデスゲームを極めてクリーンにグリーンな状態にした。だけどもだけど、結果としてそれは別のデスゲームを呼び込んでしまったらしい。
 製作者の惰性だけで生成される単調なダンジョン攻略やミッションコンプリートに飽きたプレーヤー達はどぶ川みたいなにごった目でクリアできないばぐったゲームをプレイするという生活を強いられている。
 当然のように蓄積されていくストレスや無情観。そりゃこうなるだろうよ。当然だ。俺はそうじゃないが時間の問題なのかもしれない。
 新たな刺激を求めたプレーヤーの始めはNPCへの虐殺や略奪。悪ってやつはいつだって最高にスリリングだしエキサイティングだ。しかし、それがオブジェクト保護によって不可能と悟るや否やストレス、絶望、やり場のない怒りは一気に爆発し、矛先をPvPに向けていく。
 
 
 
 ここは死のVRMMORPG。製作者の意思とはまったく別方向に、また、吉谷君の予想をはるかに裏切る結果でデスゲームは加速していた。

 

       

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